湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第1節(2020年2月22日、土曜日)
- サガン鳥栖が魅せた「抜群な粘性」の闘うサッカー・・そしてフロンターレの美しい質実剛健サッカー・・(フロンターレvsサガン鳥栖、0-0)
- レビュー
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- いや、ホント、興味深いコノテーション(言外に含蓄される意味)が満載だった。
・・まず、実力の差というテーマから入ろう・・
・・それは、観ていれば、一目瞭然だったでしょ・・
・・基本的には、個のチカラ(才能)の差と、フロンターレだからこその、攻守にわたる組織プレーの差が、そのコアということだろうね・・
・・鳥栖の選手たちは、その「差」を、立ち上がりの10分間に、「凝縮されたカタチ」で体感させられたっちゅうわけだ・・
・・そんな苦境での、鳥栖選手たちの「心の動き」だけれど・・
・・それが、とても素晴らしかったんだ・・
・・彼らは、その「差の体感」でビビること等、まったくなかったんだよ・・
・・逆に、奮い立った・・
・・「よしっ!・・たしかにフロンターレとは明確なチカラの差がある・・だからこそ、今のオレたちに出来るコトを、最高のカタチで表現しよう・・」・・
・・鳥栖監督の金明輝(キム・ミョンヒ)さんも、同じようなニュアンスの内容をコメントしていたっけネ・・
・・そして鳥栖プレイヤーたちは、チーム全体としても、局面デュエルの内実でも素晴らしい闘いを披露したんだ・・
・・そう、攻守ハードワークとリスクチャレンジへの強烈な意志あふれる立派なサッカー・・
・・監督の、金明輝(キム・ミョンヒ)さんの、心理マネージャーとしてのウデが、明確に見えてくるじゃないか・・
・・彼は、この試合に臨むにあたって、「決して、引くつもりはなかった・・」と、会見で語っていたんだよ・・
・・その語り口とコメント内容に、彼のインテリジェンスと健全なパーソナリティを、ビンビン感じ取っていた筆者だった・・
・・そんな、「強烈な意志ベースの粘り」をブチかましつづける鳥栖に対して・・
・・逆に、フロンターレは、最初の10分でのゲーム内容から、彼らのマインドが、少しずつ「イージー」な方向へ引っ張られるようになっていったと感じた・・
・・そう・・
・・この相手だったら、いつでも点を取れるさ・・
・・そんな、イージーな心理が、攻守にわたる、ボールがないところでの動きの量と質を、微妙に「減退」させていったと感じたんだよ・・
・・そして逆に、鳥栖選手たちは、そんな「微妙な変化」を感じ取り、より奮い立った・・
・・そして、虚を突いた攻め上がりの勢いも明確にアップしていったんだ・・
・・そう、彼らの攻めに、より多くの人数がかかわるようになっていったんだよ・・
・・もちろん、その流れ(勢い)に乗って「チャンスの流れを演出」だけじゃなく、実際の「ゴール機会」も、何度も創り出すんだ・・
・・とにかく、そんなゲーム展開のなかで特筆だったのは・・
・・鳥栖プレイヤーたちの攻撃でのプレーが、まったく、ビビッていなかったこと・・
・・局面でのボールコントロールにしても、局面デュエルの内実にしても・・
・・彼らは、伸び伸びと、持てるチカラを十二分に発揮しつづけたんだ・・
・・でも・・
・・そう、たしかに「勝負」という視点では、流れを掴みつつあった鳥栖だったけれど・・
・・結局はフロンターレが、ゲーム残り10分ってなタイミングから、何かからフッ切れたように、彼ら本来の強力サッカーをブチかまし始めたんだ・・
・・そう、攻撃的なボール奪取から、人とボールが素晴らしいリズムで動きつづける、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが光り輝きはじめたんだ・・
・・それは、前半立ち上がり10分まで魅せつけた、素晴らしいフロンターレサッカーだった・・
・・それに対する鳥栖ディフェンス・・
・・それまで、立派な「粘りディフェンス」で、まったくといっていいほど、スペースを攻略させなかった彼らが、少しずつ「後手に回り」はじめたんだ・・
・・後手に回った!?・・
・・そう、フロンターレが、自分たち主体で、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを機能させることで、何度も、スペースを攻略され始めたんだ・・
・・もちろん、その絶対ベースは、ボールがないところでのサポートの動きが活性化したことだよね・・
・・そして、スペースを突いていけるからこそ、交替出場した、三笘薫とか旗手怜央といった、活きの良い若手ドリブラーも、フッ切れたチャレンジを仕掛けられた・・
・・また、天性のストライカー感性を有する、小林悠も、交替出場した次の瞬間から、その才能を爆発させるんだ・・
・・その、光り輝く存在感には、別格の「本格感」があった・・
・・「いるべきトコロ」にいる小林悠は、ミドル弾をブチかましたり、決定的なヘディングシュートを見舞ったり・・
・・「彼は、今日のような途中出場でも、先発でも、常に最高パフォーマンスを期待できる、チームのコアです」・・
・・監督会見で、鬼木達さんが、小林悠に関する私の質問に、例によって真摯に、そんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけ・・
・・ということで・・
・・この試合では、フロンターレの「中だるみ」と、気合いが再び入ってからの「抜群ダイナミズムの美しい仕掛け」とのギャップ・・
・・サガン鳥栖が魅せた、抜群の「粘性サッカー」の本質的なバックボーン・・
・・サッカーは、ホンモノの「相対性ボールゲーム」であり、「心理ゲーム」であるという普遍的なコンセプト・・
・・そして、フロンターレのサッカーが、相変わらず「美しい」ことを再認識できたこと・・
・・そんな、興味深いコノテーション(言外に含蓄される意味)に舌鼓を打っていた筆者なのであ〜る・・
・・へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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