湯浅健二の「J」ワンポイント


2020年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第16節(2020年9月13日、日曜日)

 

ゲームを観ながら、第10節の「レッズ対サンフレッチェ戦」を思いだしていた・・とにかく、レッズの「アンチ・フットボール傾向」とも言えそうな(過ぎたる!?)戦術サッカーが心配だ・・(コンサドーレvsレッズ、3-4)

 

レビュー
 
いったい、このゲーム結果に内包されているコノテーション(言外に含蓄される意味)は、何だったのか。

ゲーム自体は、数字的にも、実際のサッカー内容でも、コンサドーレが圧倒した。

レッズが「やれば」、互角以上のサッカー内容を創りあげられたはずなのに・・

そんな、実質的なゲーム内容だったけれど・・

最後は、後半ロスタイムに、柴戸海が流し込んだ決勝ゴールで、レッズが、勝ち点3をもぎ取ることになった。

フ〜〜ッ!!・・

レッズ監督の大槻毅さんは、「このような」ゲーム(勝負)展開やサッカー内容をイメージして(志向して!?)チームを創っているんだろうか??

だとしたら、そりゃ、まったく、レッズだけじゃなく、日本サッカーの進化や深化にとっての、本質的な「糧」にゃ、ならないよな。

それは・・

誰が観ても、いまのレッズのサッカーは、完璧な「後ろ向きの戦術サッカー」だからさ。

ところで・・

そんな戦術サッカーを観ながら、1970年代にドイツへサッカー留学した当時の「体感」が、アタマに浮かんだんだ。

ヘネス・ヴァイスヴァイラーや(後々には)リヌス・ミケルスといった、世界サッカーの発展プロセスを引っ張りつづけた伝説的なオッサン連中。

わたしは、彼らから、戦術の大切さ「だけ」じゃなく、選手たちを「そこ」から、いかに「ポジティブに解放」するのかっていう、コーチング(心理マネージメント!?)のエッセンスを学んだんだよ。

・・オマエ・・

・・分かっているよな・・

・・グラウンド上でプレーするのは、あの子たちなんだっていう確かな事実を・・

それが、どのオッサンの言葉だったかは、定かじゃない。

まあ、たぶん、ヘネス(ヴァイスヴァイラー)だったんだろうね。

ところで・・

その当時、ドイツの「現場」では、こんなディスカッションが盛んに行われていたんだよ。

そう・・

・・消極的で受け身に、相手の良さを潰すこと「だけ」をターゲットにする、後ろ向きの守備的サッカーは、サッカーの魅力(美しさ)を壊す・・

・・そして、サッカーの発展を阻害する・・

・・だからソレは、まさに「アンチ・フットボール」って呼べるモノなんだ・・

そして現場では・・

ヘネス・ヴァイスヴァイラーのような、進化を追い求めるクリエイティブなオピニオンリーダーたちと、結果「ばかり」を追い求める「アンチ・フットボーラー」が、罵り合いに近い過激なディベートを展開していたんだ。

わたしは、そのまっただ中にいた当事者たちによる、口角泡を飛ばす罵り合い(あっ・・ディベートね!)の現場にも、何度も連れて行ってもらったモノさ。

もちろん、当時のハナシだから、彼らがブチかます主張の全てが分かったわけじゃないけれど、それでも、部分的な言葉や雰囲気から、大体の内容は掴めていたんだよ。

ということで・・

ゲームを観ながらアタマを占拠したのは、その事(ドイツ留学)だけじゃなく・・

第10節の「レッズ対サンフレッチェ戦」も、明確に思いだしていたんだ(そのゲームについては、呆れたことで、コラムに落とさなかったけれど・・)。

その試合でもレッズは、サンフレッチェに、8倍ものシュートをブチかまされ、まさにクビの皮一枚でサバイバルしたんだ(その日の西川周作には神様が宿っていた!?)。

とにかく、このゲームの全体的な印象は、まさに「そんな感じ」だったわけさ。

言いたいことは・・

いまのレッズ選手たちのチカラは、こんな、後ろ向きの「戦術サッカーを強いられる」レベルにしかないのか??・・っちゅう疑問。

わたしは、そんなことは、まったくないと思っているんだ。

(強い意識と意志をもって!!)やれば、必ず、美しい質実剛健サッカーを目指せる・・って確信しているんだよ。

とにかく、いまのレッズ攻撃では、「人とボールの動き」が、鈍重の極みなんだ。

そして、このゲームの前半に、何度かあったような、一発ロングのカウンター(要は、前線選手の才能に頼り切った単発攻撃!)を繰り出していく。

たぶん・・

そう、選手たちは、ディフェンスのチーム戦術(ブロック守備)や、ボールを奪い返した後の、仕掛けの流れの画一的なピクチャーを「ガチガチに叩き込まれて」いるんでしょ。

ステレオタイプ・・!?

そう、何か、以前の「ソ連のサッカー」を観ているような・・

とにかく、それじゃ、レッズの仕掛けプロセスで、「人とボールの動き」が止まり気味になってしまうのも道理。

たぶん・・

ボールを失った後のディフェンス(必死の戻りアクションと互いのポジショニングバランス等など!)を強く意識させられているだけじゃなく、仕掛けプロセスでのポジショニング相互バランスとか、とにかく「決まり事」が多いんでしょ。

そんなだから、ボールがないところでのサポートの動きやリスクチャレンジアクションが「待ち」になっちゃうのも、自然の成り行きだよね。

ということで・・

このディスカッションで、もっとも重要なエッセンス・・

それは、まず、観ている方にとって、とてもフラストレーションが溜まる、美しくないし、エキサイティングでもないサッカー・・だという現実。

そして・・

そう、それ以上に切実な問題は、選手たちの、攻守にわたる主体性イメージングプロセスが、規制され、縮こまってしまう・・というネガティブ現象なんだよ。

選手たちは、攻守にわたり、自由に、主体的な発想をもって、(自分主体であるからこその!!)勇気マンマンのリスクチャレンジを掛けて「いけなきゃ」ならないんだ。

それがなければ、決して、進化&深化など、望めない。

このテーマについては、「The Core Column」で発表した「このコラム」もご参照あれ。

あっと・・

ということで・・ゲームからの具体的テーマだけれど・・

・・前半に何度も観られた、コンサドーレ最終ラインの、足の遅さと稚拙なカバーリング感覚、また不注意なポジショニングには閉口させられた・・

・・だから、後半立ち上がりから、そのセンターに、キム・ミンテを入れたのは正解だと感じていた・・

・・ジェイが秘める、高さという破壊的な潜在力を、はじめて、確認できた(ハッピー!)・・

・・右サイドのルーカス・フェルナンデスは、ホントに素晴らしいサイドバックだ(これもまたハッピーッ!!)・・

・・それに対して、期待の左サイドバック、菅大樹は、もっと、もっと出来ると思う・・

・・また、左足キックの魔術師、福森昭人も、素晴らしい存在感を魅せた・・

・・等など・・

・・また、それ以外にも、チーム&ゲーム戦術(グループ戦術)的な視点でのテーマピックアップもできただろうけれど・・

でも、まあ・・

このコラムの執筆にあたっては、わたし自身のモティベーションダウンも含めて、必要なエネルギーを失ってしまったっちゅう体たらくだったのです。

悪しからず・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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