湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2019年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第14節(2019年5月31日、金曜日)
- 素晴らしい攻撃サッカーの応酬だった・・堪能した・・でも・・(ベルマーレvsマリノス、1-2)
- レビュー
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- 両チームともに、死力を尽くす「魂の闘い」を、ブチかまし合った。
もちろん、攻守ハードワークとリスクチャレンジにあふれる「前からプレス守備」の応酬。
素晴らしくハイレベルな、せめぎ合いだった。
堪能した。
でも、だからこそ・・
そう、「魂」のパワーレベルでは、まったく引けを取っていなかったベルマーレだったけれど・・
結局は、様々な意味合いを内包する「個のチカラ」を基盤に、押し切られてしまったんだ。
その現実を前に、少しモヤッとする気持ちが晴れなかったんだ。
だから、チョウさんへ質問するエネルギーが残っていなかったっちゅう体たらくだった。
もちろん、「個のチカラで・・」なんて書いたら、究極の組織サッカーを標榜する(私も心から支持し敬愛する!)アンジェ・ポステコグルーは、とても不満だろうけれど・・
それでも私の目には・・
「同じ傾向のサッカー」を志向する両チームの、ポゼッションの(人とボールの動きのリズムなどの!)内実や、ゴール機会の量と質の違いは明白だったし、その「差」の多くが、「個のチカラの僅差」によって現出していたと映っていたんだよ。
もちろん、あれほどの個の才能たちに、あれほどハイレベルな、攻守ハードワークとリスクチャレンジ基盤の組織サッカーをやらせる、ポステコグルーの「ウデ」は大したモノだよ。
いや・・
強制したって、あのレベルの「攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢」は、出てこないでしょ。
とにかく選手たちが、自ら進んで(!?)、そんな極限の攻守ハードワークを(仕事を)探しつづけているって感じられるんだ。
だからこそ、素晴らしく主体的な「人とボールの動き(その美しいリズム)」が演出される。
それは、とりも直さず、ポステコグルーの「ストロングハンド(優れた心理マネージメント)」の賜物っちゅうわけさ。
だからこそ、魂の闘い。
あっと・・
その視点じゃ、もちろん、我らがチョウ・キジェ・ベルマーレだって、勝るとも劣らない。
彼らの、攻守ハードワークとリスクチャレンジを探しつづけ、人とボールの動きのクオリティーを高揚させようとする主体的なチャレンジ姿勢もまた、特筆に値するんだ。
そう、まさに「勇気そのもの」とも言い換えられる「湘南スタイル」・・
あっと・・ゲーム・・
前半は、前からプレス守備(ボール奪取プロセス)の内実、ポゼッション、攻撃へ掛ける人数、次のディフェンスでの安定性、そして、「ゴール機会」と「ピンチの内実」の量と質という視点でも、まさに互角の展開だったと思う。
まあ、たしかに局面デュエルでは、マリノスに一日の長ありと感じられるシーンがあったわけだけれど・・さ。
あっと・・
そうなんだよ・・
その「個の局面デュエルの微妙な優位性」をベースに(!?)、時間を追うごとに、徐々にマリノスがイニシアチブを握る「傾向」が強くなっていったんだ。
それでも・・
まさに120%の「魂の闘い」で対抗するベルマーレも、決して、無為に「押し込まれつづけちゃう」わけじゃない。
そう、彼らもまた、まさに勇敢に(十分なサポートの人数を基盤に!!)押し返し、何度もチャンスを創りだしたんだ。
たしかに・・
ベルマーレ選手たちは、局面デュエルを通して、微妙な個のチカラの「僅差」を感じとっていたに違いない。
それでも彼らは、決して、自らが標榜する「粘り」の前からプレス守備の勢いをダウンさせることがなかったんだ。
だからこそ、魂の闘い。
とにかく・・
両チームともに、ホントに、立派な攻撃サッカーを魅せてくれたと思う。
そう、美しい質実剛健サッカー。
だから、観客の皆さんにとっても、スタジアム観戦の甲斐があった(入場料にオツリがくるほど素晴らしい!?)勝負マッチになったんだ。
私は、両チームのサッカーを(強烈なストロングハンドと優れた戦術&心理マネージャーとしてのチョウ・キジェとポステコグルーを!)、心から支持しているのですよ。
だから・・
たしかに、内容からすれば、フェアな結果と言えるんだろうけれど・・
どうも、モヤッとする気持ちを、スカッと晴らすことができなかったんだよ。
フ〜〜ッ・・
とにかく・・
お疲れ様でした、チョウ・キジェさん。
また・・
素晴らしい、組織的な攻撃サッカーで結果まで(フェアに!)つかみ取ったポステコグルーさん、おめでとうございました。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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