湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第13節(2020年8月29日、土曜日)
- まあサッカーだから、こんなコトもあるさ・・(ヴィッセルvsマリノス、3-3)
- レビュー
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- あららっ・・
ヴィッセルの、ループシュート同点ゴールが決まったとき、そんな頓狂な声が出ちゃった。
とにかく・・
レギュラー試合時間の90分までの全体的なゲーム内容からすれば・・
(そこまで、1-3というリードを奪っていた!)マリノスの順当勝ちって確信していたから、そんな頓狂な反応も自然なリアクションだったっちゅうわけさ。
まあ、そんな「神様のいたずら」も、サッカーの内っちゅうことだね。
ところで後半・・
ヴィッセルは、4人の主力をグラウンドへ送り出したんだけれど、それを契機にイニシアチブを奪い返して攻め込む時間帯が多くなった。
とはいっても、マリノスの立派なサッカーが勢いを失ったわけじゃない。
彼らも、再びイニシアチブを奪い返すなかで、カウンター気味に攻め込むなど、何度も「4点目」チャンスを創りだしていた。
だからこその「マリノス勝利の確信」だったわけだけれど・・
それが・・さ・・
まあ、ゴール経過については、どこかのネットでご確認くださいネ。
試合後の、ダゾン・インタビュー・・
そこで、ヴィッセルのトルステン・フィンクが語っていたように、前半は、完璧にマリノスが試合の流れを牛耳っていたよね。
それに対してヴィッセルは、スペースを攻略していくチャンスメイクの流れさえ発芽させられなかった。
とにかく、ここ最近のマリノスは、補強がうまくいったことも含め、完璧に、昨シーズンの「勢い」を取り戻したよね。
そのマリノスでは、とにかく、ボール奪取プロセスが素晴らしい。
最前線からのチェイス&チェック(相手ボールホルダーや次のパスレシーバーに対する寄せ!)が、とにかく忠実で素晴らしいんだ。
そんな、守備ハードワークを「主体的に探しつづける!!」選手たちの「闘う意志」にこそ、アンジェ・ポステコグルーの、心理マネージャーとしてのウデを感じるわけさ。
そして・・
そう、そんな守備ハードワークの実効レベルが高いからこそ、ボールがないところでのマーキングやカバーリング、協力プレスの集散といった、組織ディフェンスの機能性もアップするんだよ。
要は、守備での「連動性」っちゅうことだね。
そして、だからこそ・・
まあ、言うまでないけれど・・
次の攻撃での、人とボールの動きの「リズム」も、勢いを増していくっちゅうわけだ。
ところで、ヴィッセル・・
監督のトルステン・フィンクがインタビューで語っていたのだけれど・・
ヴィッセル「も」、しっかりとボールをキープしながら(イニシアチブを握りながら)攻め上がっていこう・・というゲーム戦術イメージを描いていたらしい。
そして、そんなヴィッセルの(攻撃的な)ゲーム戦術イメージが、うまくマリノス攻撃を乗せた!?
まあ、そういう側面もあったんだろうね。
だからマリノスが、相手の「堅いブロック守備」を突き崩していくのに苦労しなくて済んだ・・ってな、ある意味ラッキーなゲーム展開になった!?
ところで(前述のつづきだけれど・・)・・
後半17分に、ヴィッセル、トルステン・フィンクが、4人の主力(!?)選手をピッチに送り込んでからのゲーム展開の変容・・というテーマ。
そこから、ヴィッセルのサッカーに、俄然、勢いが乗っていったんだよ。
そんな、ゲーム展開の「変容」を観ながら、こんなコトを考えていた。
・・そりゃ、交替した4人の「個のチカラ」は、明らかに先発よりも上だよな・・
・・でも、このゲーム展開の変容のバックボーンは、「それだけ」なんだろうか!?・・
・・ハタと考えた・・
・・たしかに、闘う意志ダイナミズムのアップにともなって守備の勢いは、増した・・
・・それにつれて、局面デュエルの内実もアップした・・
・・だからボールを奪い返す「頻度」と、その「状況」にもアドバンテージが乗った・・
・・そんなだから、次の攻撃でも、交替した主力組の「個のチカラ」が、組織プレーでも、個人の勝負プレーでも、うまく相乗効果を発揮しはじめた!?・・
・・でも、そんな現象面の、心理的バックボーンは??・・
・・主力の加入で、ヴィッセル先発選手たちの「自信と確信レベル」がアップした!?・・
・・それによって、攻守ハードワークとリスクチャレンジの内実もアップしていった!?・・
・・逆にマリノスにとっては・・
・・ヴィッセル主力組が登場してきたことで、マリノス選手たちの「プレー(意志の)ダイナミズム」も、少し注意深くなっていった!?・・
やっぱり・・
・・イレギュラーするボールを足であつかうという不確実なサッカーは、究極の「心理ボールゲーム」なんだよ・・
・・そう、意志のボールゲーム・・
・・だからこそ、戦術サッカーではなく、解放サッカーこそが・・
・・解放された選手たちは、より大きな喜びをもってプレーするだろうし、「やらされているサッカー」よりは、何倍も、進化&深化のポテンシャルがアップするでしょ・・
なんて・・ネ。
とにかく・・
「あの」ゲーム展開の「変容」について、そんなコトに、アタマを巡らせていたんだよ。
とはいっても実際は・・
マリノスが押し込まれたのは、まあ、ほんの数分だったよね。
そう、それ以降は・・
またマリノスがイニシアチブを奪い返し、交替出場した、ジュニオール・サントス、高野遼、松田詠太郎が躍動するシーンも創り出したんだ。
まあ、ダイナミックな均衡状態。
だから、「まあ、これで勝負は付いたな・・」なんて、安易に思っちゃったんだよ。
それが・・
それにしても、この、ドラマチックな「神様の同点ドラマ」を何と表現したらいいんだろうね。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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