湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第17節(2019年6月29日、土曜日)

 

長谷川健太、ポステコグルー、両監督との対話・・(FC東京vsマリノス、4-2)

 

レビュー
 
・・引かれた相手に対しても、しっかりとゴール機会を創りだせるという確信を深めていく努力こそが大事なんですよ・・

監督会見で、長谷川健太さんと、対話的な雰囲気で、すこし交流をもった。

・・一つの仮説ですけれど・・

わたしは、そんなふうに断ってから質問をはじめた。

・・神戸戦では、久保建英と永井謙佑が、また前節ベガルタ戦では、久保建英がいなかった・・

・・そんなマイナスがあったにもかかわらず、前から仕掛けて行き、そして負けた・・

・・もしかしたら、前節、前々節では、前述の二人が揃っていたときの最高潮サッカーのイメージで、ゲームに臨んでしまったということかもしれない・・

・・だから、私の脳裏には、攻守のバランスが少しだけ崩れ、そこを相手に突かれて競り負けてしまったというイメージが残っている・・

・・ただ、このマリノス戦は、少し様相が異なっていた・・

・・要は、マリノスが攻め上がり、ゲームを支配したこともあって、FC東京は、(自然発生的に!?)しっかりとブロック守備を機能させていった(そうせざるを得なかった!?)・・

・・でも、そんな状況のなかから(そんな状況だったからこそ!?)次々とカウンターを決めて、立派な勝利を手にした・・

・・どうなんだろうか・・

・・この勝利によって、また、その勝利を呼び込んだサッカーの内容によって・・

・・今シーズン当初にFC東京が魅せていた、サッカー内容と結果が、高みでバランスした勝負強いサッカーが甦ってきたかもしれないと感じるのだが?・・

チト、長めの質問だったけれど、長谷川健太さんは、例によって真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。

曰く・・

・・今日は、試合後に、久保建英のセレモニーがあったから、戦術サッカー(幾何学プランによる規制サッカーのこと!?)をやるわけには、いかなかった・・

・・今日は、点を取られるリスクがあっても、とにかく「積極的にいく!!」という覚悟をもってグラウンドに立ったんですよ・・

・・でも、やはりマリノスは強い・・

・・彼らは、とても攻撃的なサッカーで我々を押し込み、イニシアチブを握ったんです・・

・・だから我々も、ブロック守備をうまく機能させるなかで、前線の、スピードあるツートップを活かすというイメージで柔軟に対処したんですよ・・

・・それが、殊の外、うまくいったということです・・

・・もちろんリーグ戦では、我々に対して、引いて守るチームもいます・・

・・また、我々の特長であるスピーディーな仕掛けを、(かなりインテンショナルな!?)ファールで止めちゃうような相手も多いんですよ・・

・・でも・・

そう、ここで長谷川健太さんが、冒頭の発言に至ったというわけさ。

それにしても・・

FC東京は、ものすごく効率的に(!?)ゴールを積み重ねていったよね。

でも、実際のゲーム展開は・・

皆さんも観られたとおり、マリノスが完璧にイニシアチブを握っていたんだよ。

それでもFC東京は、カウンター「気味」の流れから、ツートップが躍動し、ゴールを積み重ねていったっちゅう次第。

だから、ポステコグルーに聞いた。

・・おっしゃるとおり、ゲームは、マリノスが完璧に支配し、何度もゴール機会を創り出した・・

・・でも結局は、カウンターパンチを喰らい、大敗を喫することになった・・

・・もちろんわたしはポステコグルー・マリノスのサッカーを(その哲学を!)支持しています・・

・・ということで、質問なんですが・・

・・ポステコグルーさんの攻撃サッカーって、観る方にとってだけじゃなく、やっている選手たちにとっても、とても楽しいモノに違いありません・・

・・でも、リスクも多い・・

・・だからポステコグルーさんも、もう数え切れないほど、この試合で喰らったようなカウンターパンチで痛い思いをしているはずです・・

・・もちろんポステコグルーさんは、それでも、絶対に止めないでしょ・・

・・まあ、サッカーだから、こんなこともあるさ・・ってね・・

・・そんなリスクチャレンジの姿勢は、とても立派だと思うし、応援しますよ・・

・・そこで質問ですが・・

・・そんなチャレンジングなサッカーにトライしているなかでは、どうしても、内容と結果の相克(攻撃的で魅力的なサッカーで勝つのは簡単ではない・・!!)というテーマと対峙せざるを得ませんよね・・

・・ということで、そのコトについて、考えを聞かせてくれませんか?・・

またまた、長〜い質問になってしまったけれど、ポステコグルーさんは、長谷川健太さん同様に、いつものとおり真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけ。

曰く・・

・・攻撃的な(魅力的な)サッカーで成功するのがベストだとは思うけれど・・

・・良いサッカーで勝つのは、おっしゃるように、そんなに簡単じゃない・・

・・とにかく、チャレンジをつづける姿勢が、もっとも大事なんだ・・

・・我々は、まだまだ、理想へ向かう長いプロセスのなかにある・・

・・その理想は、もちろん、魅力的なエキサイティングサッカーだ・・

・・その視点で、マリノスは進化し、よいチームへと成長している・・

・・とはいっても、リーグのチャンピオンになるのは難しい・・

・・だからこそ、学習(チャレンジ!)をつづけるんだ・・

・・我々は、この敗戦から学ぶけれど、もちろん次も、まったく同じサッカーにチャレンジする・・

いいね〜〜、ポステコグルー。

私は、彼のチャレンジ精神を、心から支持しますよ。

そう、美しい質実剛健サッカーを目指してね・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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