湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第3節(2019年3月10日、日曜日)

 

とてもハイクオリティーな両チームによる、エキサイティングな攻め合い(仕掛け合い)になった・・(マリノスvsフロンターレ、2-2)

 

レビュー
 
このゲーム・・

時間を追うごとに、期待に違(たが)わぬエキサイティングな攻め合い(仕掛け合い)というギリギリの勝負マッチへと成長していった。

堪能した。

でも・・

そう、立ち上がりの10分くらいは、自らのミスによる失点も含め、マリノスは、まったくいいところなく、完璧にフロンターレの後塵を拝していたんだよ。

アンジェ・ポステコグルー監督も、ベンチ前で怒り狂っていた(傍目には、そう見えた!?)。

まあ、記者会見で、そのコトを聞かれたときは・・

・・もっと積極的にプレスを!!・・もっと動いてボールに絡め!!・・などの指示を出したんだ・・

・・ってな感じで、冷静にコメントしていたけれど、実際は、ホントに怒り心頭に発していたにちがいなかったよね。へへっ・・

とにかく、そんな「エモーションの爆発」もまた、心理マネージメントの重要なツールだからさ。

でしょ、ポステコグルーさん・・!?

ということで、そんな「怒オーラ」が、チームに伝わらないはずがない。

そして徐々に、マリノスが、彼ら本来の、前からプレス守備をベースにした積極的な攻撃サッカーをブチかませるようになっていったっちゅうわけさ。

だからこそ、ゲームが、ものすごく質の高い内容へとグレードアップしていったんだよ。

とはいっても、わたしは・・

両チームがブチかまし合う、攻守ハードワークとリスクチャレンジ溢(あふ)れる攻撃サッカーを観ながら、そこでの「ほんのちょっとした差」を感じ取っていたんだ。

そう、スペース攻略や、そこに至るまでのプロセスのコノテーション(言外に含蓄される意味)という視点では、やはりフロンターレに一日の長があるって思っていたんだよ。

それも、数日後のACLを考慮し、通常のスタメン4人をベンチスタートにしたにもかかわらず・・。

あっと・・

その、スペース攻略という視点。

もちろん、ある程度フリーなボールホルダーを創りだすという意味だよ。

そのプロセスでフロンターレが魅せつづける、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが秀逸だったんだ。

特に、ダイレクトパスの内実。

マリノスは、前からプレス守備をブチかましてくる。

彼らは、次、その次のパスレシーバーをイメージし、組織的に「詰め寄って」くるんだ。

でも・・

そう、フロンターレの強者どもは、そんな「プレスの波」を、トントント〜ン・・ってな軽快リズムの、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションでかわし、置き去りにしてしまうんだ。

マリノス「前からプレス守備」の、第2の波、第3の波・・ってな感じで機能する効果的なカバーリング網を「外す」のは簡単じゃないにしても・・だよ。

そんなところにも、アンジェ・ポステコグルーのウデを感じるわけだけれど、それでもフロンターレは、そんなマリノスの前からプレス守備を、見事に「外して」しまうシーンを、何度も創りだしたっちゅうわけさ。

だから、わたしは・・

組織的な流れのなかに、効果的にドリブル勝負もミックスしていく・・という視点じゃ、前述したように、フロンターレに一日の長があると感じているんだよ。

また・・

ゴール機会の「タイプ」にしても、マリノスが、クロスやミドルでのフィニッシュトライが多いのに対し、フロンターレは、ウラの決定的スペースへのスルーパ スあり、様々なタイプのクロスあり、コンビネーションからのミドル(キャノン)砲あり・・ってな具合で、バリエーションに富んでいる。

というわけで、総合的にはフロンターレに軍配が挙がると思っている筆者なのだよ。

だから、後半43分にレアンドロ・ダミアンが奪った勝ち越しゴールを観ながら、「まあ、内容からすれば、順当な結果ではあるよな〜・・」なんて、安易に思っていたっちゅうわけだ。

でも・・

そう、その7分後の後半50分に、CKから、後半途中出場の扇原貴宏が、ヘディング一閃の同点ゴールを叩き込んだんだよ。

ビックリした。

とにかく・・

様々な意味合いで、このゲームを心から楽しんでいた筆者だったのであ〜る。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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