湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第26節(2019年9月13日、金曜日)

 

「ラッキー失点」によってレッズが甦ったのに・・とても残念な結果に終わってしまった・・(レッズvsセレッソ、1-2)

 

レビュー
 
・・ヨ〜〜シッ!!・・これで逆転だ〜〜っ!!!・・

後半15分に流し込んだ、興梠慎三の同点ゴールを確かめながら、そう確信したモノさ。

何せ・・

そう、後半スタート早々のセレッソ先制ゴールが決まった次の瞬間から、レッズが、まさにフッ切れた「解放サッカー」をブチかましはじめたんだから・・。

その、素晴らしく「覚醒した」攻撃サッカーには、それまでが「一体、何だったんだ!?」って訝(いぶか)しく感じられるほどのダイナミズムが内包されていたんだ。

それまで・・

たしかに前半は、様々な意味合いで、とてもバランスの執れた戦術サッカーを魅せたレッズが、チャンスの量と質でセレッソを上回っていた。

でも・・

そう、私は、そぬるま湯」の仕掛けプロセスに、とても不満だったんだよ。

たしかに、ブロック守備は、とても安定していた。だから、セレッソに、「これ」っていうチャンスは創らせなかった。

そして、そんな展開から、何度か、一発カウンターからチャンスを創りだした。

でも、組み立てプロセスでは、「消化不良の極み・・」っていう印象しか残らなかったんだ。

彼らならば、もっと出来る・・

まあ、そんな思い(期待や希望!?)もあったんだろうね。

そんな彼らが、セレッソにブチ込まれた先制ゴールという「究極の刺激」によって「覚醒」したんだ。

だから私は、それを、レッズにとっての「ラッキー失点」と呼ぶんだよ。

それほど、レッズのサッカーが攻守にわたって活性化したんだ。

特に、関根貴大と汰木康也の両サイドバック。

前半は、ボールを持つたびに、バックパスや横パスで「勝負から逃げつづけ」ていたんだゼ。

私は、そんな煮え切らないプレー姿勢に、アタマにきていた。

・・バカヤロ〜ッ・・何をビビッているんだ〜っ!・・

・・失敗やミスを怖がっているんじゃ、プロとしてプレーする資格なんかないゾ〜〜ッ!!・・

・・とにかく、少なくとも、突っ掛けていけ〜っ!!・・

・・そうすれば、そのままドリブル突破ができるかもしれないし、味方の、ボールがないところでの勝負の動きも誘発するだろ(=ラストパス!)・・

とにかく前半は、そんな、フラストレーションが溜まるばかりだったんだ。

それが・・

そう、セレッソに先制ゴールをブチ込まれたことで、彼らは、そんな「戦術サッカー」から、完璧に解放されたんだ。

そして、彼ら本来の、とても高質な「攻撃サッカー」が甦った。

そう、イケイケの雰囲気・・

もちろん関根貴大だけじゃなく、左サイドの汰木康也も、アグレッシブなプレーを、何度も「爆発」させ始めていた

だから・・

そう、セレッソの先制ゴールから8分後に、レッズの雰囲気が爆発しているにもかかわらず(!!)荻原拓也に交代させられた汰木康也は、ものすごく不満そうにベンチに戻ってきたよね。

・・やっと調子が乗ってきたのに・・もっと、やりたかったヨ〜〜ッ!!・・

そんな汰木康也の気持ちが、手に取るように感じられたものさ。

でも、それって、結局は、自業自得・・だよね。

これは、「「The Core Column」」ではじめた、カリオカ(ラモス瑠偉)との対談コラムでも、これからテーマにするのだけれど・・

そう、「選手たち個々の、主体的な意志の爆発こそが、もっとも重要な心理マネージメントのテーマなんだ〜っ!!」ってな感じのディスカッション・・ネ。

もちろん、ゲーム戦術プランは大事。

でも、選手たちが、「それ」を言い訳にしたり、「それ」に手足を縛られ「過ぎ」ちゃったりしたら、まさに本末転倒なんだよ。

とにかく選手たちは・・

そんな、(カタチにはめ込まれた!?)停滞気味の雰囲気を、自らのインテリジェンスと強烈な意志をもって打破していけなければならないんだよ。

そして、それこそが、監督の「心理マネージメントの究極テーマ」でもあるっちゅうわけさ。

深いでしょ・・

オレは、ヘネス・ヴァイスヴァイラーやリヌス・ミケルスから、そんな「監督の本質的な仕事の内実」を説いて聞かされたんだ。

そう、チーム&ゲーム戦術を十分に機能させるなかでも、必要とあれば、そのカタチを、自らの考えと意志で「ブレイクスルーしていく強烈な意志・・」ってなことなのさ。

あっと、試合・・

そんな、本質的な「意志の爆発」が感じられたからこそ、その後のゲーム展開と結果には、心底、落胆させられた。

もちろん・・

逆に、ロティーナ率いるセレッソの、徹底的な「戦術サッカー」に対して、脱帽せざるを得なかった。

微妙だよね。

まあ、たしかに、ロティーナの下で、柿谷曜一朗「も」、しっかりと守備ができるように変質しはじめているよね。

ということは・・

ロティーナが主導する「戦術サッカー」を活性化させていくなかで、徐々にチームが解放サッカーのベクトルに乗っていく・・!?

もちろん、そんなチーム進化プロセスも、ありだよね。

ということで今日は、こんなところです。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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