湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2019年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第14節(2019年6月14日、金曜日)
- たしかに実力ではフロンーレに一日以上の長がある・・でも私は、コンサドーレの「強烈な意志の闘い」にも、大いなるシンパシーを感じていた・・(フロンターレvsコンサドーレ、1-1)
- レビュー
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- もちろん、フロンターレは、この「結果」には、落胆しただろうね。
何せ・・
そう、彼らは、まさに「自分たちのサッカー」でコンサドーレを支配し、繰り返し、繰り返し、「ゴール機会」を創り出したんだから。
その「ゴール機会の量と質」という視点では、実質的なゲームのイニシアチブも含め、完璧にフロンターレに、一日以上の長があったんだ。
ちなみに、シュート数では、フロンターレの「27」に対して、コンサドーレは「4」だった。
でも・・
そう、たしかに、PK(失敗)も含めて、ゴール機会は創り出したフロンターレだったけれど・・
コンサドーレ守備ブロックを完璧に「崩した」チャンスは限られていたという見方もできる。
要は・・
フロンターレ特有の「人とボールの動きのリズム」は、いつものように高質だったけれど・・
でも、そんな、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで、コンサドーレ守備ブロックの「ウラ」を攻略したシーンは、実は、数えるほどだったんだよ。
また、美しいコンビネーションで抜け出しても、そこには必ず、コンサドーレのディフェンダーが追い付いてきていたし、「そこから」のラストスルーパスやラストクロスに合わせるフロンターレ選手にも、必ず一人は「身体を寄せて」いたんだ。
そう、とても粘り強く忠実な、守備ハードワーク。
それだけじゃなく、フロンターレがブチかます最後のシュート場面にしても、必ず一人は、身体を投げ出してブロックに入っていた。
そう、最終勝負シーンでも確実に「最後の半歩」を出せる、ミハイロ・コンサドーレが魅せつづけた粘りのディフェンス。
それを観ながら、こんなことを考えていた。
・・ミハイロもまた、美しい「質実剛健サッカー」を志向し、それを成し遂げつつあるということか・・
「質」は、言うまでもなく、ミハイロ本来の、積極的であり、美しくもある攻撃サッカーのこと。
でも、このミハイロ・コンサドーレでは・・
そう、「そんな質」に、「実」としての粘りの組織ディフェンスが、とてもうまくコラボレートしてきているって感じていたんだ。
だから、美しい質実剛健サッカー・・
特に前半・・
コンサドーレは、ゲームの流れを支配されているにもかかわらず、例によっての「前からプレス守備」をブチかましつづけた。
そしてボールを奪い返したら、チャンスを見つけ出した誰もが、前線へ飛び出していくんだよ(だからこそ、十分な仕掛けサポートがあった!)。
だからこそ、前半のコンサドーレ攻撃には、常に「人数の厚み」があったし、たしかに押され気味ではあったけれど、「実質的な内容」では、互角と呼べるゲーム展開だったんだ。
もちろん後半は、リードされているフロンターレが、ガンガン前へ仕掛けていった。
そんななかで、小林悠の同点ゴールが決まる。
そして、そこから・・
そう、コンサドーレの攻撃が、再び活性化していくんだよ。
不確実な要素が満載のサッカーだから、まあ、当たり前の、コンサドーレの「盛り返し現象」ではあったわけだけれど・・
それでも私は、ミハイロ・コンサドーレがブチかました、闘う意志の(魂の!)サッカーに対して、心からの拍手をおくっていた。
ということで・・
たしかに、サッカー内容(実力や総合力!?)からすれば、フロンターレに一日以上の長がある。
でも私は、前述した「情緒的なシンパシー」も含めて(!?)、この結果を、「フェアな引き分け」と考えることにした次第。
さて〜〜・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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