湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第33節(2019年11月30日、土曜日)

 

3年もつづけて、「このタイプのサッカー」がリーグを制した!?・・とにかく嬉しい限りじゃありませんか・・(フロンターレvsマリノス、1-4)

 

レビュー
 
あららっ・・残念・・

アンジェ・ポステコグルーへ質問したかったのだけれど、わたしまで順番が回ってこなかった。

まあ、仕方ない・・

聞きたかったのは・・

コンサドーレのミハイロ(ペトロヴィッチ)にしても、フロンターレの鬼木達さんにしても、彼らのサッカーに対しては、アンジェも、レスペクトしているはず。

だから、そのレスペクトのバックボーン哲学を聞きたかったんだ。

まあ・・ネ・・

もちろん自分の言葉では表現できるけれど、それと、アンジェの表現とを、つき合わせることで、理解を、より深いモノにしたかったわけさ。

そんな公式の場での発言だから・・

アンジェにとっても、自分がもっとも語りたい哲学を表明できることは、今後につながる、素晴らしいモティベーションになると思っていたわけなのであ〜る。

へへっ・・

ところで、アンジェ率いるマリノスが魅せる、前からプレス守備も含めた「美しく勝つサッカー」・・

昨シーズンまで連覇したフロンターレも含めれば、3年もつづいていることになる。

あのように魅力的で美しい「攻撃サッカー」が、3年もつづけて、リーグを制したんだ。

私は、そのコトに、ものすごく深い価値とコノテーション(言外に含蓄される意味)が内包されていると思っているわけさ。

わたしは、6年間にも及んだドイツ留学で、こんな哲学を叩き込まれた。

リアクション戦術サッカーほど、その国のサッカーを貶(おとし)める存在はないって・・ネ。

そうではなく、サッカー界全体が志向すべきは、攻守ハードワークとリスクチャレンジを絶対ベースにした攻撃サッカー。

もちろん・・

ココゾの勝負マッチや、一つのゲームのなかで生じる「勝負の時間帯」じゃ、それなりに「対処」するやり方(知恵・・引き返す勇気!?)があってもいい。

それでも、全体的なチーム戦術のトーンは、「美しく勝つ」ことを標榜する攻撃サッカーであるべきなんだよ。

それこそが、美しい質実剛健サッカーの本質じゃありませんか。

あっと・・

まだマリノスは、リーグ優勝を遂げているわけじゃなかったっけ!?

でも・・

最終戦で、FC東京が、あの「美しく強力なマリノス」に、4点差以上で勝利を収めるなんてコトは、うまく想像できないじゃありませんか。

まあ、直接対決だから、現在の得失点差「7」を縮めるのは、最終節で、その数字の半分の得失点差を付けて勝てばいいわけだけれど(だから4点差の勝利)、それでも・・ネ。

そんなコトを書いたら、長谷川健太さんに「白い眼」で見られちゃうかもしれないけれど・・

スミマセンね、長谷川さん・・

ということで、ここでは、アンジェのマリノスが、リーグ優勝の栄冠を掴み取るという大前提でハナシを進めさせてくださいネ。

冒頭で、「質問できなかった・・」って書いたけれど、もちろん会見後、会見ホールを出て行こうとするアンジェに声は掛けたよ。

でも、そんな長い質問など出来ハズがない。だから・・

「アンジェ!!・・Thank you for Japanese Soccer !!・・」ってね。

そして、満面の笑顔のシェイク・ハンド・・

そのとき、「このタイプのサッカー」が、日本の、明確なメインストリーム(主流)になりつつあるという、とても嬉しい事実を噛みしめていた筆者だったのであ〜る。

ところで、会見での、アンジェのコメント。

もちろん、いつものように、素晴らしい内容が込められていた。

例えば・・

・・我々は、プロサッカーを、エンターテインメントとしてだけじゃなく、(日本サッカーを!)しっかりと進化させられるだけの「実」も持ち込めたと思う(内容と結果の、実効あるリンク!?)・・

まさに、おっしゃるとおり。

私は、ヘネス・ヴァイスヴァイラーやリヌス・ミケルスといった、世界サッカーのレジェンドから、直接、サッカーが志向すべき「根源的ベクトル」を叩き込まれたんだ。

でも、そのベクトルに立ちはだかるモノがある。

それは、「結果」という魔物。

だからこそ、真に優れたプロコーチは、「美しく勝つサッカー」をギリギリまで目指しながらも、ホンモノの「勝負所」じゃ、誰もが「いぶかる」ほどの、勝負優先サッカーに切り替えたり出来る。

そう、それこそが、前述したとおり、「美しい質実剛健サッカー」の本質っちゅうわけさ。

まあ、理想と現実の相克・・

だからこそ・・

その相克を、いかに、本当の意味で乗り越え、21世紀の日本社会のイメージリーダーとしての「サッカーの隆盛」に貢献したのか・・っちゅうのが、サッカー人の本質的テーマなんだ。

「J」には、いまの、ミハイロ・ペトロヴィッチ、風間八宏、鬼木達だけではなく、その他にも、多くの、「美しく勝つサッカー」にチャレンジするプロコーチがいる(いた)。

言いたかったことは、彼らに対するレスペクトも含めて、一つだけ。

それは・・

このタイプのサッカーが、日本サッカーのメインストリーム(主流の考え方)として、深く定着しはじめている・・っちゅう事実。

そんな大原則が基盤にあれば、チーム戦術にしても、ゲーム戦術にしても、おのずと、魅力的(攻撃的!?)な方向へ引き寄せられていくでしょ。

とにかく・・

田嶋幸三会長を筆頭に、日本サッカー協会のテクニカルスタッフは、とても良い仕事をしていると思いますよ。

お世辞じゃなく・・ね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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