湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第22節(2020年10月14日、水曜日)
- 両チームが魅せた、ものすごく(美しく!)エキサイティングでダイナミックな攻守の「せめぎ合い」だった・・だからこそ見えてきた(再認識させられた!)コトがあった・・(ガンバvsマリノス、1-1)
- レビュー
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- ものすごくハイレベルな勝負マッチだった。
堪能した。
互いに、決して「引かず」、攻守にわたって、積極的に仕掛けつづけたんだ。
そう、チカラのある両チームが繰り出す、ものすごくダイナミックな「人とボールの動き」が、派手に交錯しつづけたっちゅうことさ。
そんなだから、ゲームの内実が、互いに仕掛け合う、極限のエキサイティングマッチという「高み」へ高揚していったのも道理だった。
ところで・・
そんな、ダイナミックな「攻守せめぎ合い」だったけれど、そこでのイニシアチブは、かなり揺動しつづけていたんだ。それは、こんな感じ・・
・・前半は、最初の10分、イニシアチブを握ったのはホームのガンバ・・
・・でも、その後の15分は、マリノスがペースを奪い返し、先制ゴールまで奪う・・
・・そして、前半の残り時間帯では、互いの積極サッカーがぶつかり合う、まさに「動的な均衡」ってな展開へとゲームが高揚していった・・
・・後半・・
・・そこで、多くの時間イニシアチブを握ったのは、ホームのガンバだった・・
・・もちろん、そんななかでも、マリノスがペースを握り返して攻め込むというシーンが、何度も観られた・・
・・ゲーム展開(イニシアチブ)の揺動、ここに極まれり!?・・
・・ってな感じ。
そんな、互いにイニシアチブを奪い合う、エキサイティングなゲーム展開を観ながら、こんなコトを考えていた。
この、イニシアチブを握るっていうグラウンド上の現象のバックボーンは・・??
もちろん、そのバックボーンが、「ボール奪取プロセスの内実にあり・・」っていう原則メカニズムは、分かっていますよ。
言うまでもないけれど・・
より積極的にボールを奪いにいった(前からプレス守備をブチかましていった!?)チームの方がイニシアチブを握るケースが多いという、サッカーの原則メカニズムがある。
この試合は、そんな「イニシアチブ揺動メカニズム」を再認識するという意味合いでも、とても貴重な学習機会ではあったと思うわけさ。
それにしても、宮本恒靖が率いるガンバ大阪。
サッカーの内容が、とても進化しているって感じる。
もちろん、その絶対ベースは、攻守ハードワークとリスクチャレンジの優れた内実。
だからこそ、ボールを支配する時間帯を増やられるっちゅうわけだ。
また、それだけじゃなく・・
攻撃での仕掛けプロセスも、かなり進化しているって感じるんだよ。
そう、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションと、個のドリブル勝負が、とてもうまく相乗効果を生んでいるんだ(組織と個が、高質にバランスしている!!)。
そして・・
その仕掛けの積極的な流れ(リスクチャレンジ)を、心理的(イメージ的)に支えているのが、前述した、積極的なボール奪取プロセスっちゅうわけだ。
まあ、そんなコトは、言うまでもないだろうけれど・・
対する、アンジェ率いるマリノス・・
彼らもまた、そんな、高質サッカーを展開したガンバに、勝るとも劣らない、美しい質実剛健サッカーをブチかましたんだ。
そう、全員守備、全員攻撃を志向する「トータル・フットボール」。
とはいっても・・
そう、今日は、その「イメージング」が、うまく「はまらない」ケースも多かったよね。
その要因は、たぶん・・
連動すべきボール奪取プロセス(相互のイメージング!)が、うまくシンクロしていなかったことなんだろうね。
・・「寄せ」の勢いとタイミングが、チームメイト同士で、うまく一致しない・・
・・だから、ボール奪取プロセスを、うまく連動させられず、ガンバの(攻守にわたる!)前への仕掛けダイナミズムを十分に抑制できなかった・・
やっぱり、「あの優れた」マリノスの攻撃サッカーにしても、その絶対ベースは、優れたボール奪取プロセスにあり・・ってことさ。
とにかく、この試合では・・
またまた、守備(ボール奪取プロセス)の重要性を、身に染みて、体感させられた筆者だったのであ〜る。
へへっ・・
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あっと・・最後に、告知を・・
今週末の日曜日(10月18日)、22時30分から、BSテレ東(BS171)で放送される、「Challenge Spirits 〜 スポーツの未来を考える〜」っちゅう番組に出演します。
テーマは、「スポーツとメディア・・」。
さて、どうなることやら・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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