湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第29節(2019年10月18日、金曜日)

 

積極的な「全体ダイナミズム」のなかで、部分的に「落ち着く」ペース配分マネージメントこそが・・でも、それって、ものすごく難しいよ・・(レッズvsトリニータ、0-1)

 

レビュー
 
えっ!?

ヒエ〜〜ッ!!

でも・・

まあ、「これ」も、不確実だからこそ、最後は「自由」にプレーせざるを得ないサッカーというボールゲームには必須のドラマっちゅうことか・・。

そして直後のタイムアップの笛。

まあ、この結末は、サッカーという非定型ドラマの面目躍如だった!?

もちろん・・

カウンター決勝ゴールを生み出した主役たちは、ホントに素晴らしかった。

ロングカウンターのキッカケを、全力スプリントで「創り出した」田中達也・・

その田中達也を、これまた素晴らしい勢いのオーバーラップで追い越し、そこから決定的な(とても冷静な!)ラストクロスを、ファーサイドに決めた三竿雄斗・・

そして、その正確なラストクロスを、ヘディングでレッズゴールにブチ込んだ後藤優介・・

また、その後藤優介をフリーにすべく(!?)、最後まで併走しながら、レッズゴール前へ押し上げつづけた伊佐耕平・・

それは、それで、心からレスペストし、拍手をおくるべき「魂の決勝ゴール」だった。

さて・・ということで・・このゲームだけれど・・

前半は、優秀なプロコーチ片野坂知宏に率いられたトリニータが、ゲームを支配した。

彼らは、前からプレス守備とブロック守備を、ものすごく効果的に使い分けながら、ゲームのイニシアチブを握ったんだ。

もちろん、その絶対ベースは、素早く効果的な攻守の切り替えなどに代表される、選手たちの、優れた「攻守イメージング能力」。

その意味でも、片野坂知宏に拍手をおくっていた。

ということで、イニシアチブ「は」握りつづけるトリニータだったけれど、それでも、ゴール機会は、「あの」完璧ワンツーからのポストシュートだけだったかな。

まあ、「それ」も、片野坂知宏トリニータの、継続テーマなんだろうね。

対するレッズ・・

たぶん前半は、「落ち着いてゲームを支配しながらチャンスを狙っていこう・・」なんていう展開イメージだったんだろうね。

そんな、ある意味「受け身」のマインドでグラウンドに立ったから(!?)、至るところで、トリニータに対して、攻守にわたる「出足」で、後れを取ってしまう。

そんな、後ろ向きのサッカーを観ながら・・

・・このところ、(相手がとても強いACLでの勝負マッチを踏み台に!?)良いサッカーのイメージが確立しはじめたレッズだったのに・・

・・なんて思っていた私は、すこし落胆しながらも・・

・・まあ、後半にはペースアップするでしょ・・

・・なんて、鷹揚(おうよう)に構えていたんだよ。

そして、実際に・・

そう、ハーフタイムでの大槻毅監督の「檄」が効いたようで、後半のレッズは、より積極的に「前へ出ていく」ようになったんだ。

もちろん、まず守備だよ、守備。

そう、彼らは、より「前」でボールを奪い返せるようになったんだ。

そして・・

そんな積極的なボール奪取プロセスがあったからこそ、次の攻めにも(ボールがないところでのサポートの動きの量と質に!)勢いが乗っていったんだ。

まあ、ここじゃ詳しくは入り込まないけれど・・

その流れが、興梠慎三の「個人スキル&決定的シュート」、何度かのミドル弾チャンス、そして何といっても、後半45分に飛び出した、ファブリシオのカウンターチャンスに結びついた。

特に、後半45分のカウンターは決定的だった。

こちらも、フリーズしたさ。

でも・・フ〜〜ッ!・・

そして、その「落胆シーン」の2分後には、更なる「落胆」が待ち構えていたっちゅうわけだ。

まあ、このゲームについては、これ以上、書くことはなさそうだね。

とにかくレッズは、積極的に「前から行けば」、かならず、良いサッカーができる。

そう、美しい質実剛健サッカーが・・ネ。

そのことは、もう何度も体感させてもらった。

だから、ゲーム展開マネージメント(!?)的なニオイがプンプンしてくるサッカー(ペース配分サッカー!?)には、まったくアグリーじゃない筆者なのだよ。

もちろん・・

もし、「そんな発想」があれば・・の、ハナシではあるけれど・・サ。

やっぱりサッカーは・・

あくまでも、積極的にプレーすべきボールゲームなんだよ(攻守ハードワークとリスクチャレンジ等など)。

そして・・

そんな、ダイナミックな「全体リズム」のなかで、部分的に「落ち着いく」っちゅうのが、優れた「ペース配分マネージメント」っていうわけさ。

まあ、そんなペース配分マネージメントは、ものすごく難しいけど・・サ。

ということで・・

とにかく、(あのカウンターシーンでの意志の爆発が象徴している!?)優れた仕事を積み重ねるプロコーチ、片野坂知宏に、乾杯!!

ということで、今日は、こんなところです。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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