湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第33節(2018年11月24日、土曜日)

 

ベルマーレは、「あの」強いレッズに、よく勝った・・その闘う姿勢に(チョウ・キジェに!)乾杯!!・・(ベルマーレvsレッズ、2-1)

 

レビュー
 
まず、レッズ・・

まあ、仕方ない。

ゲームドミネーション(ゲームの支配内容)では、誰の目にも明らかだったように、レッズに一日の長があった。

でも・・

ベルマーレは、最後の最後まで、強烈な意志ベースの、ものすごく粘り強いディフェンス(デュエルやカバーリング等など)を展開したんだよ。

そう、彼らは、最終勝負シーンで、「最後の半歩」を出しつづけたんだ。

だからこそ、守り切れた。

とはいっても、実は・・

そう、あれだけ支配していたレッズだったけれど、実際に、決定的スペースを攻略できたシーンは、数えるほどしかなかったんだ。

それほど、ベルマーレ守備は(強烈な闘う意志が)レベルを超えていたっちゅうことだね。

チェイス&チェックにしても、周りのマーキングやカバーリング、協力プレスへの集散や、最後の瞬間での、身体を投げ出した「シュートブロック」にしても・・

それって・・

そう、選手たちのなかに、闘いを挑んでいくための「ホンモノの主体性」がなければ、決して到達できる高みじゃない。

ベルマーレ選手たちは、一人の例外なく、攻守にわたって「達成したいプレーイメージ」を、脳裏に描きつづけているんだ。

だからこそ、攻守にわたって、全力スプリントのオンパレードということになるのも道理。

そして私は、そこまで選手たちの、主体的な「意識と意志」を高揚させつづけるチョウ・キジェに、心からの拍手をおくるわけさ。

イレギュラーするボールを足で扱うという、不確実なファクター満載のサッカーは、究極の「意志のボールゲーム」なんだよ。

どこかの知ったかぶりが、いくら「幾何学ロジック的な机上の空論」を声高に(得意げに!?)叫んだところで、実質的な影響を与える「戦術メカニズム要素」をピックアップし、それを、全体と個別、それぞれに分析するロジックプロセスこそが、 普遍なんだよ。

あっと・・

実は、私、この対戦の結果を、喜んでいたんですよ。

もちろんオズワルド率いるレッズもサポートしているけれど、前節までの結果から、リーグで3位を得るのは難しいって思っていたこともあるんだよ。

実際、もしレッズが、この試合に勝ったとしても、アントラーズが勝利したことで、第33節が終わった時点で既に、追いつけなくなってしまったよね。

そんなこともあって、今節は、ベルマーレの「J1_残留」の方に目が向いていたんだよ。

それにしても・・

チョウ・キジェも言っていたけれど、前節、前々節と、サッカー内容とチャンスメイクの量と質でも相手を上回っていたにもかかわらず、それを結果につなげることができなかった。

逆に、この試合では、内容でレッズに上回られたにもかかわらず、しっかりと結果はたぐり寄せた。

・・サッカーって難しいですよね・・

チョウ・キジェが、そんなコトを言うんだよ。

だから、ベルマーレが「必然的に強くなっている・・」という事実について聞いた。

そしたら・・

・・私は、しっかりとした(闘う)意志をもって、積極的に勝負アクションに入る姿勢こそが、とても大事なプレー姿勢だと思っているんです・・

・・とにかく、様子見になってしまうような後ろ向きの状態(思考の空白状態!?)ではなく、つねに主体的にアクションするように(具体的なイメージング!!)指導しているんです・・

・・もちろん、様子見になってしまったにもかかわらず、結果だけは良い方向へ転ぶことだってありますよね・・

・・でも私は、リスキーであっても、それが失敗につながったとしても、常にチャレンジしていくプレー姿勢を植え付けようと日々努力しているんです・・

・・もっと言えば、選手たちのなかから、必然的に、勇気あるリスクチャレンジのプレーが出てくることこそが我々のターゲットということになるのかもしれませんね・・

いいね〜、チョウ・キジェ。

やっぱり彼は、心からサポートするに値するプロコーチだ。

さて・・

そう、今日は勝ったベルマーレだけれど、来週の最終節では、またまた大変な勝負マッチに臨まなきゃいけない。

それは、アウェーでの、風間八宏グランパスとの対戦。

グランパスも、レッズ同様、「クビの皮一枚」ってなギリギリの状況にあるんだ。だからこそ・・

あっと・・その最終節だけれど・・

そこでは、自動降格になる二つのクラブは今日で決したから(長崎とレイソル)、「J1参入プレーオフ決勝」に臨まなければならない「16位クラブ」を決める闘いになるわけだ。

もちろん上位では、アントラーズとコンサドーレによる、「リーグ3位の座」をめぐる闘いが繰り広げられる。

とにかく、現在の順位表と、最終節のマッチスケジュールを見ながら、様々なケースを想像し、思いを巡らせてください。

そこでは、勝ち点だけじゃなく、得失点差も、大いに関係してきますからね。

ところで・・

こんなエキサイティングな最終節を迎えられたのも、「J」が、一年を通したリーグであるからこそ。

そのテーマについては、「The Core Column」で以前に発表した「このコラム」もご参照あれ。

とにかく、最終節は、すごい闘いが繰り広げられること請け合い。

いまから楽しみで仕方ありません。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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