湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2019年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第13節(2019年5月26日、日曜日)
- オズワルドとの立ち話・・(レッズvsサンフレッチェ、0-4)
- レビュー
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- ・・たしかに(ゲーム展開的な!?)ドツボにはまってしまったとは思うけれど・・
・・えっ!?・・もし、山中亮輔と興梠慎三のコンビネーションから武藤雄樹がダイレクトでブチかましたポストシュートが入っていたらって!?・・
・・たしかに、アレが入っていたら、ゲーム展開はまったく違ったモノになっただろうな・・
・・そうそう・・数日前の、ホームでの北京戦を思いだしてみろよ・・
・・前半24分に飛び出した、バカンブーの100%チャンスを西川周作が防がなかったら、あのゲームも、まったく違った展開になったはずだよ(レッズの劣勢!?)・・
・・まあ、それもサッカーっちゅうことだな・・
・・とにかく、サンフレッチェが、とても優れたサッカーを展開したことは、確かな事実なんだ・・
・・だから、このゲームについては、やはり彼らを賞賛しなきゃいけない・・
例によっての、監督会見後の、オズワルドとの立ち話。
百戦錬磨のオズワルド・オリヴェイラだからこそ、とても興味深いコメントだった。
百戦錬磨・・
そこに内包されるコノテーション(言外に含蓄される意味)の多くは、多くの失敗や敗戦から学んだコトなんだろうね。
だからこそ、オズワルドの発言は(=まあ、心理マネージメント的なオズワルドマジックも含む、言動全体の雰囲気かな・・)、とても深いんだよ。
何か・・
彼と話していると、私が教えを受けた、ヘネス・ヴァイスヴァイラーやリヌス・ミケルスにも通じる、優れたプロコーチの姿勢(態度)や、心理マネージメントの重要ファクターまでも感じられる。
いいね・・
あっと・・冒頭のオズワルド発言のバックボーンだった。
「ドツボにはまった」というオズワルド発言の背景には、こんな私の質問があったんだ。
・・サンフレッチェは、前後半の立ち上がり1〜2分だけは、前からプレス守備をブチかましてきたよね・・
・・でも、2分後には、完璧なブロック守備を敷き、そこから、必殺のカウンターやセットプレーで、「ゴール機会」を創り出した・・
・・そんな実利的なやり方は、確実に、城福浩のゲーム戦術プランに含まれていたはず・・
・・まあ彼は、レッズとの対戦に向けて、これまでの、ゴールを決めきれない現象を、選手たちと、しっかりと議論したと言っていたけれどサ・・
・・とにかく、あの忠実なブロック守備だから、レッズが攻めあぐむのも、うなづける・・
・・そして例によって(お定まり!?)の、カウンターやセットプレーからの失点・・
・・後半は、レッズ選手たちも戻り切れなくなったし、カバーリングへ勢いも見るからに減退していたから、失点を重ねるのも自然な成り行きだったよね・・
・・そう、この試合は、サンフレッチェが(城福浩が!)意図したゲーム戦術という「ドツボ」に、完璧にはめられたと思うんだよ・・
通訳の羽生直行さんは、すべてを、正確に訳してくれている(それは感覚的な理解だけれど、まさにそのとおりだと感じられたんだ!)。
そして、話しているうちに、オズワルドが、先日ホームで行われた、北京との、ACLグループ最終戦に言及したっちゅうわけだ。
(前述の繰り返し!)・・前半24分に飛び出した、バカンブーの100%チャンスを西川周作が防がなかったら、あのゲームも、まったく違った展開になったはずだよ(レッズの劣勢!?)・・
そうそう、確かに・・
「あの」西川周作のスーパーセーブがなかったら、まったく違った勝負マッチ展開になっていたのは、確実だった。
そして・・
冒頭の、サンフレッチェに対する賞賛だけれど・・。
そのバックボーンには、わたしの、こんな発言があったんだ。
・・サンフレッチェの城福浩さんに、こんな質問を投げたんだよ・・
・・あのブロック守備と、カウンター、セットプレーをイメージしたゲームの運び方は、ゲーム戦術的なツボにはまったと思うが・・ってね・・
・・まあ彼は、その質問には直接的に答えなかった・・
・・そして・・
・・これまでサンフレッチェが、サッカー内容に対する「手応え」と勝ち点が、まったく一致していなかったことで、そのテーマを(選手たちと!?)じっくり話し合った・・
・・その結果が、ACLでのメルボルン戦と、このレッズ戦に如実に現れたと思っている・・
・・と語っていた・・
そんな私の発言に対して、オズワルドが、そんなサンフレッチェの「優れたサッカー」を賞賛したっちゅうわけさ。
もちろん私も、城福浩の優れた仕事内容も含め、サンフレッチェのサッカーが、とても進化しているって感じているんだよ。
・・そう、オズワルドが言うように、サンフレッチェは、とても優れたサッカーを展開したと思う・・
・・特にブロック守備の内実は、素晴らしかった・・
・・普通だったら、2本、3本って、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで仕掛けていったら、どこかでフリーになるレッズ選手が出てくるモノだけれど、この試合でのマーキングやカバーリングのミスは、まさにゼロだったよね・・
そんな私の発言に対して、オズワルドも反応する。
・・そう、それは、素晴らしい意志のプレーだったんだ・・
フムフム・・。
まあ、サッカーだから、こんなコトもあるさ・・。
もちろんレッズ攻撃には・・
・・サンフレッチェ選手たちがが「イメージする通り」の攻めプロセスしか出せなかった・・
・・また仕掛けの変化も演出できなかった・・
・・等などの課題は、ある。
また、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションの内実としての、ボールがないところでの動き(フォローアップ・フリーランニング等)の量と質にも課題が見え隠れしている。
それでも、エヴェルトンの攻守プレー内容の進化とか、ファブリシオの復帰(そしてステディーに危険なプレー内容)、例によっての青木拓矢の、素晴らしいボランチ&ゲームメイカーぶり、強固な最終ラインと活発なサイドバックなど、ポジティブな進化コンテンツもあるよね。
だから、この結果で、期待や希望のコンテンツが瓦解してしまう・・なんてコトは、ありません。
でも・・
そりゃ、気分は、良くないよ。
でも、そんなネガティブな感性もまた、サッカーが内包する魅力と価値(感性へのネガ・ポジ両面の刺激!?)のリソースだから・・。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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