湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第27節(2020年11月14日、土曜日)
- 進化ベクトルに乗っていたレッズ・・でもこのゲームでは、心理的な悪魔のサイクルにとっ捕まってしまった・・それに対して、メンバーをクルクル変えても、サッカーの量と質がダウンしないマリノス・・アンジェに、心からの拍手を!!・・(マリノスvsレッズ、6-2)
- レビュー
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- フム〜〜・・
こんなに点差が開くとは・・ビックリ・・
何せ・・
「調子をアップさせているレッズ・・」ってなイメージが定着していた筆者だったから・・
まあ、とにかく、冷静にサッカー内容を比較しましょう。
まず、何といっても、両チームのボール奪取プロセス(守備)の内実から。
そのポイントで、マリノスに、明確な一日以上の長があったんだよ。
そのバックボーンだけれど・・
マリノスがブチかましつづけた、選手たちのイメージが連動する守備アクションが、とても優れていたっちゅう要素は、言うまでもないよね。
でも・・
私は、それ以上に、両チームの「人とボールの動き」に注目したんだ。
そう、ボールを失うプロセスでのコノテーション(言外に含蓄される意味)という視点でね。
要は・・
両チームの「ボールの動き・・」に、かなりの「質の差」を感じていたっちゅうわけさ。
レッズの「それ」は、たしかに、狭く、遅く、単純に過ぎる。
だからマリノス守備が、とても効率的、正確に、次のボール奪取プロセスをイメージできていたって感じられたのさ。
このところのレッズ攻撃・・
そこでは、積極的な押し上げ(数的優位なカタチの演出!)という視点で、選手たちの自信と確信レベルがアップしているって感じていたんだ。
でも、この試合では、そのイメージが完全に崩れてしまった。
まあ、たしかに・・
あんな短時間に、「ポンポンポン」ってゴールをブチ込まれたことで、選手たちの意識と意志が大幅にダウンしちゃったという側面もあるでしょ。
だから、心理的なセルフモティベーション機能(己を奮い立たせられる心の強さ!?)だって、十分に働かなくなってしまうのも道理だよね。
そして、人とボールの動きが活性化していかないことで、ボール・ロストというネガティブ現象がつづき、チームのマインドが、もっとダウンしてしまう。
まさに、(擬似の!?)心理的な悪魔のサイクルにとっ捕まったレッズ!?
フ〜〜ッ・・
不確実なファクターがテンコ盛りで、最後は、勇気と責任感をもって自由にプレーせざるを得ないサッカー・・
だから、心理的な「ネガティブ雪崩現象」とも、立ち向かわなければならない状況だって日常茶飯事なんだ。
そんなゲーム展開を観ながら・・
私自身も、またドイツの友人たちも繰り返し体感しつづけた、現場での「鳥肌が立つような無力感」が思いだされたモノさ。
とにかく、あの時点で、攻守ハードワークとリスクチャレンジの絶対ベースである「チームのモラル」を再生させるのは、並大抵のパワーじゃ、追い付かないよな。
そうレッズは、レベルを超えた「刺激」を必要としていたんだよ。
この、テーマについては、The Core Columnで発表した「このコラム」をご参照あれ。
とにかくレッズは・・
意識と意志ポテンシャルが、低迷したままで、アップする気配さえ感じられないという体たらくだったんだよ。
そう、ダイレクトパスを織り交ぜた優れた組織コンビネーションの絶対ベースである、攻守ハードワークとリスクチャレンジの「勢い」だって地に落ちたままだったのさ。
そんなだったから・・
人とボールの動きが、加速していく兆しさえ感じられないなかで、(相手ディフェンスの!)誰もが、簡単に予測できるほど鈍重な仕掛けプロセスを繰り返すのも道理だった。
まあ、ということで・・
結局レッズは、これほど大差の苦汁を舐めさせられたっちゅうわけだ。
でも、まあ、サッカーだから、こんなコトもあるさ。
とにかくレッズは・・
「あんな失点」を連続してブチかまされたことで、「チームのモラル」が地に落ちてしまったけれど、それでも、やっぱり、いまの彼らが、全体的に(!)上昇機運に乗りつつある・・って期待している筆者なのだよ。
いまのレッズは・・
システムとか、チーム&ゲーム戦術とかいう「カタチ」から入るのではなく(ソレに変にこだわりつづけるのではなく!!)・・
あくまでも、選手の健全な攻守アイデア(前向きなイメージング!!)への、深く、広く、強い意識と意志をスタートラインに、より積極的、攻撃的なサッカーへと脱皮しているって期待しているのさ。
あっと、アンジェ・マリノス・・
素晴らしかったね・・
たくさんの選手を入れ替えても、やろうとするサッカーが、まったくプレないし、実際に、そのサッカーを体現しちゃう。
選手たちは、確固たる、主体的で積極的なチャレンジマインドをもってゲームに臨んでいるからこそ、心底、楽しめているって感じるよね。
いいね〜〜、ハッピーグループ・・
この試合では、スーパーなパフォーマンスを披露したオナイウ阿道が、そんなポジティブマインドの象徴として機能していたよね。
実は、わたし・・
これまで、彼については、ネガティブな印象しか、もっていなかったんだ。
だからこの試合は、まさに、強烈なイメチェン機会になった。
そのプレー姿勢には、究極の「主体性マインド」があふれていたんだよ。
そう、勇気と責任感にあふれる、積極的なチャレンジ精神。
そんなポジティブマインドは、これまでの彼から感じたコトがなかった。
もちろん、才能というポテンシャルの高さは感じていたよ。
でも・・
そう、ボールまわりの「粘り」のなさ、局面デュエルでの淡泊さなど、攻守ハードワークとリスクチャレンジへのプレー姿勢について、「疑問符」のオンパレードだったんだよ。
それが・・
まあ、その意味でも、アンジェの「心理&戦術マネージャー」としてのウデに、心からの拍手をおくりましょう。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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