湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2019年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第2節(2019年3月1日、金曜日)
- ゴールを入れられないフロンターレ・・勝ち切れないフロンターレ・・でもサッカーの本質的な内容からすれば、その現象は、「産みの苦しみ」とするのが妥当だよね・・(フロンターレvsアントラーズ、1-1)
- レビュー
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- ・・これで、フロンターレ観戦は、今シーズン3ゲーム連続だ〜〜・・
・・それにしてもフロンターレ・・
・・ホントに、胸がすくほど見事な、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションをブチかましつづけてくれちゃうじゃネ〜か・・
・・それも、自己満足的なポゼッションじゃなく、人とボールを動かしつづける中で、しっかりとスペースを攻略してゴール機会まで創りだしちゃう・・
・・また守備でも、前からプレス守備と(カウンター対処も含む!?)ブロック守備も、しっかりと効果的に機能させつづける・・
・・そんなフロンターレは、やっぱり日本一だ・・
・・そんな彼らが、これまた実力じゃ雌雄を分けるアントラーズを迎え撃つ・・
・・そりゃ、観る方にとっては、まさに垂涎の勝負マッチっちゅうコトさ・・
・・でも、立ち上がりは、そんな期待が肩透かしを食らっちゃう・・
・・そう、立ち上がりのゲーム展開は、フロンターレが攻守にわたってイニシアチブを掌握するほど一方的なモノだったんだ・・
・・フロンターレのサッカーが、攻守にわたって、臨界ポイントまで躍動し、アントラーズがズタズタに切り裂かれちゃう・・
・・そんな感じ・・
・・両チームのサッカー内容には、まさに「雲泥」とも言えるほど大きな「差」が見えていたんだ・・
・・フロンターレのサッカーが素晴らしいのは言うまでもない・・
・・それだけじゃなく、逆に、アントラーズが(選手のアクシデントなどで!?)どうも受け身の心理状態(イメージング内容)でゲームに入ってしまったというコトなんだろうね・・
・・でも、最高のエキサイティングマッチを期待していたコチラにとっては、そんなゲーム展開は、まさに青天の霹靂っちゅうわけだ・・
・・ってなコトに思いを馳せていたとき、フロンターレが先制ゴールをブチ込んだ・・
・・牛若丸による、見事な、本当に美しい放物線を描くフリーキックだった・・
・・ところで牛若丸・・
・・もう38歳だぜ・・でもプレー内容は、まさに10歳(以上!?)ダウン・・
・・いったいどこまで「あのレベルのパフォーマンス」を魅せつづけてくれるんだろ・・
・・これからもケンゴを楽しみましょう・・
・・あっとゲーム・・
・・そうそう、その牛若丸の先制パンチだった・・
・・でも、このゴールは、アントラーズにとって、まさに「ラッキーな失点」っちゅうコトになるんだ・・
・・そう、その「パンチ」によって目が醒めたアントラーズの若武者たち・・
・・彼らが、それまでの心理的な悪魔のサイクルから抜け出し、彼ら本来の「強く美しいサッカー」をブチかましはじめたんだよ・・
・・そうそう、それだ〜〜っ!!・・
・・心のなかで、喜びの叫びがコダマしていた・・
・・そう、フロンターレ先制ゴールの直後から、ゲーム内容が、まさにシーソーのような、魅惑的な攻撃の応酬になったんだ・・
・・決してノーガードの殴り合い・・なんて低次元の現象じゃない・・
・・そうではなく、両チームともに、あくまでもステディーにプレーしながら、より大胆に、リスクへチャレンジし始めたんだよ・・
・・そんな前半の優れたサッカー内容については、大岩剛監督も、アグリーしていたっけね・・
・・だから、後半への期待が、まさに天井知らずになったっちゅうわけだ・・
・・でも・・
