湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2019年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第8節(2019年4月20日、土曜日)
- かなり押し込まれたレッズ・・でも守備ブロックは、立派に持ちこたえた・・(レッズvsヴィッセル、1-0)
- レビュー
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- ・・実は、試合中、時計が気になって仕方なかったんだ・・
そう、オズワルドが言う。
・・そうそう、オレも、まったく同じだったよ・・
私は、そんなふうに、頓狂に反応したっけ。
それは、会見後、恒例になった、他のジャーナリストの方々も交えたオズワルドとの「立ち話」での一コマ。
まあ、「囲み取材」的に見えるだろうけれど、実際の雰囲気は、とてもフランクで、まさに「互いにとって意義のある意見交換の立ち話」ってな感じのオケージョンなんだ。
オズワルドにしても、とてもリラックスして話し込むこともしばしば。
いいね・・
さて、ということでゲームだけれど・・
それは、勝ったからよかったものの、もし、「あの展開」で負けていたら・・ってな内容だった。
そのことを考えるだけで、気が滅入って奈落の底へ・・。
オズワルドも、会見での開口一番、「(精神的な!?)リカバリーを必要としているのは、わたし・・」ってな発言を(半分冗談で!?)していたっけ。
とはいっても、会見の雰囲気は、まったく深刻なモノじゃなく、百戦錬磨の名将らしく、余裕さえ感じさせてくれるんだよ。
まあ、勝ったこともあったんだろうけれど・・ね。
そして素直に、内容は望んだモノじゃなかった(悪かった)と語るオズワルドなんだ。
でも選手たちについては、こんなふうに(メディアに対して!?)かばうんだ。
・・難しいゲームに臨んだ選手たちの勇敢さ、規律(ディシプリン)、ハードワークが、結果につながった・・
・・わたしは、そんな選手たちに敬意を表する・・
・・ってな具合。
そんなトコロにも、「オズワルド・マジック」の一端が感じられる・・!?
あっとゲーム・・
レッズは、先制ゴールを奪ったこともあって(!?)、徐々に、(前線から中盤にかけての!)攻守ハードワークのダイナミズムが減退していった。
そんなだったから、ヴィッセルに「押し込まれる展開」になるのも道理ではあった。
でも私は・・
そう、あんな「ジリ貧の展開」だったにもかかわらず、レッズが勝利することに対して(一点を守り抜くことに対して!)深い確信があった(それでも時間だけは気になったのさ!?)。
そのことについての、一番の根拠・・
それは、オズワルドも言っていたけれど、レッズ最終ライン(中盤も含む守備ブロック)が、ものすごく集中し、ヴィッセルの仕掛け(最終勝負の流れ!)を、効果的に潰しつづけていたことと・・
ヴィッセルの仕掛けプロセスが、かなり稚拙だったことですかね。
その、ヴィッセルの仕掛けプロセスだけれど・・
そこでは、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションなどといった、高質な「仕掛けの流れ」が出てくる雰囲気など微塵も感じられない。
そして、単に、タメからの一発スルーパスやドリブル勝負、ウェリントンのアタマを狙った「エイヤッ!!」の放り込みばかりが目立っていたんだ。
まあ、とはいっても、何度かは、フリーでシュートされるピンチや、フリープレイヤーにパスが通りそうな場面もあった。
また、セットプレーや「流れ」のなかからのクロスボールを、ウェリントンが惜しいヘディングシュートをブチかましたシーもあった。
でも・・
そう、全体的な「ゴール機会の量と質」という視点では、観ているコチラが冷や汗をかくようなシーンは数えるほどしかなかったんだよ。
それは・・
仕掛けプロセスでの「人とボールの動き」が足りないなど、ボールがないところでのサポートの動きが低次元だからに他ならない。
たぶん彼らは、世界のスーパースターを「活かす」というイメージから、まだ、脱却するキッカケを掴んでいないということなんだろうね。
とにかく、ヴィッセルの仕掛けプロセスでは、前後のポジションチェンジなど、前線の人の動きがとても鈍重だったんだよ。
それじゃ、ボールの動きに変化を付けることなど叶うはずがない。
そんな稚拙なヴィッセル攻撃だったから、あれ程のボール支配だったにもかかわらず、彼らが得点する雰囲気は、脆弱そのものだったっちゅうわけさ。
もろちんレッズは・・
ヴィッセルに、あり得ないほどゲームを支配されたコトは、反省しなきゃいけない。
その背景には、オズワルドが言うように、前線からのチェイス&チェックが足りなかったことが挙げられる。
そして、ヴィッセルに攻め上がられっぱなしになってしまう。
もちろん、レッズの前線や中盤だって、「危険なスルーパスやロングパス」が送り込まれそうになったら、爆発的なチェイス&チェックをブチかまして、邪魔しようとはする。
だから、レッズ最終ラインの強者どもも、より効果的に局面デュエルをブチかますことで、ヴィッセルの仕掛けを潰しつづけられたっちゅうわけさ。
でも、それ以外の「展開プロセス」では、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)への寄せは、甘い、甘い。
そして、最後の最後まで、全体的にゲームを支配されるという展開を打開できずにタイムアップを迎えたっちゅう、不満の残るゲームになったというわけだ。
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そういえばレッズは、ACLでの北京戦や、チョンブク戦でも、かなり押し込まれたよね。
あっと・・
その「強い」チョンブクとのアウェーマッチが、来週の水曜日に迫っているんだっけ。
だから、立ち話のなかでオズワルドに聞いた。
・・次のチョンブク戦では、まったく違うレッズを魅せてくれるんでしょ?・・
それに対してオズワルドが、確信の表情で、こう答えた。
・・もちろん・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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