湯浅健二の「J」ワンポイント


2020年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第30節(2020年11月28日、土曜日)

 

優れたサッカーを展開する両チームによる(チーム戦術の方向性は異なるけれど!?)、高質でエキサイティングなゲームだった・・堪能した・・(サンフレッチェvsコンサドーレ、2-2)

 

レビュー
 
ゲッ・・

なんだ、この(神様による!?)ドラマチックな見せ場は・・

後半ロスタイムが終了する(タイムアップ!)直前に、コンサドーレに与えられた直接フリーキックというゴール機会。

ゴール真正面で、ペナルティエリア直前のセンターゾーンだから、コンサドーレにとっては、まさに、火を見るより明らかな「ゴール機会」だった。

その根拠は、もちろん、左足の魔術師、福森晃斗。

そう、前々節(28節)のエスパルス戦につづき・・

この試合でも、フリーキックからの芸術的な先制ゴールを直接ブチ込んだだけじゃなく・・

後半8分に宮澤裕樹がヘッドでブチ込んだ、CKからの追加ゴールシーンでも、素晴らしい軌道のコーナーキック(直接アシスト)を魅せたんだよ。

特に・・

そう、先制ゴールのフリーキックシーンは、まさに秀逸の極みだった。

完璧にリラックスしたキック(力を抜いたコントロールキック!)。

美しい放物線を描き、ゴール右上角に、まさに吸い込まれるように決まった。

そんな、とんでもなく印象的な先制ゴールを奪った福森晃斗だからね・・

そりゃ、ゲーム最後の時間帯に与えられたフリーキックに対する期待が、これ以上ないほど高まるのも道理ってなドラマチックシーンだったんだ。

まあ、結局は(今度は!)チカラが入り過ぎちゃったわけだけれど(かなり大きくバーを越えてしまった!)・・

でも、この試合での、「戦術的&勝負の行方的な」エキサイティングコンテンツを考えれば、そのシーンには、まさに「神様スクリプトの香り」が、強烈に漂っていたのさ。

ところで、その、エキサイティングコンテンツ(見所)・・

そのことについては、試合前のダゾンインタビューで、サンフレッチェの城福浩監督が語っていたように・・

(ボールを失った直後からブチかまされる!)最前線からの、攻撃的なボール奪取プロセスをイメージするコンサドーレに対して・・

その、「前へ重心が掛かりつづける攻撃的イメージ」の逆を、いかに突いていくのか・・

そう、コンサドーレのサッカーでは、後方に大きなスペースが出来てしまう(ディフェンダーの人数&ポジショニングがアンバランスになる!?)傾向が強いんだ。

その「後方スペース」を突いていくイメージだけれど・・

・・まず、何といっても、コンサドーレ攻撃からボールを奪い返した次の瞬間に、最前線へタテパスを供給するのが肝心だよね・・

・・もちろん、コンサドーレの(素早く効果的な攻守の切り替えベースの!)前からプレス守備がキツイから、守備ブロック内でのバックパスを効果的に使うことで、ある程度フリーな最終ラインから、ロングパスを供給するってなイメージもあり・・

・・そして、サンフレッチェ同点ゴール場面のように、チャンスを見計らった「前からプレス」でボールを奪い返してからの素早いタテへの仕掛け・・

・・などなど、色々とアイデアは浮かぶ。

また逆に、コンサドーレ選手たちのイメージは・・

・・前述したような、素早く効果的な攻守の切り替えベースの(!)前からプレス守備を忠実にブチかましつづける・・

・・そのことで、簡単に、タテパスを供給させない・・

・・また、その、前からプレス守備を外された(ハガされた)ときは、もう、脇目も振らずに、超速で戻る、戻る・・

・・等など・・

でも私は、ここで・・

指揮官(プロコーチ)にとって、とても大事な「マネージメント姿勢」というテーマに入っていくわけさ。

要は・・

選手たちに、「安全策」を、チーム&ゲーム戦術として(!)イメージさせるのか、逆に、もっと過激に、攻撃性を前面に押し出させるのか・・っちゅうディスカッション。

まあ、わたしの意見(哲学)は、読者のみなさんが、既に予見しているとおりです。

そう、わたしも、ミハイロ同様、「もっと過激に・・」ってな姿勢こそが、進化&深化にとって、とても重要なファクターだって確信しているのサ。

ミハイロの師匠は、イビツァ・オシムでしょ。

そのテーマでの、イビツァの「戦術&心理マネージメント」は、もう、スーパーだった。

だからこそ、日本だけじゃなく、世界中の「現場」から、敬意をもってレスペクトされているんだよ。

そう、リスクチャレンジのないところに、決して、進化&深化もないっちゅうわけさ。

もちろん、選手たちの「やり甲斐&セルフモティベーション」という視点も含めてネ。

ところで・・

この試合での、コンサドーレの危機(相手のカウンター!)対応だけれど・・

とても、良かったと思いますよ。

たしかに、疲れから、集中力を切らせたり、戻り切れなかったりで、ピンチに陥りかけるシーンはあった。

でも、だからといって、自分たちの「基本コンセプト」から外れるような変更(巷じゃ、戦術的な実効調整なんて語るような輩もいるんだよ!)は、あり得ない。

そんなコトをしたら、すぐにでも、チームが崩壊しちゃう。

そして・・

ここからが、本題なんだ。

結果を、うまく引き寄せにくい(!?)、リスキーな(積極的&攻撃的な)チーム&ゲーム戦術だけれど・・

選手たちの「自己主張」が高揚してくれば、確実に、良くなっていくんだよ。

要は、攻守ハードワークとリスクチャレンジを、主体的に、全力で「探しまくるプレー姿勢」のことだよね。

そう、イビツァ・オシムが率いたジェフ市原(千葉になる前・・スミマセンね)のようにね。

だからプロコーチは、そんなリスクチャレンジを、選手たちがポジティブに捉え、自分たちの「ライフミッション」だと感じられるように、心理的にマネージするんだ。

もちろん、クラブ首脳やファンも含めた「ステーキホルダー」からの全面バックアップを取り付けるための、最大限の努力も、含めてネ。

ということで・・

コンサドーレ現場のコーチングスタッフの皆さん、また、野々村芳和社長、皆さんも、そんな「志が高いサッカー」は、好きでしょ。

今後とも、ミハイロに対する全面バックアップ、お願いします・・ね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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