湯浅健二の「J」ワンポイント


2020年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第20節(2020年10月3日、土曜日)

 

セレッソが「イメチェン傾向」にある!?・・そして、長い時間をかけて熟成してきた、フロンターレの美しい質実剛健サッカー!・・(セレッソvsフロンターレ、1-3)

 

レビュー
 
へ〜〜ッ!?

このコラム、最初は、「セレッソの戦術サッカー」っちゅうテーマから入ることにします。

というのも・・

彼らが、徹底的な戦術サッカーというイメージから、少し、イメチェン(解放!?)傾向に入ったのかもしれないって感じたから・・。

堅牢なブロック守備はそのままだけれど、次の攻撃でのダイナミズムが、「柔軟に」増幅する傾向にあるってね・・。

要は、攻撃プロセスに多くの選手を投入し、より積極的に「仕掛け」ていこうとする「意志」が感じられたっちゅうこと。

もちろん、ステーション(選手)が多いわけだから、人とボールの動きに勢いが乗るのも道理でしょ。

そして彼らは、ダイレクトパスを織り交ぜた美しい組織コンビネーション「も」魅せた。

とはいっても・・

そう、スペース攻略という視点では、やはり、鈍重というイメージは拭(ぬぐ)えない。

また、ゴール機会という視点では、やはり、カウンター、アーリークロス、そしてセットプレーから・・という印象を大きく改善するまでには至らない。

まあ・・ね・・

人とボールの動きを絶対ベースに、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションや勝負ドリブルを駆使してスペースを攻略するプロセスの「実効レベル」を引き上げていく作業は、そう簡単じゃないんだよ。

フロンターレにしても・・

風間八宏から、偉大なる継続(進化)主義者(!?)鬼木達に至るまで、「良いサッカーで勝てるようになる」までには、とても長い時間が掛かっているんだ。

もちろん彼らは、はじめから、人とボールの動きの内実を絶対テーマに(これについては、コアコラムシリーズで書いた「このコラム」もご参照あれ)、積極的な攻撃サッカーを志向しつづけていた。

そんな視点もあって、セレッソのロティーナが考えるチーム進化プロセスとは、若干ニュアンスが異なると思うのさ。

要は・・

フロンターレの場合、「大きな解放サッカーの流れ」は、はじめから、まったくブレずに進化&深化しつづけたっちゅうことだね。

対するセレッソ・・

彼らは、まず、(連動する)組織守備のイメージングを確立したうえで、オフェンスのイメージング構築に手を付けていく・・ってな発想かもしれないんだ。

まあ、そのロティーナの攻撃イメージにしても、最初の頃は(ヴェルディ時代も含めて!?)、組織としての(人数をかけた)仕掛けプロセスよりも、個の才能を活かした「単発のチャンスメイク・・」ってな印象が強かったよね。

そして、高い選手能力を擁するセレッソへ移ってきても・・!?

言いたかったのは・・

攻撃プロセスのイメージング内容を高めていくプロセスは、そう簡単なコトじゃない・・っていうこと。

そう、優れた攻撃では、選手一人ひとりの「自由度」が高いだけじゃなく、責任感と勇気をもって、自ら、積極的に「バランスを崩していく」ってな覚悟も必要になるわけだ。

だから、セレッソのように、ステディー(安定)サッカー志向のチームに、「自由ではあるけれどリスキーな雰囲気」を浸透させるのは、難しいんだよ。

ちょっと舌っ足らずではあるけれど・・

とにかくチームは、はじめから、攻守にわたる「チャレンジ・マインド」を前面に押し出していかなければ、本当の意味での「進化&深化」を軌道に乗せるコトは、難しいんだ。

でも・・

そう、この試合でセレッソが魅せた「チャレンジ」には(まあ彼らには、ソレしかなかったという見方もできるけれど・・)、とても意味のある、「実の詰まった」コノテーション(言外に含蓄される意味)が内包されていたと思っている筆者なのです。

ということで、フロンターレ・・

例によって、攻守ハードワークとリスクチャレンジあふれる、美しい攻撃サッカーを堪能させてくれた。

特に・・

交替出場した選手たちが、豪華絢爛だった(名前ではなく、実効レベルという視点でネ!)じゃありませんか。

とにかく、大島僚太、三笘薫、旗手怜央の存在感は、抜群だった。

実は・・

この試合では、フロンターレの、実効レベルの高いボール奪取プロセス(高質イメージが連鎖する守備!)について書こうと思っていたんだ。

でも、フロンターレ守備が、セレッソにギリギリまで追い込まれるシーンが少なすぎたから、諦めた。

実際セレッソの攻めで、スペースを攻略したシーンは、数えるほどしかなかったわけだから。

もちろん・・

・・素早く、効果的な攻守のトランジション(切り替え)・・

・・次の瞬間からブチかまされる、チェイス&チェックやカバーリングの爆発的な連鎖(それぞれの守備アクションが、とてもスムーズに連動していた!)・・

・・はたまた、局面デュエルの内実といった「守備エッセンス」は、いつものようにハイレベルだったコトは言うまでもないけれど・・さ。

まあ、このテーマについては、マリノスやFC東京、グランパス、アントラーズといった強豪チームと対戦するときにピックアップしましょうかね。

ということで・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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