湯浅健二の「J」ワンポイント


2020年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第32節(2020年12月12日、土曜日)

 

わたしは「優れたウデの両監督のぶつかり合い」ってな視点で観ていました・・(グランパスvs横浜FC、0-0)

 

レビュー
 
観はじめて、すぐに、どうしようかと、迷ってしまった。

そう、後方ゲーム組み立て段階での、ダゾンのカメラワーク(ズーミング)が、「寄り過ぎ」なんだ。

だから、その段階で繰り広げられている、前線ゾーンでの攻守両面にわたる(両チーム選手たちによる!)、意識と意志とイメージングの「せめぎ合い」を体感できない。

また、仕掛け段階にはいってからも、このカメラマン氏は(ディレクター氏も!?)、「寄り過ぎの傾向」が強いよね。

「勝負は、ボールがないところで決まる・・」にも、かかわらず。

とにかく、こんなカメラワークじゃ、自分自身の学習機会にだって、なりゃしない。

ホント、この「中途半端なディスプレイ・フレームワーク」には閉口させられていたんだ。

もちろん、ボールから離れたゾーンへ、直接的にロング(ミドル)パスが送られるシーンは、そんなに多くはない。

でも・・

そう、ボールから離れたゾーンでの、攻守の意識と意志とイメージングのせめぎ合いには、とても興味深いエッセンスが詰め込まれているんだ。

実際に、ボールが送られるかどうかは、別にしてね・・

もちろん・・

ロングとかミドルパスが「出そう」になったら、カメラも「引く」けれど・・

でも、攻守の「イメージのせめぎ合い」が終わってからじゃ、カメラを「引いた」って、見所なんて、残ってないよ。

そんな、不満タラタラだったけれど・・

でも、このゲームは、とても良い仕事を積み重ねている両監督、マッシモ(フィッカデンティ)と下平隆宏のぶつかり合いだから、どうしても見届けたい。

ということで、我慢して、観つづけることにした次第(まあ、そうするしかなかった!)。

フ〜〜ッ!!

ところで、その勝負マッチの、両チームにとっての意味合いだけれど・・

言うまでもなくマッシモは(グランパスは)、天皇杯や来シーズンACLがあるから、是が非でも勝ち点3を挙げたい。

対する下平隆宏(横浜FC)も、何とかして、ランキングのボトムゾーンから抜け出したい。

横浜FCは、そのサッカー内容からしても(浮嶋敏ベルマーレ同様に!?)もっと勝ち点を積み上げられていても、おかしくないよね。

そうそう・・

そのボトムゾーンには、「あの」素晴らしく高質なサッカーを展開する、キン・ミョンヒ率いるサガン鳥栖もいるわけだから、まあ・・ネ。

あっと・・

そんな両チームの、意地の(!?)ぶつかり合いっていう視点だった。

内容的には、気の抜けるシーンがまったくない、とても緊張感のある勝負マッチだった。

もちろん、堪能した。

ということで、全体的な評価だけれど・・

守備のクオリティーでは、まさに互角。

でも、攻撃コンテンツについては、個の才能レベルで「少しだけ」優るグランパスに、アドバンテージがある!?

それも・・

その「才能オフェンス」連中が、マッシモの戦術コンセプトをしっかりと守り(!?)最前線からの守備にも、しっかりと勤(いそ)しむんだ。

そんな、チーム全体が「連動する」優れたディフェンス(活性化した守備意識!?)があるからこそ、得失点差で、リーグ2位の結果を残せている。

そんなグランパスの攻撃を観ながら、こんなコトを思っていた。

このゲームでのダブルボランチは、稲垣祥と米本拓司。

前線カルテットは、阿部浩之、ガブリエル・シャビエル、マテウスに相馬勇紀。

守備では、もちろん、積極的に参加する彼らのイメージは連動している。

そして攻撃・・

そこでは、前線カルテットに、ダブルボランチの少なくとも一人と、両サイドバックが絡んでいくんだ。

そして、ボールを奪われたら、素早く効果的な攻守の切り替えを「絶対ベース」に、ボール奪取プロセスを、効果的に連動させるっちゅうわけだ。

まあ、マッシモの「確かなウデ」ってなテーマなんだろうね。

とはいっても・・

下平隆宏FC横浜も、攻守に、とても「バランス」の執れたサッカーを展開しているんだよ。

攻撃でも、次の守備でも、人数的にも、ポジショニングバランス的にもネ。

これまた、とてもハイレベルに「安定した」サッカーなんだよ。

守備では、相手にスペースを使わせないし・・

次の攻撃では、多くのシーンで、「組織」でも「個」でも、スペース攻略とシュートという最終勝負プロセスまで「やり切れる」んだ。

優れたプロコーチ、下平隆宏は、来シーズンも、FC横浜で「ウデ」を振るうんでしょ。

今シーズンの彼らの進化&深化の内実を考えれば、来シーズンも、大いに期待できるというコトだね。

何か・・

チト、中途半端なコラムコンテンツになってしまったような・・

まあ、観たいところを、しっかりと視認できなかったコトも、その背景にあるのかな・・!?

あっ・・スミマセン・・

ということで、これから、レッズvs浮嶋ベルマーレの試合を楽しむことにします。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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