湯浅健二の「J」ワンポイント


2020年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第2節(2020年7月4日、土曜日)

 

戦術サッカーvs解放サッカー!?・・(レッズvsマリノス、0-0)

 

レビュー
 
いや、ホント、レッズは、最後の最後まで集中力を切らさず、本当に頑張った。まさに、粘りの勝ち点1だった。

それにしても・・

たしかに、マリノスは、強い。

だからレッズは、「仕掛け合ったら、かなわない・・」ってな、受け身マインドのゲーム戦術でピッチに立ったんだろうか!?

それだったら、「あんなゲーム展開」になるのも、当然の成りゆきっちゅうことだね。

そう、レッズは、粘りのディフェンスから、カウンター気味の「蜂の一刺し」をブチかますってなゲーム展開イメージでピッチに立ったということなんだろうね。

もちろん、ロング一発や、素早いタテへの突進カウンターから創り出したチャンスの量と質は、レッズのチームクオリティーの証明ではあるよね。

それでも・・

そう、いつも書いているように、レッズが秘める、選手個々のポテンシャルの「単純総計」という視点では、やはりサッカー内容には、不満が残る。

彼らならば、「もっとできる」はずなんだよ。

わたしは、よく、こんな表現を使います。

・・サッカーは、究極の意志のボールゲーム・・

もちろん、それぞれのチームには、チーム戦術やゲーム戦術があるでしょ。

そしてわたしは、そこで使われている(戦術的な)表現については、詳しく知っているわけじゃない。

それでも、瞬間的なプレー内容を見れば、選手たちの、基本的な「マインド」は分かる。

わたしは、チーム戦術やゲーム戦術のことを、「攻守イメージング」と呼ぶんだ。

そう・・

攻守にわたって、瞬間、瞬間に、選手たちがアタマに描いているはずの、「次のプレー」に対する具体的イメージ。

その「イメージング」の絶対ベースが、監督がプレイヤーたちに植え付ける、「チーム&ゲーム戦術」というわけだ。

その戦術イメージだけれど・・

わたしは、レッズの場合、その戦術イメージ(戦術的な約束事!?)の範疇が、広すぎる(細かすぎる・・イメージを制限しすぎる!?)かもしれない・・と、感じているんだよ。

まあ、わたしは、こんな表現も、よく使っているわけだけれど・・

そう、戦術サッカー。

それとは、まったく違った方向性にあるのが、この試合でもマリノスがブチかましつづけた、「解放サッカー」だよね。

選手たちは、イレギュラーするボールを、身体のなかで比較的「鈍い」足をつかって扱わなきゃいけない。

そりゃ、瞬間的に、状況が変わってしまう(自分が予測したモノとはまったく違う状況に陥ってしまう!!)のも、道理だよね。

だからこそ選手たちは、様々な意味を内包する「自由な発想で、積極的にプレー」しなきゃいけないっちゅうわけさ。

その方向性がなければ、決して、サッカーが(選手たちのイメージングと実際のプレーコンテンツが!)、進化&深化することはない。

要は、選手たちを・・

基本的なチーム&ゲーム戦術の「イメージング内容」を絶対ベースに、いかに積極的、主体的に、(攻守にわたる!)リスキープレーにチャレンジさせられるのか・・っちゅう、コーチの永遠のテーマのことさ。

そう・・

コーチの究極の目標は・・

選手たちが、後ろ髪ひかれることなく(要は、責任感あふれる主体性をもって!!)、攻守にわたるリスクチャレンジにも、積極的にトライしていくように、心理マネージメントすることなんだよ。

そこには、喜びや希望があふれている。だからこそ選手たちも、大いに発展できる!?

あっと・・チト、難しいテーマに深入りし過ぎてしまった。

スミマセン・・

ということでゲームに戻るけれど・・

たしかに、レッズにも、何度か、決定的チャンスの「流れ」を創り出すシーンはあった。

それでも、選手たちが、「組織」として、解放されたマインドで、仕掛けていけていたか・・と問われたら・・

さて〜〜・・

フムフム・・

あっと・・もちろん、基本的には「受け身」のディフェンスでは、チーム全体の機能性をアップさせるために、決まり事をキッチリこなすことが大前提ではあるさ。

とはいっても、「そこ」でも、最後は、組織的な戦術イメージに基づいた、「個」による局面デュエルの内実を、しっかりとアップさせなきゃいけないんだよ。

そう、この試合でのレッズのようにね。

ということで、ゲーム・・

例によって、「組織と個」が、とてもハイレベルにバランスする「仕掛けプロセス」をブチかましつづけてくれたマリノスには、サッカーを楽しめたという意味で、感謝しますよ。

それに対して、攻守の目的を達成できるチャンスがあるのに、(ボールまわりでも、ボール無しでも!!)フッ切れた仕掛け(リスクチャレンジ)への強い意志を、十分に魅せてくれなかったレッズには、チト、落胆していた。

前述したように、サッカーの内容は、監督による、戦術イメージの移植コンテンツによって、まさに「すべて」が決まってくる。

わたしは、レッズのチーム全体ポテンシャルは、「あんなモノ」じゃないって思っているわけさ。

だからこその、落胆。

まあ、仕方ない。

ところで、アンジェ・ポステコグルーが率いるスーパー・マリノス・・

まあ、まだ本調子ではないにしても、それなりの高質サッカーを魅せつけ、ゲームを凌駕した。

でも・・

そう、昨シーズンの主力をベンチスタートにするなど、温存(!?)したんだ。

いや・・誤解のなきように・・

先発メンバーは、とても、よくやったと思いますよ。

そう・・

「誰が出ても」、あの素晴らしくチャレンジャブルな「トータルサッカーの香り」を嗅げるんだから、そりゃレスペクトしかない・・っちゅうわけさ。

でも・・やはり・・

「何故あのメンバーがベンチスタート!?」ってな疑問は残ったわけさ。

まあ、最後は、チアゴ・マルティンス、エジガル・ジュニオ、マルコス・ジュニオールのブラジルトリオが、「タテのセンター方向」に顔を揃え、攻守にわたって存在感を発揮したわけだけれど・・さ。

アンジェ、どして・・???

へへっ・・

ということで、ゲームとしては、レッズ西川周作のスーパーセービングも含めて、攻守にわたって、とても、とても見応えあるエキサイティングマッチではありました。

この後、フロンターレ対アントラーズも観戦しますが、レポートは、たぶん明日だね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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