・・そう、皆さんも観られたとおり、後半のアントラーズは、まさに「泣かず、飛ばず」だった・・
・・前半の立派な攻撃サッカーは、いったいどこへ消え去ってしまったんだろう・・
・・そこでハタと考え込んだ・・
・・やっぱり・・
・・イレギュラーするボールを足で扱うことで、とても不確実なサッカーだからこそ、最後は、自由に、リスクにもチャレンジしていかなきゃ、選手も、観客も、楽しめない・・
・・楽しめなきゃ、決して進歩など期待できない・・
・・だからこそ、しっかりと汗をかくからこそ、本当の意味の「楽しみ」を掴み取れるという確かな事実をメカニズムを、深〜く体感しなきゃいけないんだよ・・
・・そう、才能に恵まれていれば、いるほど・・ネ・・
・・言いたかったコトは・・
・・選手たちのマインドを、攻守ハードワークとリスクチャレンジの姿勢をアップさせるために、真の意味で「解放」しなきゃ、絶対に、進化も深化も望めないということさ・・
・・例えば、何人もの選手が「同時に」絡みつづける前からプレス守備を、「より」積極的にブチかましていったり・・
・・例えば、ボールを奪い返した次の瞬間から、チャンスを見出した誰もが、ボールがないところで、全力で、仕掛けの流れに乗っていったり・・
・・そこじゃ、絶対に、「様子見」になったりする選手など、いない・・
・・そんな、「積極的な意志」こそが、サッカーを、美しさ満載の「質実剛健コンテンツ」へと押し上げるっちゅうわけだね・・
・・へへっ・・
・・最後に・・
・・フロンターレの攻め・・
・・ある人が、人とボールは動くけれど、相手守備にとっては怖くない・・なんて言っていた・・
・・たしかに、ウラの決定的スペースを攻略するところまで攻め込めるケースは、少ない・・
・・でも・・
・・そう、これまで対戦した強い相手(vsレッズ、vsFC東京、vsアントラーズ)と比べれば、ゴール機会(スペース攻略)の量と質は、圧倒的にフロンターレに軍配が挙がる・・
・・だからわたしは、ゴールを奪えないとか、勝てないからといって、フロンターレが魅せつづけるスーパーサッカーの内実まで否定するようなコメントには、決してアグリーしない・・
・・でも・・
・・そう、今日の監督会見で、鬼木達さんが、いみじくも言っていた、「もっと大胆な仕掛け・・」っちゅう表現には、とても深〜いコノテーション(言外に含蓄される意味)が込められていると思った・・
・・たぶん鬼木さんは・・
・・緻密なコンビネーションに、アバウトな放り込みやフルパワーのミドル弾といった「大胆な仕掛け」も、しっかりとミックスさせられることが、本物への脱皮につながる・・
・・そんな意味合いを込めていたんだよ・・
・・もちろん、その「大胆さ」には、「エイヤッ!」の単独ドリブル勝負も含まれるよ・・
・・この試合で、右サイド(ウイング)バックとして攻守に存在感を発揮した馬渡和彰のようにね・・
・・この馬渡和彰・・
・・ビックリするようなスーパーパフォーマンスを魅せた・・
・・お恥ずかしながら、彼のコトはよく知らなかった・・
・・それって、ブンデスリーガでも、よくあること・・
・・エッ!?・・あいつ、だれ??・・ってな選手が、急に頭角を現したり・・3部リーグから抜擢されてスーパースターへ駆け上がったり・・
・・ちと、期待し過ぎ!?・・
・・いや、この馬渡和彰には、もっともっと期待してよいような・・
・・あっと、最後に、もう一言・・
・・この、緻密さと大胆さを、高い次元でバランスさせる(コラボする!?)のは、そんなに簡単な作業じゃない・・
・・やっているうちに、知らずに、「どちらかのイメージに」偏ってしまうモノだからサ・・
・・ということで・・
・・ちと、ワケが分からないけれど・・
・・とにかく、両チームともに、ガンバレ〜ッ!!・・
・・へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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