湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2019年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第21節(2019年8月4日、日曜日)
- 両チームのサッカー内容が、大きくアップダウンしつづけた!?・・(レッズvsグランパス、2-2)
- レビュー
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- 先ほど帰宅しました。
あの暑さの中での単車ライド。やっぱり、かなり疲弊した。
ということで、とにかく簡単に、短く、まとめようとキーボードに向かいました。
・・まずグランパス・・
・・立ち上がりから、抜群の勢いでレッズを押し込んでいっただけじゃなく、前田直輝の大活躍で、2分、25分と、立てつづけにゴールまで奪っちゃう・・
・・調子の上がらない(結果がついてこない!?)グランパス??・・
・・そんなリーグの雰囲気に、違和感ばかりがアタマを支配していたっけ・・
・・そのゴールだけじゃなく、それ以外でも、何度か、決定的スペースを攻略した絶対的チャンスを創りだすグランパスだったんだ・・
・・そのとき・・
・・こりゃ、レッズの完敗っちゅうコトになってしまうのか!?・・
・・そんな不安も、アタマをよぎったモノさ・・
・・でも、そんな心配をよそに・・
・・そう、その2失点が、レッズにとっての「ラッキー失点」になっちゃうんだよ・・
・・この「ラッキー失点」という発想(表現)については、これまで何度か披露したでしょ・・
・・そう、失点という、これ以上ないほどのネガティブ刺激によって、選手たちが覚醒するっていうグラウンド上の現象・・
・・この日のレッズにも、そんな心理メカニズムが、ピタリと当てはまった・・
・・そしてレッズのサッカーが、俄然、勢いを増幅させていくんだよ・・
・・もちろん、攻守ハードワークとリスクチャレンジにあふれる意志のサッカー・・
・・そして、それを基盤にする、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション・・
・・ここで、ちょっと視点を変えて・・
・・両チームの最終勝負プロセスの内実というテーマへ、寄り道・・
・・両チームともに、たしかに組み立てプロセスでは、とても組織的なコンビネーションサッカーを展開しているよ・・
・・でも、最終勝負プロセスの「傾向」は、チト違う・・
・・もちろん「それ」は、決定的スペースを攻略していくプロセスのことだよ・・
・・グランパスには、ジョー、シャビエル、前田直輝といった最前線の「個の勝負師」だけじゃなく、中盤には、エドゥアルド・ネットとシュミットという、抜群の才能に恵まれたダブルボランチも控えている・・
・・また、グランパスは、スリーバックということで、両ウイングバックにも、これまた抜群の「個の才能」を秘める吉田豊と和泉竜司を擁している・・
・・そんな彼らもまた、両サイドから、最終勝負の仕掛けの流れに効果的に乗っていくんだ・・
・・そう、グランパスの最終勝負プロセスは、限りなく「個の勝負」が前面に押し出されるタイプだと思うわけさ・・
・・それに対して、レッズは・・
・・たしにファブリシオや興梠慎三といった、個の才能に恵まれた選手はいる・・
・・でも彼らは、基本的に、人とボールを動かす組織コンビネーション(要は、パスとフリーランニング)で、決定的スペースを突いていくイメージなんだよ・・
・・前半の最初の頃は、そんなコンビネーションの流れは、うまく機能していなかった・・
・・でも、あの「ラッキー失点」という強烈な刺激によって、彼らのボールがないところでのサポートの動き(決定的フリーランニング等)が、大きく活性化しはじめるんだ・・
・・レッズ監督、大槻毅さんが、会見で、こんなコトを語ってくれた・・
・・前半の給水タイムに、選手たちと、積極的に仕掛けていくという内容の、刺激コミュニケーション(選手たちのセルフモティベーション機会!?)を交わしたらしい・・
・・そしてそこには、「0-2」という、強烈なネガティブ刺激もあった・・
・・そんなだから、選手たちが、さまざまな「戦術的な規制や制限」から、完璧に解放されるのも道理だったっちゅうわけだ・・
・・そしてレッズが、完璧にフッ切れていったんだ・・
・・そこからのレッズ選手たちの、ボールがないところでのアクションの量と質は、何倍にもアップしたっちゅう印象だったネ・・
・・そう、抜群の攻守ハードワークとリスクチャレンジ・・
・・それに対してグランパス・・
・・彼らは、前半の「勢い」がウソのように受け身に立ってしまうんだ・・
・・まあ、「2-1」で、まだリードしているっちゅう状況もあったわけだけれど・・
・・とにかく、そのプレー姿勢の「極端な落ち込み方」に、このところ調子が上がらないグランパスの「負の要因」を見たような・・
・・たしかに何度かは、とても危険なカウンターをブチかましたグランパスだったけれど、結局は、そのチャンスを決め切るだけの「闘う意志と覚悟」に欠けていた!?・・
・・さて〜〜っ!!・・
・・対するレッズ・・
・・そんな危機を乗り越えた彼らは、後半ロスタイムに、山中亮輔からのクロスを、関根貴大が、ヘディングシュートをブチ込み、奇跡的な「勝ち点1」をゲットするんだよ・・
・・あっと・・
・・前半ロスタイムに、武藤雄樹からの絶妙なクロスを、興梠慎三がヘディングで「追いかけゴール」をブチ込んだコトを書くのを忘れていた・・
・・そのゴールまでの(ラッキー2失点からの!)プロセスもそうだったけれど・・
・・とにかく、レッズ選手全員が、攻守にわたるアクションの量と質を「倍増させた」っちゅう印象が残っているんだ・・
・・あっと、ちょっと冗長になりそう・・
・・とにかく、このコラムでは、両チームのサッカー内容が、大きくアップダウンしたっちゅう、興味深いグラウンド上の現象について触れたかったんだ・・
・・まあ、見方によっては、両チームの、「チーム戦術的な光と影」っちゅう表現だって使えるかもしれない・・
・・まあ、ということで、今日は、こんなところです・・
・・あ〜〜、疲れた・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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