湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第24節(2018年8月27日、月曜日)
- 風間グランバスのサッカーは、着実に「再生・高揚」している・・またレッズだけれど、後半にやっと本領を発揮した・・(グランパスvsレッズ、4-1)
- レビュー
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- ・・グランパスのサッカーは、W杯の休止期間に、とても良くなっている・・
それは、第16節、レッズ対グランパス戦のときに風間八宏監督が、確信の表情で語っていたコメントだった。
そのコラムはレッズ中心だったから、そんな風間八宏の言葉には触れなかったけれど・・。
でも・・
そう、この試合でグランパスが魅せた、人とボールが「素敵なリズム」で動きつづける高質サッカーを観ながら、すぐに当時の彼の言葉がアタマに浮かんできたっちゅうわけさ。
実は、そのコメントを聞いたとき(W杯から帰国した当日!)は、こんなコトを考えていた・・
・・たしかに、人とボールの動きに「確固たるリズム」が戻ってきているコトも含め、風間八宏が確信しているコトのバックボーンについては、ある程度はイメージできる・・
・・でも・・
・・その「動きの内実」を観ながら、あまりにも「タテへの仕掛けパスが少なすぎる」という印象も含め、まだまだ時間がかかる!?・・
・・なんていう印象の方が強かったんだよ。
でも・・
そう、その後のグランパスは、実戦を積み重ねるなかで、まさに「復活」や「再生」という表現がピタリと当てはまるような進化&深化を魅せたっちゅうコトなんだよ。
ストロングハンド風間八宏の優れた仕事に、乾杯!!
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ということで試合だけれど・・
わたしは、前半を見終えて、このまま一敗地にまみれてしまったら、「立ち直るのに時間がかかるだろうな〜・・」なんてコトを心配をしていた。
(前節も含めて!)失点が重なっただけじゃなく、完璧にグランパスにゲームを支配される(ポゼッション率でも、パス数でも!)敗戦ということで、心理的なダメージが心配だったんだよ。
ただ・・
そう、皆さんもご覧になった通り、後半になって、やっとレッズが、「自分たちのサッカー」を展開できるようになったんだ。
でも、ゲーム内容が変容したにもかかわらず、レッズは、その後も失点を重ねてしまった。
そのグランバス得点のヒーローは、交替出場した若手の突貫小僧だった。
そう、早稲田大学在学中で、特別指定選手としてグランパスに参戦した相馬勇紀。
采配が、まさに神がかり的にツボにはまった風間八宏にも拍手だよね。
そう、3点目、4点目は、その相馬勇紀からのクロスを、ジョーが、ブチ込んだんだ。
まあ確かに、それまでの後半ゲーム展開からすれば、「唐突」ってな感じのゴールではあった。
それでも、様々な意味合いで、「最終的な勝負ポイント」で、ジョーを抑え切れなかったレッズ守備にも、明確な課題が残ったとも言える。
あっと・・
その課題の背景には、前回対戦のなかで、ジョーとガブリエル・シャビエルを完封したっちゅう「成功イメージ」に引きずられ過ぎた・・という側面もあったんだろうね。
そして、もう1人。
そう、前回対戦のあとから頭角を現し、いまでは完璧な主力として、次元を超えた、特筆の活躍を魅せつづけている前田直輝。
また、シーズン途中でフロンターレから移籍してきたエドゥアルド・ネットも、かなりチームに馴染んできている。
まあ、彼の場合は、「風間サッカー」が、しっかりとイメージに刻み込まれているだろうから・・。
ところで前半のレッズが、完璧に「やられまくった」ゲーム内容だけれど。
それについて私は、こんな見方もしていた。
それは・・
・・前回対戦での成功体験から、あまりにも強く、「グランパスの横(バック)パスや、ぬるま湯のタテパス」をインターセプトして素早い必殺カウンターを決めてやる・・」ってなゲーム戦術イメージに偏ってしまっていた!?・・
・・だから、レッズ守備ブロックは(まあ前線も含む選手たちは!?)、グランパスの人とボールの動きに「引きずられる」ことなく、しっかりと次のボール奪取(インターセプト)を狙うことに固執してしまっていた!?・・
・・ってな見立て。
まあ、とにかく・・
あの逆境から(後半に)再生し、自分たちのサッカーを前面に押し出して闘えたコトは、とてもポジティブな出来事だったと思っている筆者なのです。
ところで・・李忠成・・
阿部勇樹とか(久しぶりに交替出場したゲームでは良いプレーだった森脇良太とか)荻原拓也など、途中出場にもかかわらず(様々な意味合いで!)貴重な価値を提供した選手についてコメントしたとき、李忠成については、これまで、まったく触れてこなかった。
それは、すこし偏った(良いプレーは認識していたけれど、それだけ・・ってな)分析だったと、反省しきりの筆者なのですよ。
何せ、李忠成は・・
この試合でも、途中出場ながら、攻守にわたって奮闘し、チームにとって、とても価値あるプレーを披露したんだから・・。
特に、守備への「関わり方」に、創造性や強い意志という視点も含め、長足の進歩が感じられた。
だからこそ、次の攻撃プレーでも、あくまでも「シンプル」を基本に、チャンスとなったら、勇気あふれるドリブル突破へのチャレンジも魅せる。
もちろん、クロスへの(勇気マンマンの!)飛び込みなど、彼の真骨頂ともいえるギリギリの最終勝負プレーも健在だった。
とにかく李忠成は、前述した、「交替出場しプラスαの価値を提供する選手」の1人として、明確にリストアップしておかなきゃいけない選手だよね。
さて・・
負けはしたけれど、後半のゲーム展開を観れば、オズワルド率いるレッズが、着実に進化&深化していることは、確かな事実だと感じられる。
とにかく今は、来シーズンへ向けた「攻守イメージの構築&浸透」という意味合いも含め、とても「大事なプロセス時期にある・・」という意識をもって日常を過ごすのが肝要です。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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