湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第32節(2018年11月10日、土曜日)
- 前半に起きたゲーム展開の逆流に、両チームの実力の差を感じさせられた・・(FC東京vsジュビロ、0-0)
- レビュー
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- ・・この勢いも、まあ、前半の15分くらいまでだろうな・・
立ち上がりから、フルスロットルで攻め上がっていくジュビロ。
もちろん全体的なゲームペースは彼らが握る。
でも・・
そう、私は、そんな大パワー攻撃の内実を、しっかりと分析していたんだ。
もちろんその骨子は、攻守にわたるボールがないところでのプレーの量と質。
たしかに、ボール奪取プロセス(寄せとデュエル)では、FC東京を凌駕しているジュビロだったけれど・・
そう、その勢いを受け止めるFC東京ディフェンスブロックのプレー内容(そこでかもし出される雰囲気!?)が、とても(いや・・妙に!?)落ち着き払ったモノだったんだ。
グラウンドを支配する、そんな雰囲気・・
だから、FC東京が、ジュビロの「次の仕掛け」を冷静に見極め、そのほとんどを「そこ」で潰してしまったのも道理・・ってな印象が強かったというわけさ。
要は・・
ジュビロは、ボール奪取から、直後の攻め上がりまでは、勢いを落とさなかったけれど、肝心の「最終勝負プロセスの内実」が鳴かず飛ばずだったっちゅうわけなんだよ。
そう、ジュビロは、FC東京ディフェンスブロックの隙間(スペース)を、まったくと言っていいほど突いていけなかったんだ。
そんなだから、ある程度は可能性を感じさせられようなゴール機会(良いシュートチャンス)」を創りだるはずがない。
そして最後は、詰まった状態での(FC東京ディフェンスに追い込まれたことで、打たざるを得なくなった!?)、「エイヤッ!!」ってな感じのアバウトシュート。
そんな仕掛けプロセスでは、FC東京が敷く、堅牢な「ブロック守備」を崩し切れるはずがない。
そんな、こんなで・・
ゲームの立ち上がりを観ながら、隣に座る大住良之さんと、「たぶん、15分か、20分くらいだね・・」などと、ゲーム展開の逆流を予測していたっちゅうわけさ。
そして案の定・・
そう、20分過ぎあたりからは、もう完全にFC東京がイニシアチブを握り返し、「いつゴールを陥れてもおかしくない・・」ってな感じで、ジュビロを攻め立てはじめたんだよ。
そんなゲーム展開の逆流について、ジュビロの名波浩監督は・・
「相手の動きを(まあFC東京のボランチを中心にした人とボールの動き!?)を、うまく追い込むことができなかった・・」といったニュアンスの内容をコメントしていたっけね。
まあ、たしかに、ゲーム戦術的な(幾何学ロジックベースの!?)分析はあるんだろうけれど・・
わたしは、シンプルに(ヘネスやリヌスに教えられたように!)、チェイス&チェックと、周りの「連動ディフェンス」の内実を観ていたんだよ。
一つのグラウンド上の現象については、もう、ホント、際限なく、様々な「表現」が出てくる。
だから、分からなくなったら、守備と攻撃の「目的」という発想に立ち返ることにしているんだ。
攻撃では、もちろんシュートを打つこと(ゴールは単なる結果にしか過ぎない!!)。
そして、その目的を達成するための「当面の目標イメージ」が、スペースの攻略(ある程度フリーでボールをもつ味方を演出すること!)っちゅうわけさ。
また守備の目的は、言わずもがなだけれど、相手からボールを奪い返すこと。
シュートを打たせない、失点を防ぐ・・というのは、単なる結果にしか過ぎない。
そのために、相手にスペースを使わせないというイメージで、連動ディフェンスを機能させなきゃいけないっちゅうわけだ。
もちろん・・
そんな「攻守の目的を達成するためのプロセス」を、どのように選手たちにイメージさせるのかというテーマで、それぞれの監督の「戦術的な個性」が表現されるっちゅうわけだ。
あっと・・
チト、深く入りすぎかもしれない。
ゲームは、皆さんも観られたとおり、「逆流の後」は、完璧にFC東京がイニシアチブを握りながら、チャンスも創りだした(何度もスペースを攻略した)。
でも・・
そう、対するジュビロ守備ブロックも(ポーランドのスーパーGK、カミンスキーも!)、最後の最後まで、しっかりと「最後の半歩」を出しつづけていたよね。
たしかに、名波浩が言うように、中盤でFC東京が仕掛ける「組み立てプロセス」は、うまく抑え込めなかった。
それでも、最後の瞬間では、最高の集中力を発揮し、しっかりと、GKも含めた一人ひとりが、「最後の瞬間」をイメージし、そこへ、強烈な意志をもって身体を投げ出していった。
それは、それで、見所十分だったし、感動的でさえあった。
ジュビロが勝ち取った「勝ち点1」にも、乾杯っ!!!
さて、フロンターレがリーグ優勝を決めるなかで、ジュビロの「J1残留」も、ほぼ確実になったというのが一般的な見方だよね。
またFC東京も、来シーズンACLの座を掴める可能性を残した。
私は、試合を観ながら、レッズとベルマーレのゲーム展開が気になって仕方ありませんでした。
そして・・
レッズは勝利、そしてベルマーレは惜敗。
フムフム・・
このゲームについては、後で、ダゾンしよう。
ということで最後に・・
素晴らしくエキサイティングな優勝争いと降格リーグが繰り広げられていることのバックボーンは(?)というテーマについても、言及させてくださいな。
私は、リーグが、一年を通して闘われているからこそ・・だと思っているんですよ。
サッカーの伝統を崩す、「変な興行」で、人工的に盛り上げようとするのではなく・・ネ。
それについては、「The Core Column」で、かなり以前に発表した「このコラム」も参照してください。
とにかく、お互い、リーグ最終盤のエキサイトメントを、とことん楽しもうじゃありませんか。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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