湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第25節(2019年8月30日、金曜日)

 

FC東京の「勝負イメージ」がツボにはまった・・逆にグランパスは、FC東京のクレバー守備によって、人とボールの「真の動き」が抑制されつづけた・・(グランパスvsFC東京、1-2)

 

レビュー
 
スゴイね〜、長谷川健太FC東京。

前半から、後半へ掛けて「勝負をかけていくイメージ」が、チーム全体に浸透している。

要は・・

前半は、ソリッドな(より安定志向の!?)サッカーで、落ち着いたサッカーを展開し、そのなかで一発カウンターを猛禽類の眼で狙う。

そして後半は、イメージを前気味へシフトしていく・・

換言すれば、後半にかけて、より前から、ボール奪取プロセスを仕掛けていく・・ってな、ゲームイメージの活性化かな。

そう、サッカーでは、守備が「全て」のスタートラインだからこそ、ボール奪取プロセスの「内実」で、全体的なサッカーのコノテーション(言外に含蓄される意味)が決まってくるんだよ。

まあ・・

言葉での表現は簡単だけれど、そんなゲーム展開イメージを、チーム全体に、深く浸透させ、徹底させる作業は、そんなに簡単じゃない。

長谷川健太のストロングハンドを感じる。

そんな、後半にかけて攻撃イメージを活性化させていくプロセスでは、選手交代が、とても重要なツールということなんでしょ。

そう、三田啓貴、ナ・サンホ、そしてジャエルの、投入タイミング。

それぞれに、とても魅力的で特長あるパーソナル・アビリティーを有している。

そして、彼らの投入によって、チーム全体に「活性化スイッチ」が入る!?

まあ、とはいっても・・

この試合では、ホームのグランバスが、ゲームを支配しながら攻め上がってきたことも、そんなゲームの「展開イメージ」が、とてもうまく機能したことの背景にあるよね。

実際、FC東京の2ゴールは、完璧なカウンターからブチ込んだわけだから(先制ゴールはPKだったけれど、ソレを獲得した攻めも、完璧なカウンターだった!)。

それにしても、再び日本代表に選ばれた永井謙佑。

このゲームでの2ゴールともに、彼の貢献は「0.5点」に相当する。合わせて、ワンゴ〜〜ルッ!!

ということで、ここでハナシを変えて・・

ダゾンのカメラワーク・・

このゲームのカメラマン(ディレクター!?)は、とても、良かったと思いますよ。

要は、ボールと、最前線選手たちのボールがないところでの動き(デイフェンダーとのせめぎ合いドラマ!)が、ほとんどのシーンで楽しめたんだ。

逆に、そんな優秀なカメラワークだったから・・

そう、だからこそ、あれほどボールを支配していたグランパスの、ボールがないところでの「人の動きの量と質の鈍重さ」ばかりが目立ってしまうことになった。

まあ・・ね・・

あれほどの個の才能が揃っていたら、足許パスからの個人勝負イメージが主体になってしまっても仕方ないのかもしれない・・とは思うけれど・・。

でも・・

そう、前半36分に飛び出した、中盤低い位置でボールをもったエドゥアルド・ネットからの、最前線ジョーへの、ズバッ!」っという音まで聞こえてきそうな鋭いタテパスが通ったシーン。

それは、別格だった。

「あんなコト」が出来るからこそ、個のドリブル勝負とか、そんな難しい「一発勝負イメージ」に凝り固まってしまう!?

だから、ボールは、とても良いリズムで動きつづけるけれど、それが、スペースの攻略につながっていかない!?

もっと、「ワンツーの動き」を連続させることで、人の動き「も」活性化させなきゃ。

そう、「ワンツー」を積み重ねていくことで、3人目、4人目のフリーランナーの「勝負イメージ」を活性化させるのさ。

もちろんわたしは、風間八宏のサッカーを支持していますよ。

でも、前節のマリノス戦とこの試合では、ボールの動き「ばかり」が目立ってしまっていた。

とにかく風間八宏は、本来の志向イメージである、人とボールの「活発な動きのリズム」を、しっかりと再生していかなきゃいけないよね。

それが充実してくれば、絶好調グランパスのときのように、再び、魅力的で美しい攻撃サッカーで、結果までも掴み取れるようになるはず。

まあ、このゲームについては、こんなところですかね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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