湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第7節(2018年4月11日、水曜日)

 

内実が素晴らしくアップしているセレッソの守備・・また、フロンターレ仕掛けの変化についても・・(フロンターレvsセレッソ、1-2)

 

レビュー
 
セレッソのユン・ジョンファン監督は、とても良い仕事をしている。

ここまで多くの失点を喰らっていたわけだけれど(6試合で9失点!)、この試合では、とてもステディーなディフェンスを魅せつづけたんだよ。

その「守備の立て直し」にしても、ユン・ジョンファン監督が言っていたように、チーム戦術としての重要な改善ミッションだったっちゅうわけだ。

それも、今日の相手は、「ボールがないところで勝負を決める」という視点でリーグ随一のフロンターレだからね。

まさに、相手にとって不足なし(努力の成果を体感できる最高の機会!)というわけさ。

そんな、改善傾向にある(!?)セレッソ守備だけれど、際立っていたのは、何といっても、選手個々の、積極的に仕事を探しつづける姿勢だった。

そう、闘う意志。

何度、こんなシーンを目撃したことだろう。

・・例によって、フロンターレが魅せつづける人とボールの軽快な動きのリズム・・

・・でも・・

・・そう、その軽快な「流れ」を断ち切るように、前戦から戻ってきた選手が、ズバッと、パスをインターセプトしちゃう・・

そのときフロンターレ選手は、「エッ!?」ってな違和感を覚えたに違いない。

そりゃ、そうだ。

フロンターレ選手たちにとっては、彼らが演出する軽快な人とボールの動きを、あんな「感じ」で寸断されるような経験は多くなかったはずだからね。

それほど、セレッソ選手たちの守備参加への意識はレベルを超えていたんだ。

だから、ゲームのイニシアチブは掌握していたフロンターレだったけれど、「ゴール機会の量と質」という視点で、どうも、本調子に乗り切れなかった。

そう、押し込んではいるけれど、どうも、うまくスペースを攻略できないんだ。

そんなゲーム展開を観ながら、わたしは、「今日はセレッソ守備が明らかに勝っているな・・」なんて感じていた。

でも・・

そう、フロンターレは、仕掛けの流れを潰されても、止められても、けっして諦めることなく攻め立てていくんだよ。

そして、そんな粘り強い攻めが報われる。

後半44分。

大島僚太とのワンツーで抜け出した家長昭博が、素晴らしいクロスをおくり、それを、小林悠が、ヘディング一閃!!

でも、GKキム・ジンヒョンの正面に飛んでしまう。

またその3分後のロスタイムには、右サイドを抜け出した武岡優斗が、これまた正確なクロスを送り込み、フリーのエドゥアルドがヘディング一閃!!

その3分前に小林悠が放ったヘディングシュートと同様に、誰もが、「あっ・・同点ゴールだ〜っ!!」って、フリーズしたに違いない。

でも、無情にも、そのヘディングシュートも、わずかに右ポストを外れていった。

その二つの決定的チャンスは、それまで潰されつづけたフロンターレ攻撃からすれば、まさに「次元の違うスーパーチャンス」だったんだよ。

そこまで、「こりゃダメだ・・いくらフロンターレでも、セレッソ守備が堅すぎる・・このまま崩し切れずにタイムアップになっちゃうんだろうな〜・・」なん て思っていたけれど、その、唐突におとずれた絶対的チャンスに、一瞬、アタマを「ボカッ!!」と殴られたようにフリーズしたモノさ。

だから、試合後の記者会見で鬼木達さんに聞いた。

・・たしかに、終了直前に創りだした、二つのクロス&ヘディング場面は、まさに決定的だった・・

・・でも、それまでのフロンターレの攻めは、完璧にドミネートはしているけれど、どうしても最後のところでスペースを攻略できていなかった・・

・・それは、たぶん、フロンターレの仕掛けが・・そのやり方やコンビネーションのリズムなどが、セレッソに把握されていたからだと思う・・

・・後半には、大久保嘉人が、超ミドルシュートをブチかましたけれど、そんなミドル弾とか、アバウトな放り込みとか、そんな仕掛けの変化も必要だと思うのだが・・

たしかに、フロンターレがブチかます、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションは、素晴らしく破壊的だ。

でも相手が、その「リズム」のイメージに合わせ、次、その次のパスを(覚醒の主体性で!!)狙いはじめたら、問題が生じるでしょ。

そう、このセレッソ戦のようにね。

だからこそ、相手が戸惑うような「変化」が必要だと思うんだよ。

そんな質問に対して鬼木達さんは・・

・・ミドルについては、トレーニングでも強調していますから、これからもっとチャレンジされると思います・・

・・また、シンプルなタイミングで入れるクロスについても、イメージさせています・・

・・とにかく、相手に対する「圧力」をアップさせるという意味合いでも、そんな仕掛けのバリエーションが大事であるという考え方は、チームのなかでも共有していますよ・・

良いね・・

ガンバレ〜、鬼木フロンターレ〜・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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