湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第34最終節(2018年12月1日、土曜日)
- 理論的な可能性はあったけれど・・実際に起きてしまった残酷な(名波浩の表現!?)結果・・(フロンターレvsジュビロ、2-1)
- レビュー
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- エッ!?
まさか、そんなことが・・
そう、フロンターレが、後半ロスタイム4分に、決勝ゴールをゲットしたんだよ(ジュビロのオウンゴール!)。
そしてその直後にタイムアップ。
倒れ込むジュビロ選手たち。
私も、(他会場でのゲーム経過と結果も含めて!!)眼前で繰り広げられたギリギリの「超越ドラマ」の結末を信じられない思いで見つめていたっけ。
何せ、この最終節では・・
ACLのイスと、降格リーグの最終決着をめぐるギリギリの闘いが、同時並行的に繰り広げられたんだから・・
ということで、取り敢えず・・
最終節がはじまる前の「状況」を簡単に振り返っておきましょうか。
興味の対象は、4つのゲーム「だけ」だった。
ACLのイスをめぐる闘いとしての、コンサドーレ対サンフレッチェ、アントラーズ対鳥栖。
そのアントラーズvs鳥栖の結果は、ACLと「降格リーグ」の両方に深く関与していた。
そして、純粋な「降格リーグ」の戦いとなったのが、グランパス対ベルマーレ、そして、このフロンターレ対ジュビロだったっちゅうわけだ。
もちろん、リーグ2連覇を決めた、リーグでもっとも「質実剛健」なフロンターレと闘う降格候補(ジュビロ)が、厳しい闘いを強いられるのは自明だった。
そう、今シーズンのフロンターレも、質(美しさ)と実(強力ディフェンスと結果)において、他をまったく寄せつけない存在感を魅せつづけたんだ。
そして、この試合でも・・
いつも書いているように、攻撃の当面の目標イメージは、相手ゴール前の決定的スペースを攻略することだよね。
そう、「そこ」で、ある程度フリーなボールホルダーを創りだすんだ。
そのプロセスは、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションでもいいし、個の突破ドリブルでもいい。
まあ、フロンターレは、その「両方」を、組み合わせながら、秀でて美しいプロセスを魅せつづけるっちゅうわけさ。
そんなチームが、日本のリーグチャンピオンであるコトが秘める価値には、筆舌に尽くしがたい素晴らしいコノテーション(言外に含蓄される意味)が内包されている。
あっと・・
このゲームでも、フロンターレが、いつゴールを陥れてもおかしくないゲームが展開されていたんだ。
だから、後半33分にジュビロの大久保嘉人がヘディングで叩き込んだ先制ゴールは、まさに「唐突」の極みではあった。
でも、そこからフロンターレが、大逆転ドラマを完遂させてしまったっちゅうわけだ。
ところで、最終節まえの「降格リーグ」のランキング状況だけれど・・
(勝ち点的に!)降格リーグに「まだ」取り込まれているかもしれない・・と見えていたヴィッセルとマリノスは、対戦カードと得失点差によって、すでに降格候補からは抜け出していたんだ。
ということで・・
そのランキング状況を見たら、ジュビロが、横浜FC対ヴェルディの勝者と闘う「J1参入決定戦」に回らざるを得なくなるとは、誰も想像だにしなかったでしょうね。
なにせ、その条件は、とても「薄かった」わけだから・・
それは・・
まず、ジュビロが、フロンターレに敗れること。
そして同時に、「あの」強いアントラーズのホームで闘う鳥栖が、勝つか引き分けるという結果を達成し、残りの二つの候補クラブの直接対決である「グランパス対ベルマーレ」が引き分けに終わることだったんだよ。
そりゃ、誰もが、とても「薄い可能性」だって思ったに違いないわけさ。
でも・・
結局は、まさに、そんな「あり得ない結果」に落ち着いてしまった。
そう、「降格リーグ」に取り込まれていた4チームすべてが、勝ち点「41」で並んでしまったんだ。
まあ、最初リードを奪ったマリノスも、結局は逆転されて「勝ち点41」で足踏みしちゃったけれど、彼らの場合は、得失点差で、圧倒的に優位に立っていたからね。
そして・・
そう、皆さんも観られた通り、勝ち点「41」に、5チームがひしめくなかで、ジュビロの得失点差が、ダントツに悪かったというわけだ。
・・私は、敗戦の後に話すほど(この結果を、余裕をもって受け容れられるほど!?)まだまだ人間ができているわけじゃない・・
記者会見で、名波浩がそんなニュアンスの内容をコメントしていたけれど、その辛さ(!?)は、わたしにも分かる気がする。
そりゃ、わたし自身も、何度も一敗地にまみれたし、耐えきれない時間を過ごさなければならないこともあったんだよ。
また、自分のコトだけじゃなく、ドイツの友人たちも・・
・・友人が監督を務めていたチームが(たしか2部リーグ)ギリギリで下部リーグへ降格してしまった・・とか・・
・・奥寺康彦が主力で活躍していた当時のブレーメンが、「このPKさえ決めればブンデスリーガ優勝・・」っていう大事なペナルティーキックを、ポストに当てて外してしまったり・・
そのリーグ戦だけれど・・
結局は、バイエルンに、大逆転でリーグ優勝をもっていかれてしまったというわけだ。
またそれは、奥寺康彦にとって、ブンデスリーガ最後のシーズンだったと思う。
とにかく、何度も、「あり得ない不運」に見舞われたドイツの友人たちに付き合い、朝方まで飲んだくれた記憶が、いまでも鮮明に残っているのさ。
さて・・
前述したように、ジュビロは、明日(12月2日)に横浜ニッパツで開催される(1300時キックオフ)、J1昇格プレーオフ2回戦(横浜FCvsヴェルディ)の勝者を、12月8日の土曜日に、ヤマハスタジアムで迎え撃つ。
そのルール(決着方法)は・・
たしかに、90分間で引き分けならば、ジュビロが残留することになるけれど・・
でも、そこはサッカー。何が起きるか分からない。
そこでは、偶然と必然が、とても理不尽に「交錯する」ドラマが繰り広げられるに違いありません。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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