湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第20節(2018年8月5日、日曜日)
- まず、高木琢也というストロングハンドが率いる長崎の頑張りに、心からの拍手を!・・また(このゲームでの内容は別にして!)目に見えて良くなっているレッズへの長期スパンの期待・・(レッズvs長崎、0-0)
- レビュー
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- まあ、仕方ない・・
・・ってな感性が、タイムアップのホイッスルを聞いたときに強かったのは、もちろん、レッズの方が優れたサッカーで、勝負の流れもしっかりと握っていたからなんだ。
要は、レッズが勝ったら、それは順当な結果だったって論評することになるっちゅうことさ。
それにしても・・
ホントに長崎は、最後の最後まで足を止めることがなかったね〜。
たしかに前半の残り10分や、後半でも、最後の時間帯に入った頃の彼らは、かなり走らされてボロボロの状態だったでしょ。
でも長崎の強者どもは、最後の最後まで、まさに必死に、攻守ハードワークを「自ら探しつづけて」いたんだよ。
私は、そんな長崎に対して(もちろん高木琢也に対しても!!)、ものすごく深いシンパシーを感じていた。
その長崎の、守備でのハードワーク・・
・・レッズのボールホルダー(次のパスレシーバー)へ忠実に寄せるのは言うに及ばず・・
・・ボールがないところでの忠実なマーキングや勇気あふれるカバーリング・・
・・はたまた「最後の瞬間」に、しっかりと「勝負の半歩を出す」といった、強烈な意志ベースの勇気あるディフェンスアクション・・などなど・・
オズワルドも言っていたけれど、高木琢也のもと、長崎はとても良くなっている。
もちろん、その「良くなっている」という現象のコノテーション(言外に含蓄される意味)は、限りなく、攻守ハードワーク(チームワーク)的な意味合いだよね。
でも、攻守にわたって、そんな彼らの「勝負イメージング」が、まさにシンクロ連鎖しつづけている事実を観れば(だからこそ協力プレスが最高の機能性を魅せつづける!!)、高木琢也の優れた仕事ぶりが伺えるっちゅうわけさ。
ということで、対するレッズ・・
悪くはなかったけれど、長崎に、あれほど忠実でダイナミックな守備アクションをブチかまされちゃったら、そりゃ、スペース攻略プロセスがままならなくなるのも道理。
もちろん、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションにしても、個の勝負にしても、チャンスはあったけれど、でも、ちょっとでも「遅れ」たら、すぐに長崎ディフェンスに取り囲まれちゃうんだ。
ということで、今日のゲームについては、長崎の「意志のダイナミズム」に拍手を送るしかない。
そういえば・・
そうそう、前々節にスタジアム観戦した「FC東京戦」でも、長崎は、ホントに立派なダイナミックサッカーで、東京に、チャンスらしいチャンスを創らせなかったっけ。
そして、カウンター気味の仕掛けから、まさに「粘りのワンチャンス決勝ゴール」をファンマが叩き込んだ。
・・そう、そうだった・・ということは・・
そう、このレッズ戦でも、同じような「一発ワンチャンス」が、鈴木武蔵に巡ってきたんだっけ。
コトが起きたのは、後半18分。
一発のウラ狙いロビングに反応した鈴木武蔵。
マークしていたマウリシオを振り切り、レッズGK西川周作との「1対1」に持ち込んじゃうんだ。
そして放たれた完璧な左足シュート。
でも、無情にも、右ポストを直撃してしまうんだよ。
・・アレは、本心から、入ったと思いましたよ(≒チーム作りプロセスを体感しているなかで培ったイメージが根底にあるからこそのコメント!?)・・
高木琢也が、私の質問に、そう本心を語ってくれた。感謝・・
そうなんだよ・・
あのシーンは、まさに長崎が、チーム全体としてイメージしていた「ワンチャンス」だったんだ。
だから、オズワルドも、「長崎は良いチーム・・勝負強いサッカーで、チャンスも創りだしていた・・この試合は、彼らが勝ってもおかしくなかった・・」って、フェアにコメントしていたっけね。
フムフム・・
ということで最後に・・
レッズの「仕掛けプロセス」について、一言・・
まず、最前線で、ウラの決定的スペースへの「抜け出し」を狙うチャンスメイク。
もちろん、狙っているのは、興梠慎三でありファブリシオであり、攻守ハードワークの権化、武藤雄樹といった強者連中だよ。
彼らは、後方でのボールの動き(味方の組み立てイメージング内容)をしっかりと把握し、何度も、「ズバッ!」ってな爆発スプリントで、決定的スペースへ抜け出していたんだ。
でも、決定的スルーパスが出てこない・・
もっとも可能性の高い「パス出し状況」は、言うまでもなく、後方で、安定した横パスやバックパスを、「ダイレクト」でビシッて叩く(ロング&浮き球!?)スルーパスだよね。
だから、抜け出しフリーランニングを敢行する選手は、そんな「トンッ、ド〜ン」っちゅう、ボールの動きタイミングをイメージし、爆発スプリントをスタートしていたっちゅうわけだ。
でも、出てこない・・
これは、チト、考える価値のある課題かも・・
そう、そんな決定的シーンを創りだすための、前線と後方チームメイトたちの「イメージシンクロ状態」に、まだまだ課題があるっちゅうことなんじゃないか。
わたしは、繰り返し、そんな「爆発的な抜け出しフリーランニング」を観ながら、「アッ!」・・「アッ!」なんていう頓狂な声を出していたのだよ。
チト、残念・・
また、もう一つ、仕掛けアイデアがある・・
長崎は、かなり強固に守備ブロックを組織しているだけじゃなく、彼らの「闘う意志」も最高潮だったわけだよね。
だから、中央突破のスルーパス攻撃だけじゃなく、クロスでの仕掛けにしても、それを効果的な「ゴール機会」にするためには、一工夫が必要だと感じていたんだよ。
この試合では、ファブリシオが、2本、抜群にパワフルな「ミドル弾」をブチかましたよね。
それを、もっと、チーム全体としてイメージすることも一考じゃないか・・なんて思ったんだ。
そう、仕掛けプロセスに「変化」を与えるんだよ。
もちろん、タッチライン際へボールを持ち込むだけじゃなく、もっと「アバウトなタイミング」で、アバウト「放り込み」を多用するのも一考の価値あり。
要は、そんな「仕掛けプロセスの変化」によって、相手守備のイメージを混乱させる・・っちゅうことさ。
まあ、このテーマについては、いつも書いているコトだし、オズワルドだって、先刻ご承知だろうけれど・・サ。
ということで、締め・・
長崎の高木琢也も言っていたけれど、オズワルド・オリヴェイラが指揮を執るようになってからのレッズは、守備のオーガナイズが進化しただけじゃなく、攻撃でも、コンビネーションや個の勝負を自在に繰り出していくなど、とても良いチームへと進化している。
たしかに今シーズンは、どこまで這い上がっていけるかは分からないけれど、オズワルドが監督に就任したお陰で、「長いスパンの期待」が持てるようになった。
そのことは、精神衛生上も、とてもポジティブな心理バックポーンだね。
とにかく、今後に期待しましょう。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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