湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2019年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第27節(2019年9月28日、土曜日)
- フロンターレが魅せてくれた、久々の「最高潮サッカー」・・また、中村憲剛(牛若丸)による、素早く、ものすごく効果的なタテへの勝負パスについても・・(フロンターレvsヴィッセル、1-2)
- レビュー
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- フム〜〜・・
・・1失点までだったら、かならず、ゲームをひっくり返せると思っていたんですよ・・
・・ということで、あの、2失点目は、ホントに痛かった・・
ゲーム(勝負)の展開について、フロンターレ鬼木達さんが、そんなコトを言っていた。
そりゃ、そうだ・・
前回コラムでは、「フロンターレの最高潮サッカー」なんていう表現をつかったけれど、今日の彼らは、まさに、そんな絶好調サッカーだったんだ。
たしかに相手のヴィッセルも、優れたポゼッション(ボールの支配!?)から活発にボールを動かすことに「は」長けている。
でも「それ」は、限りなく、世界レベルの「個の才能」に拠るところが大きいでしょ。
そう・・
彼らの場合は、人の動きに課題があるって感じられるんだよ。
そう、ヴィッセルのボールの動きは、あくまでも「足許パス」をつなぎ、そこから個の勝負をブチかましていく・・っていうタイプなんだよ。
それに対して・・
そう、フロンターレの「人とボールの動き」は、もう、絶好調。
ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが光り輝くんだ。
要は・・
ヴィッセルの場合は、スペースを攻略していくプロセスは、かなり「個の勝負」に依存しているということだね。
それに対してフロンターレは、「組織と個」が、とても高いレベルでバランスしている。
だから、トントント〜ンってなリズムで、相手守備ブロックを振りまわしたかと思えば、スペースでボールをもったドリブラーが(家長昭博とか長谷川竜也とかネ)脇目も振らずに、勇気をもってスペースへ突入し、シュートやラストパスを喰らわせるんだよ。
もっと言えば・・
フロンターレの、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションは、「ワンツーコンビネーション」を幾重にも積み重ねたタイプ・・だって言えるかもネ。
だからこそ、3人目、4人目のフリーランニングも活性化する。
フムフム・・
とにかく、組織サッカーのクオリティーでは、もちろん「雲泥」とは言わないけれど、かなり差があるって感じていたんだ。
まあ、ヴィッセル監督トルステン・フィンクも、同じような感想を述べていた(フロンターレのサッカーを褒め称えていた)っけね。
だから、この勝利は、彼らにとっても格別だってなニュアンスの内容「も」吐露していた。
あっと、総体的なゲームの印象をまとめると・・
ゲームの実質的な内容(人とボールの動き&組織と個のバランス&攻守ハードワークとリスクチャレンジ等など)については、フロンターレに一日以上の長があった・・
・・でも結局、勝負では、ツキに見放された・・
・・ってな感じですかね。
ということで・・
ここからは、久しぶりの素晴らしいパフォーマンスを堪能させてくれた「牛若丸」の、スーパーパサー振りにスポットライトを当てさせてくださいナ。
牛若丸・・!?
もう10年以上前から、わたしは、中村憲剛のことを、そう呼んでいるんですよ。
なんか、橋の欄干をヒラリヒラリって、あの「強力でならした弁慶」を翻弄する牛若丸のイメージが、中村憲剛のプレーぶりと、ピタリと重なり合うんだよ。
特に・・
そう、彼が繰り出す勝負パスの、とても異質な(素晴らしい)クオリティーが、橋の欄干をヒラリヒラリって飛び跳ねながら、相手に「蜂の一刺し」を喰らわせるイメージと、シンクロするんだ。
でも、うまく、彼のプレーを言葉で表現できるだろうか・・
分からないけれど、とにかくトライ。
言いたいことは・・
彼がボールに触ったら(パスを受けたら!)、そこから、とても「異質のタイミング」で、相手にとって危険な「仕掛けプロセス」がブチかまされるっちゅうコトなんだ。
また、分かりにくいってか〜〜!?
要は、彼から繰り出されるパスが、特異なほど、実効レベルが高いっちゅうことなんだよ。
ダイレクトのパスでも、「ワンタッチ&パス」にしても。
もちろん「そこ」には、秘密がある。
そう、ボールがないところでのサポートの動き。
とにかく、牛若丸に「パスが回りそうになった瞬間」、周りの、ボールがないところでのサポートの動きが、爆発するんだ。
そう、パスレシーブのフリーランニングが、急に活性化しちゃうんだよ。
それも、これも、牛若丸への信頼感の為せるワザ・・なんだろうね。
そして、何度も・・
牛若丸がコアになった最終勝負コンビネーションがブチかまされる。
この、タテへの、「決定的スペースパス」だけれど、コースが素晴らしいだけじゃない。
それだけじゃなく・・
牛若丸が素早くボールをコントロールしてから、「ピシッ!!」ってな音が聞こえてきそうな鋭い振りのパスが出てくるまでのタイミングが、「異様」に素早いんだ。
そのタイミングについては、以前、戦友カリオカ(ラモス瑠偉)とも話したコトがあった。
何せ、彼が繰り出す「仕掛けタテパス」の、正確性や、素早いタイミングなどが、牛若丸のそれと酷似しているわけだから。
もちろん、そんな「質」の勝負パスは、イニエスタだって、何度もブチかましていたよね。
だからこの試合では、二人の「最終勝負クリエイター」のプレーを堪能できたっちゅうわけさ。
とにかく・・
久しぶりに、牛若丸が繰り出す、そんな「異質なスーパータテパス」を何度も体感したことで、そのテーマに触れないわけにゃ、いかなくなった筆者だったのであ〜る。
へへっ・・
ということで、またネ〜〜・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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