湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第2節(2018年3月2日、金曜日)
- 勇気が満ちあふれていたからこそ、貴重な学習機会を活用し尽くせたベルマーレ・・(フロンターレvsベルマーレ、1-1)
- レビュー
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- ・・いや・・ホントは、前から、前から勝負を仕掛けていこうとしていたんですよ(前からのプレッシング守備ベースの積極オフェンス!!)・・
・・でも実際は、フロンターレの巧さに(人とボールの高質な動きのリズムに!?)、簡単にプレスを外されてしまうシーンがつづいてしまったんです・・
私の質問に、ベルマーレのチョウ・キジェ監督が、そんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。
要は、「湘南スタイル」を貫きとおすのは、「J1」じゃ、そう簡単ではないっちゅうことだね。
でも・・ネ・・
たしかに前半は、立ち上がりの10分ほどを除き、徐々にフロンターレに試合の主導権を握られてしまったよね。
でも後半は逆に、(先制ゴールをブチ込まれてからの!?)ベルマーレは、素晴らしいダイナミズムの「攻守ハードワーク」が、チームとして、どんどん「有機的に連鎖し」はじめたんだ。
たしかにチョウ・キジェ監督が言うように、局面デュエルでは、フロンターレの「個の巧さ」が際立つシーンもあったよね。
でもベルマーレは、何度「いなされ」ても、チンチンに抜き去られても、決して諦めることなく、追いかけつづけたんだよ。
そう、決して彼らは、勇気を失うことがなかったんだ。
ドイツの哲学者ニーチェが、こんなコトを言った。
・・名声を失ったら、また創りなおせばいい・・金を失ったら、また稼ぎなおせばいい・・でも勇気を失ったら、生まれてきた意味(価値!?)がない・・
深いね〜・・
あっと、ベルマーレの、チーム全体に満ちあふれた勇気・・という視点だった。
そう、だからこそ、ダイナミックに連動しつづける協力プレッシングサッカーが、抜群の機能性を魅せはじめたっちゅうわけさ。
ここで重要なポイントは・・
ベルマーレ選手たちが、フロンターレに「体感させられつづけた個の巧さの差」を、勇気あふれる忠実なダイナミズム(闘う意識と意志!!)で、見事にリカバーしたっちゅう事実なんだよ。
そういえばチョウさんは、こんなコトも言っていたっけね。
・・更衣室に戻ってきた選手たちが(ハーフタイムのこと!?)、口々に、まだダメだなオレたち・・なんて互いに語りあっていたんですよ・・
それは、ホントに、ものすごく大事な、そして素晴らしい「心理現象」だよね。
そう、そんな自発的な発言があることこそが、チーム全体の意識と意志が、ものすごいハイレベルで「充実」していることの明確な証左だっちゅうことサ。
そうそう・・フロンターレ・・
もちろん彼らは、チョウ・キジェが言うように、強い。
でも、だからこそ、この試合でのベルマーレは、ものすごく貴重な体感を積むことができた(貴重な学習機会を活用し尽くした)とも言える。
そう、彼らは、フロンターレの強さを体感しながら、自分たちのサッカー(湘南スタイル)をブチかまそうとチャレンジしつづけたんだよ。
そこで深められたに違いない「自信と確信」は、何ものにも代え難いグレイト・バリューだった。
その意味でも、ベルマーレに、最大限の賛辞をおくりたい。
あっと・・、もちろん私は、鬼木フロンターレを心からサポートしているよ。
そう、ダイレクトパスを織り交ぜる、人とボールが動きつづける組織コンビネーションを絶対ベースにする美しく勝つサッカー。
でも私は、チト方向性の異なる「哲学的ベクトル」で、チョウ・キジェの(彼のサッカー哲学の!)サポーターでもあるからサ。
へへっ・・
あっと、最後に・・
フロンターレのトップで先発した知念慶。
とても、とても、良くなっている。
後藤健生さんが彼について(ポジティブニュアンスで!)質問したんだけれど、それに応える鬼木達さんの表情は、嬉しさと期待感から(!?)まさに踊っていたよね。
もちろん私も、知念慶の、抜群のタテへの抜け出し(フリーランニング)とか、最前線センターでのポストプレー、はたまた勇気ある個人勝負とか(前半のミドル弾は素晴らしかった!)、知念慶のプレー内容が、とても良くなっていると思っていた。
そんなワントップ気味にセンターに張る知念慶がいるから、その周りで動きつづける「忍者」小林悠のプレーにも「クリエイティブな幅」が出てきたりして。
そしてゲームの流れの勝負所で、天才、大久保嘉人を投入する。
それって、フロンターレの新しい勝ちパターンになったりして・・
それと、ベルマーレの10番、秋野央樹。
隣で観戦していた大住良之さんの指摘もあって、私も注目していたんだけれど、とにかく、攻守にわたって、獅子奮迅の大活躍だった。
いいね〜、ホントに、若者の「ブレイクスルー」を体感するのって・・
さて、明日は、渡邉晋が率いるベガルタ仙台が味スタにくる。
いまから楽しみで仕方ありませんよ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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