湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第24節(2018年8月26日、日曜日)
- チョウ・キジェとの対話・・(ベルマーレvsFC東京、0-0)
- レビュー
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- ・・ゴール機会の量と質という視点じゃ、FC東京に一日以上の長があった・・
・・その事実は、誰もが認めるところだろうと思う・・
・・そのコトのバックボーンには、ディエゴ・オリヴェイラのテクニック、スピード&パワーに代表される、個のチカラの差があった・・
・・そのポイントをどのように考えるか?・・
そんな私の質問に、例によってチョウ・キジェは、真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。
曰く・・
・・負けはしたけれど、このところのホームゲームだった、マリノス戦、ヴィッセル戦ともに、内容でも、チャンスの(スペース攻略の!)量と質という視点でも、我々が上回っていた・・
・・でも、この試合では、たしかに東京のチカラに一日の長があったと思う・・
・・たしかに仕掛けの最終勝負では、個のチカラが、大きくモノを言った・・
・・でも、FC東京は、後方での組み立てでも、そこからタテへ仕掛けていくプロセスでも、優れた実力を呼べるだけのチカラがあったし、その点で差があったと思う・・
・・東京は、そんな組織的な「組み立て力」があったからこそ、強い個のチカラも、しっかりと活用し尽くせたという見方が正しいのではないか・・
・・まあ、とはいっても、我々も、最後まで、しっかりとしたサッカーを展開できていたでしょ・・
・・いままでだったら、彼らが創りだしたゴール機会の一つを決められ、前へ重心を移したスキを突かれて追加ゴールを決められちゃう、なんていうゲーム展開になっていたはずだけれど・・
・・でも、このゲームでは、マリノス戦やヴィッセル戦と比べれば「やられていた」シーンの方が多かったにもかかわらず、しっかりと最後まで粘りの闘いをつづけて引き分けを勝ち取った・・
・・もちろん、選手たちのなかでは「勝ち点1を取れて良かった・・」なんて思っている者は、一人もいませんよ・・
素敵なコメントだね〜・・
だから、どうしても対話を、「次」に進ませたかった。
だから、司会の方の許しを得て、こんな(二つ目の)質問も、してみたんだ。
・・かなり、選手たちの「内面の成長」に手応えを感じているようですが・・
・・実は、わたし(筆者)も、そうなんですよ・・
・・選手たちは、ディエゴ・オリヴェイラとか、永井謙佑とか、レベルを超えたスピードとパワーをブチかまされ、部分的にはズタズタに切り裂かれたわけじゃないですか・・
・・そう、選手たちは、とても、とても切実に(チカラの差を!?)体感させられた・・
・・普通、そんなふうに、相手の強さや凄さを体感させられたら、気持ち的に押されて、足が止まり気味になってしまうモノだと思うんですよ・・
・・でもベルマーレ選手たちは、まったく臆することなく、チャンスを見出したら、どんどんと積極的に押し上げていった・・
・・わたし、数えていたんですよ・・
・・素早いカウンターシーンは除いて、組み立てプロセスからの仕掛けだったら、常に、少なくとも5人のプレイヤーが最終勝負シーンに絡んでいたってね・・
・・(まるで、イビツァ・オシム時代のジェフ市原を彷彿とさせる!?)・・
・・それは、選手たちの闘う意志が充実し、発展していることの明確な証だと思うのですが・・
実は、その質問に込めたかった深めのニュアンスは・・
・・選手たちの「闘う意志」は、決して、脅しや恐怖などでは、「究極レベル」まで高揚させることなどできない・・
・・そのレベルまで闘う意志をアップさせられるは、やはり選手たち個々人しかいないんだよ・・
・・ということだった。
そう、この質問には、チョウ・キジェの、(選手たちの意志を極限まで高揚させる!?)心理マネージャーとしての素晴らしいウデというニュアンスも込めたつもりだったのさ。
でも、チョウさんのチカラについて、彼自身に問いかけるのは、まあ、フェアじゃない。
だから、質問は、そんな風に締めたんだけれど・・
ということで、この質問に対する、チョウ・キジェのコメント骨子は・・
・・守備だけではなく、攻撃での組み立てや仕掛けプロセスでもチカラのある東京・・
・・そのコトは、選手たちも十分に理解している・・
・・でも彼らは、決して下がって対応したくないという強い意志をもって闘った・・
・・もっと言えば・・
・・選手たちには、「質」を「量」で上回り、FC東京の選手たちを(物理的&心理・精神的にも!?)疲弊させるという強烈な意志があったということなのかもしれません・・
そう、そうなんだよ。
そんな強烈な意志があるからこそ、ゲームを観にくる方々と、感動を共有できるんだ。
・・我々は、しっかりと粘りながら、着実に成長している・・
・・わたしも、選手も、そのコトを、確かな事実として実感しているんです・・
会見の冒頭で、チョウ・キジェが、確信の表情で、そう述べていたっけね。
わたしは、いつも書いているように、チョウ・キジェ応援団の1人です。
だから、ベルマーレの「確かな成長」を体感することが、楽しくて仕方ありません。
その絶対的ベースは、言うまでもなく、極限の闘う意志に支えられた、攻守ハードワークとリスクチャレンジにあふれる積極的な攻撃サッカーだよ。
そんな、失敗を恐れることなく、積極的にチャレンジするリスクチャレンジ姿勢こそが、人々の感動を呼び起こすんだ。
自ら、「何かを吹っ切って」ギリギリのチャレンジプレーをブチかます・・
優れた「ストロングハンド」、チョウ・キジェに率いられたベルマーレ選手たちのダイナミックなプレーからは、そんな「立派な覚悟のオーラ」を感じるのさ。
だからこそ、結果に関係なく、彼のゲームを観たあとには、常に「何かポジティブな感性」が心に残る感じがするんだよ。
ということで・・
これからも、彼らの成長を、しっかりと観察しつづけますよ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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