湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第17節(2018年7月22日、日曜日)

 

ゴールという刺激こそが・・また、ディエゴ・オリヴェイラという特別な才能についても短く・・(FC東京vsマリノス、5-2)

 

レビュー
 
・・もし我々が先制ゴールを奪っていたら、まったく違ったゲーム展開になったかもしれない・・

マリノスの代理監督を務めたヘッドコーチ、ピーター・クラモフスキーさんが、そう言っていた。

また、FC東京、長谷川健太監督も・・

・・そうですね・・太田宏介の先制フリーキックには、大きな価値がありましたよね・・

・・もし、アレがなかったら・・かなり違ったゲーム展開になっていたんじゃないでしょうか・・

わたしは、両チームが志向しているハイレベルなサッカーと、その「実質的な内容」に、大きな差はないと思っているんですよ。

両チームともに、とても良いサッカーを展開しているのです。

そう、攻守ハードワークとリスクチャレンジ満載の、積極的な攻撃サッカー(美しく勝つサッカー)。

でも・・

そうなんですよ。

やっぱり・・というか、ゴールという究極の刺激によって、ゲームの内容が、ガラリと変容しちゃったんです。

立ち上がりは、マリノスのヘッドコーチ、ピーター・クラモフスキーさんが主張していたように、彼らがゲームの流れをコントロールしていた。

そのなかで、左サイドからの仕掛けで、最後は、ゴール前の決定的スペースへ走り込んだ伊藤翔に、ピタリと、決定的スルーパスが合いそうになった。

また、その数分後には、マリノス右サイドの仲川輝人の、タテへの爆発ダッシュに、長いタテパスがピタリと合った。

私は、この二つの(FC東京にとっての!)ピンチの流れを観ながら、それが、FC東京ディフェンスにとって、とてもよい「覚醒の刺激」になったと感じていたんだ。

その後は、マリノスが、タテのスペースを攻略するようなシーンは希だったからネ。

そう、FC東京ディフェンスの守備イメージングがアップしたことで(!?)、タテの決定的スペースを、簡単には攻略されなくなった・・と感じていたんだよ。

でも・・

そう、長谷川健太監督は・・

・・いや・・

・・そんなピンチになりそうなシーンは日常茶飯事じゃありませんか・・

・・我々は、いまのマリノスとは、すでに5回も対戦し、何度か、(同じカタチで!?)やられた体感をもっているんです・・

・・だから、そのピンチの流れによって、ウチの守備が大きく覚醒したとは思わないんです(立ち上がりのFC東京ディフェンスが集中していなかったとは思っていない!?)・・

・・でも・・

・・湯浅さんがおっしゃるように、たしかに、太田宏介の先制フリーキックは、大きかったですよね・・

・・あれがなかったら、どんなゲーム展開になったか分かりませんからね・・

・・だってサ・・

フムフム・・

まあ・・ネ・・

その先制ゴールと、その後のラッキーな(田邉草民の!)追加ゴールによって、FC東京が「2-0」というリードを奪ってからは・・

お定まりのカウンターから、これまた田邉草民が3点目を決めた。

あっと・・

それは、「お定まりの・・」なんていう表現が失礼に感じられるほどスーパーなカウンターだったっけネ・・

ボールを奪い返した(その直前のタイミングで!?)爆発スタートを切った東慶悟が、パスを受け、そのままタテのスペースをつなぐ超速ドリブルをブチかましたんだよ。

そして、これまたスーパーな、決定的スペースへの抜け出しフリーランニングをブチかます田邉草民への、優しい「スルーパス」を決めた・・っちゅうわけだ。

いや、ホント、素晴らしいゴールではありました。

とはいっても・・

その背景に、2点のリードを追うマリノスが、「より前へ」重心を掛けていたコトもあったよね。

ということで・・

その後は、粘りのカウンターゴールや、これまた粘りのセットプレー(コーナーキック!)ゴールまで奪ったFC東京だったというわけさ。

たしかに、このゲームの結果は・・

そう、FC東京の大差の勝利ということにはなってしまったけれど・・

それでも、両チームの「総合的なサッカー内容」が、様々な意味合いで、かなり「互角」だという意見にアグリーされる方は多いと思っている筆者なのですよ。

マリノスのサッカーは、ポステコグルーという「ストロングハンド」によって、大きく伸びているし、FC東京の「ストロングハンド」も、これまたスーパーな仕事をしているわけさ。

ということで・・

このゲームでは、FC東京が、多くのゴールをタイミングよく奪いつづけ、マリノスが、より積極的に攻め上がらざるを得なくなったことで、逆に(!?)、FC東京の組織ディフェンスの優れた機能性が、存在感を発揮することになったよね。

そう・・

マリノスの攻撃が、効果的に「抑制され」ていたんだよ。

もちろんマリノスには、天野純というチャンスメイカーを中心に、仲川輝人や遠藤渓太という「突貫小僧」だけじゃなく、大きく伸びた伊藤翔というワントップもいる。

でも・・

そう、個の勝負(個人のチカラによる組織サッカーのパワーアップ!?)という視点では、やはりFC東京のディエゴ・オリヴェイラにかなう選手はいない。

とにかく、ディエゴのプレーの内実は、抜群だった。

以前所属していたレイソル時代とは、まさに、別人。

そんなディエゴを観ながら、こんなテーマに思考をめぐらせていたっけ。

それは・・

・・やっぱり(特に才能系の!?)サッカー選手は、チーム戦術の内容によって、チカラを損分に発揮できたり、逆にそれを抑え込まれちゃったりするんだよな〜〜・・

そう、FC東京へ来てからの(長谷川健太がコーチするようになってからの!!)ディエゴ・オリヴェイラは、まさに「水を得た魚」ってな感じに、チカラを発揮しはじめたんだ。

そのコトについても長谷川健太監督に聞いた・・

・・そうなんですよ・・とにかく、チームとして、彼の良さを出させようとする意志が、とてもうまく回っているんです・・

・・今日は、高萩洋次郎がトップのパートナーでしたが、永井謙佑とだって、うまくパートナーシップを組めると思うし・・

・・いや・・

・・永井謙佑とのパートナーシップについては、もう少し時間がかかるかもしれませんね・・

・・とにかく、チームとして、ディエゴの才能をうまく活用していこうという雰囲気は、とても醸成してきているんです・・

そりゃ、そうだ。

あの素晴らしい天賦の才だからね。

テメ〜たちだって、その才能をうまく使えれば、もっとカネを稼げるだろうしネ・・

へへっ・・スミマセン・・

ということで、この試合では、ゴールという「刺激」によって、ゲーム内容が大きく影響される・・というテーマについて語ってしまいました。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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