湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第15節(2018年5月20日、日曜日)
- 組織サッカーがスーパーレベルまで進化しているフロンターレだからこそ、より尖った本物ドリブラー養成トレーニングにも取り組める!?・・(フロンターレvsエスパルス、3-0)
- レビュー
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- ・・ワールドカップの中断期間中ですが、そこでは、ゴールチャンスのパリエーションを増やすというのも大事なテーマですよね・・
試合後の監督会見で、パーフェクトな勝利を飾ったフロンターレ監督、鬼木達さんが、そんなニュアンスの内容をコメントしていた。
だから、どうしても聞きたくなった。
あっと・・まず全体的なゲームの流れだけれど・・
そこでは、(少し押され気味の雰囲気が生じてしまった後半も含めて!!)フロンターレが、完璧に、「内容」と「結果」のイニシアチブを握るといった展開になった。
そのフロンターレ・・
とにかく、人とボールが、スムーズにそしてクリエイティブに良く動く。
そのテーマについては、まず、「ボールを止める技術」が、鬼木達の下、より洗練されてきている(より実戦的になっている!?)という絶対的ベースに言及しなきゃいけない。
それについては、「The Core Column」において、かなり以前に「こんなコラム」をアップしたから、そちらもご参照アレ。
そんなフロンターレに対して、特に前半のエスパルス守備は、完璧に支配された。
何せ・・
そう、ボールホルダーや「次の」パスレシーバーに対する効果的なチェイシングが、全くままならなかったのだから・・。
そんなだったから、次、その次のボール奪取ポイントに対するイメージを共有することなんて、エスパルス守備にとっては夢のまた夢だっただろうね。
そう、彼らの場合は、組織的な「連動守備イメージ」が、とても希薄だったんだよ。
もっと言えば、フロンターレの人とボールの動きに対する「抑制イメージ」を持てていなかった(シェアできていなかった!?)とも言える。
たぶん、試合前の準備としての「ボールを追い込むイメージトレーニング」が、うまく機能していなかった・・ということだろうね。
だから、チェイシング(ボールホルダーや次のパスレシーバーへの効果的な寄せ≒読み!?)がはまらず、組織的な連動ディフェンスアクションも、後手後手を踏んでしまうのも道理ってな感じ。
そして選手たちの表情に、(特に心理・精神的な!?)疲労感がにじみはじめるんだ。
たしかに後半は、ジリ貧のサッカー内容が少しは好転したけれど、結局、そのポジティブな「流れの変容」を、流れのなかでのチャンスメイクにつなげられなかった。
まあ、「エスパルスのチャンスはセットプレーからだけ・・」なんて揶揄されても仕方ない。
そして例によって、フロンターレの、とても危険な爆発カウンター(ファスト・ブレイク!?・・へへっ・・)に、エスパルス守備が右往左往させられてしまうっちゅうわけだ。
あっと・・、コラム論旨が大きく逸脱してしまった。
わたしが入り込みたかったテーマは、攻撃のバリエーションだったのに・・
さて、ということで・・
フロンターレ攻撃における、組織プレーと個人勝負プレーの高度なバランシングというテーマ。
そのバランスがハイレベルになれば、おのずと、仕掛けのバリエーションも豊富になるからね。
そう、「組織と個のバランス」が高まっていけば、鬼木達さんが言う「チャンスメイクのバリエーション」も、着実に増えていくっちゅうわけだ。
そういえば・・
以前のフロンターレには、「組織プレーにも忠実に貢献できる優れたドリブラー」がいたよね。
ここでいうドリブラーの定義だけれど・・
それは・・
世界レベルのスピードとパワー、そして技術も兼ね備えた強者ディフェンダーを、「静対した状態」から、高い確率で、置き去りにできるようなドリブラーのことだよ。
その意味じゃ、日本代表で、「本物」と呼べるような本格的ドリブラーは、宇佐美貴史や乾貴士、また武藤嘉紀くらいしかいないかもしれない。
あっと・・、もちろん、原口元気、浅野拓磨や大迫勇也も、ポテンシャルは高い。
でも、そんな、日本代表の「ポテンシャル・ドリブラー」にしても、静対した状況から、相手をブッちぎるような突破ドリブルをブチかませるかといったら、疑問符の方が先に立つ。
あっと・・フロンターレの場合だった・・
歴代ドリブラーでは、何といっても、レナトがダントツの効果レベルを魅せていた・・っちゅう印象がある。
そう、実効ドリブラーのほんどどは外国人プレイヤーだったと思うわけさ。
そして、今のフロンターレ・・
前述したようなポテンシャルを秘める、レベルを超えたドリブラーは見当たらない。
鬼木達さんは、(このゲームで先発したうちの!?)たとえば長谷川竜也を、それなりのドリブル勝負要員としてイメージしていたらしい。
もちろん、流れのなかで「良いカタチでパスを受け」、そのスピードを落とさず、そのまま突進していく・・といった「流れ」ではチカラを発揮するかもしれない。
でも、「静対した状態からの突破ドリブル・・」というテーマでは、まだまだ疑問符が残る。
大久保嘉人は、徐々にチカラを失っているし、家長昭博という天才にしても、明らかに純粋ドリブラーじゃないよね。
だからフロンターレの場合は、とにかく人とボールを動かすなかで、最良のカタチで「タテのスペース」への、スペース(タテ)パスを決めるという「やり方」が、より効果的とも言えそうだ。
そんな仕掛けプロセスが決まれば、長谷川竜也は言うに及ばず、小林悠や大久保嘉人、牛若丸や大島僚太にしたって、ものすごく危険なドリブルをブチかませるでしょ。
もちろん、本物のドリブラーがいれば、人とボールの動きが「詰まり気味」になっても、そのドリブラーに足許パスを出せば、そこから、相手ディフェンスの組織バランスを崩していけるかもしれない。
そうすれば、その仕掛けをベースに、より効果的にスペースを突いていける。
そう、困ったときの「神様ドリブラー」っちゅうわけさ。
「あの」バルセロナだって、困ったときの「神様メッシ」ってな流れが多いよね。
私は、フロンターレが擁する、個の才能コノテーション(言外に含蓄される意味)の本当のクオリティーについては、素人同然だろうね。
何せ、勝負マッチしか観ていないわけだから。
もちろんソコでは、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、仕掛けの主流であり、個の才能勝負プレーは、そんなに明確には見えてこない。
だからこそ・・
そう、もし鬼木達さんが、「これぞっ!!」って確信するドリブラー予備軍がいる場合、この2か月の中断期間を活用し、ドリブル突破トレーニング「だけ」に集中するような、極端なトレーニングプログラム「も」採り入れるっちゅうアイデアも一考の余地あり・・って思うわけさ。
そう、「あの」ブラジル伝説のドリブラー、ガリンシャに課された、「彼一人vsユース数人」のドリブルトレーニングのようにね。
あっと・・この件については、ネットで情報を探して下さいネ。
ということで・・
こんなスーパーレベルまで組織プレーが進化したフロンターレだからこそ、例えば、長谷川竜也に「ガリンシャトレーニング」を課し、個の勝負能力に「も」磨
きをかけさせるといったアイデアにも、余裕をもって取り組めるんじゃないか・・など、無責任に夢想する筆者なのであ〜る。
へへっ・・
では、また〜・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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