湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第17節(2020年9月19日、土曜日)
- 残り20分に(一点を追う!)セレッソが魅せた強圧サッカーに対しても、アントラーズの安定性は揺るがなかった・・またサッカー内容でも、アントラーズの順当勝利とするのがフェアだと思う・・(セレッソvs アントラーズ、1-2)
- レビュー
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- 両チームの、レベルを超えた「執念」が激突した、極限の勝負マッチだった。
堪能した。
とにかく、両チームともに・・
最終勝負の仕掛けプロセスでは、簡単にボールを失わない。
また守備でも、簡単には「行かせ」ないし、フリーにさせない。
そこでの両チームは、ギリギリの攻防のなかで、まさに「執念の為せるワザ」ってな、極限レベルの局面デュエルをブチかましつづけたんだ。
決して、最後までボールを諦めない。
攻撃側は、ものすごい集中力とパワーでボールを死守し、ウラの決定的スペースを(もちろんシュートを!!)狙いつづける。
また守備側も、「執念」のマーキングやカバーリング、協力プレスだけじゃなく、最後の瞬間には、例によっての「最後の半歩ディフェンス」をブチかますんだ。
その集中力と精神力(意志のパワー)は、尋常ではなかった。
堪能した。
たぶん両チームともに、ある意味の「ゾーン」に入り込んでいたに違いない。
だからこそ彼らは、かけがえのない貴重な体感を積んだはずだ。
観ている方々も、そこで繰り広げられた、両チームのテンション(緊張エネルギー)がぶつかり合う、ギリギリの勝負に酔いしれたはず。
そこには、日本サッカーにとって(ステークホルダーだけじゃなく、日本の社会文化バックボーンにとっても!?)、とても貴重な「価値」が内包されていたと思う。
チト、大袈裟!?
いやいや・・
私は、この、最高テンション&ダイナミズムが激突した勝負マッチには、スポーツを超越したコノテーション(言外に含蓄される意味)が内包されていたって感じているのさ。
あっと・・
ゲームの全体的な印象だけれど・・
前述した、激烈な勝負マッチの雰囲気は、ゲーム残りの20分くらいでしたかね。
そこでは、前述したように、リードされたセレッソが、ガンガンと押し込んでいく・・ってな展開がつづいていたんだよ。
でもアントラーズは・・
そんな、押し込まれる展開のなかでも、ボールを奪い返しては、参加してくる人数を確認しながら、とても冷静にスペースへボールを展開していくんだ。
一度などは、完璧なカウンター状況も創りだした。
それは、流れに乗るアントラーズの三人に対して、セレッソは、GKのキム・ジンヒョン一人だけ・・ってな決定的状況だった。
でも最後は、ドリブラーの最後のタッチが大き過ぎて、キム・ジンヒョンに抑えられちゃったけれど・・さ。
ゲーム残り20分は、そんな最高レベル・テンションの勝負マッチに「成長」していったけれど、ゲーム全体のサッカー内容としては、アントラーズに一日の長があったって評価するのがフェアだろうね。
特に・・
そう、アントラーズが魅せた、ボールを失った次の瞬間に「爆発」するダイナミックなチェイス&チェックやカバーリングが秀逸だった。
もちろん、前からプレス守備ってな言い方ができるかもしれないけれど、とにかく、そこでの攻守の「切り替え」が素早く、そして効果的だったんだ。
そして、まさに爆発的とも呼べる勢いのチェイス&チェックをブチかましていく。
まあ・・
ドルトムントからリヴァプールへ移籍し、そこでも大きな成功を収めている、言わずもがなのユルゲン・クロップが命名した(!?)サッカーのやり方に、似ている!?
そう、ゲーゲンプレス(Gegen Pressen)。
現象面については、ネットで検索してくださいネ。
とにかく、「それ」が、うまく「はまった」ときは、ボールを失うコト自体が(その直前の仕掛けプロセス自体が!)次の大きなチャンスにつながるって感じられたモノさ。
もちろん「それ」をうまく機能させるためには、一人でも「寝ていたら」ダメだよね。
だからこその、レベルを超えた緊張感。
アントラーズは、ゲームの立ち上がりから、そんな、異様なほどのテンションを振りまいていたんだ。
そして、そのノリで(!?)試合のイニシアチブを牛耳ってしまう。
もちろんセレッソも、たまには危険な仕掛けを魅せたけれど、それは、前述の「ゲーム残り20分」のソレとは、明らかに次元を異にするモノだった。
あっと・・
そのセレッソが、前半36分にブチ込んだ同点ゴールのシーン。
それは、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、美しく、本当に美しく機能した、夢のような同点ゴールだった。
とはいっても・・
ゲーム全体を俯瞰すれば、やっぱり、アントラーズの順当勝利とするのがフェアだと思っている筆者なのであ〜る。
それにしても、アントラーズ監督のザーゴは、この短い期間で、よくチームを立て直したと思う。
彼の監督歴をひも解いて驚いた。2009年から約10年間で、15のクラブを渡りあるいたそうな。
現役当時の彼は、誰からも高く評価される、インテリジェンスあふれるディフェンダーとして勇名をを馳せたよね。
わたしも、ACローマ時代の彼を現地で観たことがある。
とてもアタマの良いプレイヤーだっていう印象が残っているよ。
とにかく、名門クラブが、実効あるカタチで復活してきたことは、嬉しい限りじゃないか。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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