湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第30節(2018年10月20日、土曜日)
- アントラーズを相手にした逆転勝利だぜ!・・希有な出来事であるからこそ、勝者メンタリティーを着実に深化させられる!?・・(レッズvsアントラーズ、3-1)
- レビュー
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- いま(1845時)、監督会見が終了しました。
でも外は、まだ、かなり強烈な(にわか)雨が降りつづいている。
上空の寒気と地上温度の「差」が40℃近くあるらしい。だから、ぶ厚い雲が発生する。
フムフム・・
埼スタに到着したときは晴れていたのにネ・・。
もちろん、にわか雨の可能性については、気象庁の(!?)スーパーコンピューターによる予想があったから、把握していたよ。
だから、(予定通り!)このまま会見室で、雨が止むのを待ちながらコラムを書くことにした次第。
さて、ということで、このゲームのテーマだけれど・・
そうね〜・・
まあ、まず何といっても、「勝者メンタリティー」を、より進化&深化させていくポジティブベクトルに乗っているレッズ・・ってなポイントをピックアップしなきゃいけないでしょ。
何せ・・
そう、試合の立ち上がり30分までレッズがブチかました、まさにスーパーサッカーと呼ぶに相応しい「積極的な攻撃サッカー」が、躍動しつづけたわけだからね。
攻守ハードワークとリスクチャレンジがテンコ盛りだからこそ、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、彼らが秘めるダイナミズムに火を点ける。
そして、だからこそ、ワンツーやドリブル突破などの「個の勝負プレー」も、アントラーズ守備ブロックのスペースを切り裂いていけるんだ。
何度あっただろうか、誰もが「あっ、ゴールだ!!」って、全身を硬直させる瞬間が・・。
相手は、「あの」アントラーズ守備ブロックだからね、レッズが繰り出す仕掛けのダイナミズムが、ホントにパンパなかったって体感させられるわけさ。
でも、好事魔多し・・
そう、一瞬のカウンターから、アントラーズ西大伍に、まさに「起死回生」のダイレクトボレーをブチ込まれてしまうんだ。
実は、その先制ゴールを決められるまで、何か、イヤな予感は、していたんだよ・・
あまりにも、レッズが魅せつづける、アントラーズを押し込んでいくスーパーサッカーが素晴らし過ぎたこともあったから・・ね。
そう・・
サッカー内容が良いときに限って、カウンターやセットプレーなど、アントラーズの「狙い定めたワンチャンス」に沈められてしまった記憶が呼び起こされるんだ。
そして実際に・・
その、西大伍の先制ゴールが決まった瞬間には、その次にくる、体感ベースのネガティブな試合展開イメージが、脳裏をよぎったモノさ。
そう、そこからの、逆転を目指す立ち直りプロセスでも、相手がアントラーズということで、ネガティブなイメージが、先行してしまったんだ。
それほど、アントラーズ守備ブロックは、堅い。
ということで、これまでだったら・・
・・その後の、強化されたアントラーズ守備ブロックの裏スベースを攻略していく雰囲気さえ、かもし出すことができず・・
・・攻めあぐむ雰囲気がチームを暗〜くしてしまうことで、プレーのダイナミズム(人とボールの動き!)自体も、どんどんダウンしていってしまう・・
・・そして、心理的な悪魔のサイクルにつかまってしまうことで、質実剛健のアントラーズに守り切られて負けてしまう・・
・・そんな(その後の!)勝負展開イメージに、アタマが占拠されちゃうんだ。
でも・・
そう、この試合でのレッズは、そんな、脳裏にこびり付くネガティブイメージを払拭する、とても立派な大逆転勝利をもぎ取ることになる。
わたしは、アントラーズを相手にして逆転勝利をもぎ取るという、ある意味で希有な「勝負プロセス」を観ながら、こんなコトを考えていた。
それは・・
これまでレッズが引きずってきた「ネガティブイメージ」とは一線を画するからこそ、「勝者メンタリティーを、より深化させる」に違いないってね。
とはいっても・・
この大逆転ドラマを完遂するまでには、紆余曲折もあった。
まず、後半になって、アントラーズ(攻撃)が盛り返してきたこと。
もちろんゲームは、ダイナミックに均衡していく。
そんな展開では、前半の30分あたりまでレッズが魅せていた、スーパーなドミネーション(ゲーム支配=イニシアチブ)をつづけるのは、そんなに簡単な作業じゃない。
そりゃ、そうだ。
何せ「あの」アントラーズ「も」、中盤ディフェンスが活性化したことで(!?)ゲームのイニシアチブを握りはじめたわけだから。
そう、そのことで、彼らの守備ブロックも、より前からボール奪取プロセスを機能させられるようになったんだよ。
もちろんそれは、レッズが、仕掛けプロセスに多くの人数をかけられないことで、組織コンビネーションの流れも、スムーズにいかなくなることを意味する。
そして、うまくスペースを攻略できないことで、個の勝負も機能不全に陥る。
まあ、そのことはアントラーズも同じだったわけで、両チームともに、簡単にはゴールチャンスを創りだせないでいたっちゅうわけだ。
そう、ダイナミックな均衡状態。
そんな雰囲気のなかで、レッズの同点ゴールが生まれるんだよ。
後半7分、CKから、岩波拓也がヘッド一閃。
それは、ゲーム展開(ゲーム内容の成長!!)プロセスからすれば、まさに「唐突な・・」とでも表現できそうな同点ゴールではあったよね。
でも、もっと、「唐突」という印象の強かったのが・・
そう、武藤雄樹の、勝ち越しゴールと「突き放しゴール」だったんだ。
前半のレッズは、素晴らしいスーパーサッカーで、アントラーズ守備ブロックを何度も崩し、とても可能性の高い「ゴール機会」を創りだした。
でも、決められず・・
そして、どちらかといったら「唐突な印象」の方が強い、上記の「三発」をブチ込んで、大逆転ドラマを完遂しちゃう。
まあ、サッカーって、そういうものだよね。
そして、勝者メンタリティー(自信と確信レベルの高揚!?)が深化していく・・。
フ〜〜ッ・・
ところで・・
武藤雄樹のゴールシーン。
前半にも、彼自身がコアになった素晴らしいコンビネーションや、ものすごくスキルフルなドリブル突破で、とても可能性の高い「ゴール機会」を創りだしていたよね。
たしかに、そのチャンスシーンも、メチャクチャ印象的ではあった。
でも、後半の「二発ゴールシーン」では、まさに、本物ストライカーっちゅう雰囲気が、あふれ出さんばかりに放散されていたっけね。
だから、オズワルドに聞いた。
・・ところで武藤雄樹ですが、彼には、いったい何があったんですか??(場内 笑)・・
そしたら・・
・・日頃のトレーニングで、彼が、とても優れた能力を秘めていることを、繰り返し自覚させるように務めたんだ・・
・・それが彼の心理を解放し、自信と確信レベルをアップさせることで良い結果を導き出しているっちゅうことだろうね・・
フムフム・・
それにしても武藤雄樹。
まさに、「本物のブレイクスルー真っ最中」ってなスーパーパフォーマンスではありました。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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