湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第14節(2020年9月5日、土曜日)
- フロンターレが後半に魅せた(意識と意志の!?)爆発(プレー姿勢のアグレッシブな豹変!?)・・ホントに素晴らしいの一言だった・・鬼木達さんに、心からの拍手を・・(マリノスvsフロンターレ、1-3)
- レビュー
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- すごかったネ〜・・
後半の立ち上がりから、フロンターレがブチかました「前からプレス守備」。
表題にも書いたけれど、その絶対バックボーンは、なんといっても、相互信頼も含めたチームスピリットなんだよ。
そう、個々の「意識と意志」が、まさに理想的にシンクロしつづけたっちゅうわけだ。
ところで・・
ダゾン・カメラのズームワークが、少し「寄り過ぎ」だったことで、フロンターレ前線の状況を正確に把握できなかったけれど・・
たぶん「ソコ」でも、マリノス守備が、かなりタイトにプレッシャーを掛けていたんだろうね。
ということで・・
マリノスが、後方から、うまく「展開タテパス」を送り出せないのも道理ってな展開なんだ。
また・・
タテパスを送り出せても、レシーバーへのパスが読まれていることで、「そこ」で、ものすごい勢いのアタックを受けちゃう。
また、そのタテパスをイメージした、マリノスのサポートの動きも鈍い。
そんなだから、次のパスレシーブ状況でボールを失ってしまうシーンがつづいたのも当然の成りゆきだった。
そして、「あれよあれよ」っていう間に、逆転ゴール、追加ゴールをブチ込まれ、気がついたら、「1-3」ってなリードを奪われていた。
でも私は・・
そう、(前半のゲーム内容からすれば!?)この後どうなるかなんて、まったく予断は許さない・・と、手に汗にぎってゲームを追いつづけたっちゅうわけだ。
でも・・
そう、その後も、フロンーレの「前からプレス守備」の勢いは、まったく衰えなかった。
だから、マリノスが押し上げていけるような状況は、とても限られていたっちゅう次第。
また、マリノスが前へ仕掛けていけたとしても、次、その次のパスレシーバーが、(予測ベースの!)マーキングやアタックを受けてボールを失ってしまう。
前半の印象・・
「日本でも、このレベルのサッカーが観られるようになったんだ〜っ!!」なんて、少し誇りにさえ感じていたモノさ。
もちろん、世界トップからは、個のチカラが劣ることで、局面デュエルの内実に、少し差があるよね。
「アチラ」では・・
どんなにタイトな局面デュエルでも、個のチカラで打開し、ウラのスペースを取ってしまうシーンが続出するでしょ。
もちろん、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションでも、ウラを取る。
そう、組織でも、個でも・・
まあ確かに、そんな局面デュエルの内実では、まだまだ「世界トップとの差」は明らかだけれど、それでも、全体的なサッカーの質は、大きく進化しているんだよ。
とにかく前半は、両チームに対して・・
日本のファンの方々に、サッカーの魅力を(日本サッカーが進むべきベクトルを!!)デモンストレーションしてくれているって感謝していたんだ。
そう、素晴らしい、市場価値の創造・・
でも・・
そう、後半は、冒頭のように、フロンターレの独壇場「的」なゲーム展開になっていってしまったんだ。
そんな展開になった、もっとも大きな要因は、もちろん、マリノスが、フロンターレの前からプレス守備の「勢い」に呑み込まれてしまったこと。
そうではなく、マリノスは・・
フロンターレに負けじと、強力ダイナミズムの「前からプレス守備」をブチかましていかなきゃならなかったんだよ。
そんな、即応的な「対抗戦術」のイメージ的な描写だけれど・・
・・マリノス前線の選手たち・・
・・フロンターレの「前からプレス守備」の勢いによって、マリノス後方のボールの動きが「停滞気味」になり、そこから、うまくボールが出てこないと感じた彼らは・・
・・次の瞬間には、とにかく、タテパスを受けに戻らなければならない・・
・・そう、タテパスを引き出すパスレシーブの動きをブチかますんだよ・・
・・もちろんマリノスも、背後から、厳しくボール奪取アタックを仕掛けてくるでしょ・・
・・とにかく、フルパワーの局面デュエルで、何とかボールをキープするんだ・・
・・でも、もし、「そこ」でボールを失ったら・・
・・瞬間的な攻守の切り替えから、今度は、自分が、超絶パワーで、次のボール奪取プロセスへ「爆発」していくんだ・・
・・そう、爆発的な「寄せの勢い」をブチかますんだよ・・
・・そうすれば、「その爆発的な勢いの雰囲気」によって、周りのチームメイトたちも、次の「寄せ」、その次の「寄せ」をイメージするようになる・・
・・爆発的なボール奪取プロセスの「連動」・・
・・そして、相手の前からプレス守備の「勢い」を、今度は自分たちが叩き返していく・・
「あのジリ貧の状況」を打破していく方法は、まず、上記のような「意志のダイナミズムが激突」する状況を創りだし、「それ」を制していくしかないんだよ。
だからこそ、闘う意志を「爆発」させる強烈な刺激をブチかませる「グラウンド上のリーダー」が必要なんだ。
このテーマについては、カリオカ(ラモス瑠偉)も登場する「このコラム」も、ご参照あれ。
とにかく、フロンターレが後半立ち上がりからブチかました、「チームの根底からほとばしりつづけた強烈な闘う意志」は、素晴らしかった。
もちろん、優れたプロコーチ、鬼木達というストロングハンドの為せるワザ・・だよね。
ダゾン・インタビューで、アンジェ・ポステコグルーも、後半のフロンターレを(そこでの意志の爆発を!!)賞賛していたっけね。
やっぱり、イレギュラーするボールを足であつかうことで何が起きるか分からない、不確実ファクター満載のサッカーでは、最後は「自由」にプレーせざるを得ないのさ。
そう、サッカーは、究極の「意志のボールゲーム」なんだよ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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