湯浅健二の「J」ワンポイント


2020年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第33節(2020年12月16日、水曜日)

 

変則だけれど・・2試合まとめて、ポイントだけを簡単にまとめちゃいます・・(セレッソvs鳥栖、1-2)&(横浜FCvsガンバ、0-2)

 

レビュー
 
さ〜て、勝負の33節。

このゲームで、天皇杯とACLへの出場権で「勝負が掛かっている」のは、ガンバ、グランパス、セレッソ、そしてアントラーズ。

グランパスとアントラーズは、既に33節は消化済みだから、「他力本願」ってな心境でゲームの成りゆきを見つめていたに違いない。

そして・・

皆さんもご存じの結果に落ち着いたというわけだ。

えっ!? どんな結果かって!?

要は・・

天皇杯への出場権が得られるトップツーは、フロンターレとガンバに決まり・・

ACLへの出場権が得られる3位は、最終節に決定するっちゅうわけさ。

その最終節は、とってもエキサイティングだぜ。

そう、グランパスとセレッソ、そしてアントラーズによる「三つどもえ」のぶつかり合い。

いまから、楽しみで仕方ない。

ということで・・

最終節は、アントラーズvsセレッソと、グランパスvsサンフレッチェ戦を、今日のように、ラップトップを二つ並べて観ることにしますよ。

まあ・・ね・・

ホントは、一つのゲームに集中するのが、真摯な観戦の態度なんだろうけれど・・

それでも、両ゲームの全体的な流れは、タイミングよく視線を移すことで(!?)、ある程度は把握できる・・なんて、思い上がっている筆者なのですよ。

ということで・・

今日の二つの勝負マッチだけれど、わたしは、ガンバとセレッソを観るというよりも・・

サッカー内容(そのチャレンジ姿勢)を高く評価している、キン・ミョンヒ鳥栖と、下平隆宏の横浜FCが、強いガンバとセレッソと、どのように闘うのか・・ってな視点だった。

その横浜FCvsガンバだけれど・・

度肝を抜かれたことに・・

前半1分に、ガンバ倉田秋が先制ゴールを、粘り腰でゲットしちゃうんだ。

ということは・・

そこからの時間帯は、宮本恒靖ガンバの、落ち着いたゲーム運びと、下平隆宏の横浜FCがブチかます(はずの!)、攻守ハードワークとリスクチャレンジあふれる、積極的&攻撃的サッカーの対比を楽しむしかないということか・・

・・ってなコトを考えていた。

それでも下平隆宏の横浜FCは、何度も、決定的スペースを攻略するなど、決してガンバを「落ち着かせ」なかった。

さすがに下平隆宏の横浜FC。

キン・ミョンヒ鳥栖と同様に、リスクチャレンジあふれる積極的%&攻撃的サッカーを志向しつづけた両チーム。

だからこそ、さまざまな意味合いを内包する、「セルフ・リカバリング・マインド」も、存分に鍛え上げられた。

要は・・

失敗を積み重ねるなかで、前からプレス守備をベースに積極的に仕掛けていった後の、素早い攻守の切り替えと、柔軟で積極的な守備ハードワークを基盤にしたディフェンスも、しっかりと機能させられるようになっているということ。

そう、彼らは、美しい質実剛健サッカーを目指せるような、優れたチームになりつつある・・っちゅうことさ。

だから私は、彼らの(まあ浮嶋敏ベルマーレも!?)来シーズンに対して、大いなる期待を感じているんだよ。

あっと・・

その、大阪に乗り込んだキン・ミョンヒ鳥栖だけれど・・

横浜FCと同様に、正しい自己主張に充ちた、攻守ハードワークとリスクチャレンジをブチかましていくんだ。

そして(まさに正当な報酬としての!!)フリーキックからの先制ゴール。

さて〜〜・・

そう、ここからの観戦テーマは、セレッソが、「主体的にゴールを奪いにいけるのか・・」というポイントに絞り込まれたわけさ。

もちろん、セレッソのサッカーを、「しっかり守ってカウンター!」なんていう単純な表現で「まとめ」ちゃうのは、(同業者の!)ロティーナに対してアンフェア極まりない。

・・とは、思うのだけれど・・

やっぱりセレッソの場合、人数をかけ、攻撃的に(自分たち主体で!!)仕掛けていくようなサッカーは、あまり得意ではない・・って感じたね。

それでも彼らは、豊川雄太のスーパーミドル弾をブチ込んで、同点に追い付いた。

でもセレッソにとっては、勝ち点1じや、足りないんだよ。

そう、彼らは、どうしても勝ち点3が欲しいんだ。

だから、同点になっても、しっかりと勝ち切ろうと攻め上がろうとする。

でも・・

そう、どうしても、前述したように、人数をかけての、(例えば)ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション等は、うまく機能させられず・・

「一発勝負」のクロスや、スルーパスを送り込むってなイメージに凝り固まっている。

もちろん、そんな勝負のラストパスを供給するのは、清武弘嗣。

基本的にセレッソの仕掛けイメージは、彼を中心に「回っている」んだよね。

もちろん、カウンター「気味」の仕掛けプロセスでは、そんな清武弘嗣の、シンプルなタイミングの仕掛けイメージが活きる。

でも、どうしても勝ちたいチームメイトは、重心が「前へ」掛かっている。

だから、清武弘嗣にとっては、仕掛けプロセスに「参加してくる人数が多すぎた・・」のかもしれないね。

そして、セレッソの仕掛けプロセスが「渋滞」している状況で、キン・ミョンヒ鳥栖が、後半ロスタイムに、素晴らしいカウンター気味の仕掛けをブチかました・・っちゅうわけだ。

素晴らしい勝負強さではありました。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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