湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第3節(2020年7月8日、水曜日)
- まさに、これぞサッカー!!・・(マリノスvsベルマーレ、3-2)・・
- レビュー
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- 素晴らしいエキサイティングマッチ。堪能した。
不確実な要素が満載だからこそ、攻守にわたって、常に変化しつづけるサッカー。
そして・・
だからこそ、常に、そう常に、瞬間的な判断と決断を「絶対ベース」に、攻守ハードワークとリスクチャレンジに、全力を傾注しなきゃいけない。
そう、勇気の発露・・
ドイツが誇る、マルチの思想家、ヨッハン・フォン・ゲーテが言う。
・・名声や金を失ったって、やりなおしゃいい・・でも、勇気を失ったら、生まれてきた意味(価値!?)がない・・
いま、わたしが深掘りしているテーマは、「いかに選手たちを、主体的に、そして積極的に、リスクへチャレンジさせられるのか・・」。
わたし、この頃、よく批判的に使っているでしょ、「カタチから入る戦術サッカー」。
要は・・
攻守の目的(守はボール奪取、攻はシュート!!)を達成するために、もっとも重要なファクターは、あくまでも、選手たちの「意志と勇気」なんだよ。
それを、「カタチ」にはめ込み過ぎちゃうから、「人とボールの動きが乏しい」、魅力のない戦術サッカーってコトになっちゃう。
もっと言えば・・
優れたサッカー攻撃は、積極的に「バランス」を崩していくモノ・・という発想もある。
そう、チャンスがあったら、「監督さんの戦術プランなど知ったコトか!!」ってな、『積極的&攻撃的マインド』で、勇気をもって、リスクにチャレンジしていく「べき」なんだ。
そんな「積極マインド」は、攻守にわたる「全力スプリントの量と質」に、如実に現れてくる。
あっと・・
攻撃で、積極的にバランスを崩していく攻撃的な仕掛けマインドというテーマだった。
そんな、(監督さんによる、攻守にわたる基本的な戦術イメージングを基盤に!!)自分たち主体の、積極的にバランスを崩していくリスクチャレンジ。
そんな積極プレー姿勢の仕掛けだからこそ・・
次のディフェンスで、自分たちがイメージする「組織バランス」を、なるべく素早く取り戻すというトコロまで、積極的に「やり通さなきゃ」いけないという大前提もある。
そして、「それ」こそが、「ホンモノのバランス感覚」っちゅうわけなんだ。
ということで・・
この試合での両チーム選手たちには、そんな「覚悟」が、迸(ほとばし)る、魅力的なエキサイティングマッチを展開してくれた。
彼らは、まさに、「不確実な要素が満載だからこそ、最後は、勇気をもって自由にプレー(リスクチャレンジ)していかざるを得ない・・」という、サッカーの根源コンセプトを体現していたんだよ。
特に、ベルマーレ・・
私は、同業者として、プロコーチ浮嶋敏に対し、心からの拍手をおくります。
いや、ホント、素晴らしい。
ベルマーレ選手たちは(もちろんマリノス選手たちも!!)、究極の「自分たち主体の極限ファイト」を、最後の最後まで魅せてくれたんだ。
そりゃ、マリノスの方が、総合力じゃ(まだ!?)上だよね。
それは、ボール支配率(ゲームのイニシアチブ)やパス数などに、如実に現れている。
でも・・
そう、ゲームを支配されながらも、ベルマーレ選手たちは、まったくメゲることなく、最後の最後まで、最高の「覚悟」で、攻守ハードワークとリスクチャレンジをブチかましつづけ、見ている全ての人々の「心」を掴んだんだ。
そんな「感動サッカー」の絶対ベースは、もちろん、前からプレス守備。
もちろん、「前から」の位置は、少し、下がり気味ではあったけれど・・さ。
とにかく彼らは、最高の集中力と勇気で、マリノスが魅せつづけるトータルフットボールに、ものすごく効果的に「食らいつき」つづけたんだ。
そりゃ、ベルマーレ選手たちだって、マリノスの方が、攻守での局面プレーコンテンツで、「少し上」だって、感じていたはずだよ。
それでも彼らは、決してビビる(受け身になる!?)ことなく、積極的に、攻守ハードワークとリスクチャレンジをブチかましつづけた。
そして、勝負の流れでも、「あの強い」マリノスを、ギリギリのトコロまで追い詰めた。
いや、ホント、素晴らしかったし、感動モノだった。
そんなベルマーレに対して、この試合でのマリノス。
まあ、この試合では、アンジェ・ポステコグルーの采配(選手交代)の妙に対して、これまた、心からの拍手をおくらなきゃいけない。
素晴らしいチーム戦術も含めて、アンジェの仕事ぶりについては、もう数え切れないくらい賞賛したよね。
そう、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションと、ココゾッ!!の「個の勝負」が、素晴らしいバランスを魅せるクリエイティブな仕掛け・・等など。
もちろん、それを支えているのは、これまた素晴らしい、選手たちの「主体性」だよね。
そんな、トータルフットボールを支える、選手たちの「勇気あふれる自由な闘う意志」を、最高レベルにまで引き上げた、アンジェ・ポステコグルーの、心理マネージャーとしての「ストロングハンド」は、特筆だ。
だからこそ、選手たちの「主体的な意識と意志」を極限レベルまで高めている、アンジェの、「解放」心理マネージメントも、わたしにとって、とても意義のある「学習機会」っちゅうわけさ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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