湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第32節(2019年11月23日、土曜日)

 

やっぱり、結果を残すための唯一のKFS(キーファクターフォーサクセス)は守備に(闘う意志に!!)ありっちゅうことさ・・(FC東京vsベルマーレ、1-1)

 

レビュー
 
たしかに、難しいんだよな〜〜・・

守備アクションの内実を、しっかりと評価するのは・・。

チェイス&チェックやカバーリング、マーキング、機を見た協力プレスへの「集散アクション」、最終勝負シーンで「最後の半歩」が出せているか・・等など。

例えば、ボールへの寄せやプレッシング(たまには肉弾デュエル!)にしても、「そこ」に強烈な闘う意志が伴っているか・・というのが評価ポイントなんだ。

その「意志」さえあれば、周りのチームメイトたちの協調アクションも、効果的にリンクしていくハズなんだよ。

ということで、このゲームからは・・

とても立派な(集中力と勇気にあふれた!!)組織ディフェンスを魅せつづけたベルマーレ・・というテーマをピックアップしようと思う。

そうだな〜・・

それについては、「そこ」でブチかまされる「意志のパワー」っちゅうテーマとも言い換えられるかな。

というのも、このところのベルマーレが・・

「全体としては」とてもダイナミックな(観ている方には、そう見える!?)攻守ハードワークとリスクチャレンジを魅せていながら・・

肝心の勝負所で気が抜け(集中力を欠いたり、コンビネーションがうまくリンクしなかったり!?)、最後は、一敗地にまみれるっちゅう悔しいゲームがつづいていたからね。

だから、私の眼には、このゲームでのベルマーレ守備が、とても、とても充実していたと、映っていたんだ。

でも・・サ・・

そう、冒頭で書いたように、それぞれの守備アクションの「内実」を正確に評価するのは難しい。

もちろん、ボールまわりの「肉弾デュエル」は、結果が見えるから、ある程度は評価できる。

でも、その他の、ボールがないところでの守備アクションの内実を、正しく観察し、評価するのは、実は、とても難しい作業なんだよ。

そう、そこには、「アリバイ・マインド」だって蠢(うごめ)いているし、急に「アタマ真っ白な気抜け」になって守備アクションが後手に回ってしまったり・・なんてコトもある。

そして、もちろん、相手に「ゴール機会」を創り出されちゃったら、死活問題だ。

だからこそ・・

「ピンチになる!?」という危機感「だけ」で、自然とカラダが動いたり、事前にアタマに描く「対処イメージ」で、危急スポットへ急行したり・・等などといった危急アクションが求められるのさ。

それこそが、強烈な意志の為せるワザ(クリエイティブな守備アクション!)っちゅうわけだ。

このところのベルマーレについて・・

そんな、ギリギリの「闘う意志アクション」が足りない・・って、思っていたのさ。

現場では、よく言うじゃありませんか・・

「行けてる」とか、「行けてない」とか・・

それは、とても曖昧な表現かもしれないけれど、要は、攻守の目的を達成するために、120%の闘う意志を注ぎ込めているかどうか・・という視点のことなんだ。

守備の目的は、相手からボールを奪い返すこと・・

ゴールを守るってのは、単なる結果にしか過ぎない。

また攻撃の目的は、シュートを打つことであり、ゴールを奪うというのは、これまた、単なる結果にしか過ぎないんだよ。

もっと言えば・・

攻撃の「当面の目標イメージ」は、相手ディフェンスブロックの中とかウラにあるスペースを攻略していく(フリーな味方ボールホルダーを演出する!)ことなんだよ。

その目的イメージを強烈に意識し、自らの意志をリミットまで高揚させていく・・

それこそが、プロサッカーという「際ビジネス」に臨むプロ選手たちの、最低の心構えなんだ。

もちろん、これまでのベルマーレに、「それ」が欠けていた・・なんて、アンフェアなコトは言わない。

あくまでも、わたしの印象として、闘う意志ポテンシャルは十分なのに、どうも、それぞれの意志(守備のイメージング)が、うまくシンクロしていない(一致していない)と感じられていたんだよ。

だから、ボールがないところで(スルーパスやクロスに合わせるフリーランニング等で!)、相手にやられちゃったりする。

でも、この日のベルマーレは、違った。

守備(ボール奪取)プロセスが、素晴らしいハーモニーに包まれていたんだ。

ボールへの寄せアクションに代表される、汗かきの守備ハードワーク。

そのファースト汗かきアクションを絶対ベースに、周りのチームメイトたちが、まさに間断なく、全力で次のボール奪取プロセスを刻んでいくっちゅうわけだ。

そんなだから、「あの強力な」FC東京のオフェンスが、何度も寸断させられていたのも頷(うなづ)ける。

もちろん、最後の相手シュート(ピンチのシチュエーション!)にしても、間断のない組織コンビネーションから、複数の(!!)最後の半歩「も」出つづけていたっけね。

だから、一点を追いかけるFC東京がギアアップし、イニシアチブを握った後半でも、彼らに、流れのなかからのゴール機会を、簡単には創らせなかった。

もちろん・・

「あの」、交通事故のような同点ゴールを除いてね・・

さて・・

ベルマーレにしても、FC東京にしても、リーグ残り2試合は、「天国と地獄のあいだ」を行き来するコトになる。

そこでもっとも問われるのは、もちろん、選手たち個々の、「闘う意志の内実」なんだよ。

このコラムで言いたかったのは、そのコトだった。

グラウンドに出てしまえば、後は、選手たち自身が、自分たちが主体になって(これこそがホンモノの自己主張!!)、150%の闘いをブチかますしかないわけだから・・。

何か、「プールサイダー」のような発言になってしまったような・・

とにかく、わたし自身の学習機会としても、しっかりとテーマを設定し、最後の二つの勝負マッチを、心から楽しませてもらうことにしますよ。

あっと・・

「プールサイダー」という表現だけれど、それについては、イザヤ・ベンダサン(=山本七平)著作の「日本人とユダヤ人」をご参照あれ!

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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