湯浅健二の「J」ワンポイント


2020年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第4節(2020年7月11日、土曜日)

 

抜群の「美しい質実剛健サッカー」を魅せるフロンターレ・・すでにフルパワーでサッカーを楽しんでいる!?・・(フロンターレvsレイソル、3-1)

 

レビュー
 
スゴイね〜、鬼木フロンターレ。

前節のFC東京戦も、もちろんフォローしていたけれど、その「あまりの格差」に、チト、レポートを書くインスピレーションが殺がれてしまったんだよ。

でも・・

そう、やっぱり、「美しい質実剛健サッカー」のスーパー内容を高揚させつづけているフロンターレだから、その、私の考えるエッセンスだけは、記録しておこうとキーボードに向かった次第。

まず・・

攻撃での人とボールの動き・・

彼らの仕掛けを観ていて、まず感じるのは、何といっても、素晴らしく高質な、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション。

それがスムーズに機能するからこそ、スペースを突いていける。

それも、相手守備ブロックの背後に広がる決定的スペースを・・ね。

そして、だからこそ、彼らの「個の勝負」も、光り輝くんだ。

そう、「組織」と「個」が、まさに美しく、コラボレートする・・っちゅうわけさ。

その、人とボールを、素早く広く動かしながら仕掛けていく「最終勝負のコンビネーションフロー」だけれど・・

そのプロセスは、もちろん、シンプルな「ワンツー・アクション」の積み重ねがベースだよね。

わたし、このところ・・

ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション」の背景ファクターとしての「ワンツーアクションの積み重ね・・」ってな表現を、よく使っている。

要は・・

タテへ仕掛けていくプロセスでの絶対的KFS(キー・ファクター・フォー・サクセス)は、何といっても、人の動きだということさ。

まあ、人とボールの動きの「リズム」とも表現できるけれど・・

そのリズムが、フロンターレ選手たちのイメージに、深く、ホントに深く浸透しているって感じるんですよ。

だから、「何かが動きはじめ」たら、必ず、3人目、4人目のアクション「も」、自然な流れのなかでスタートしちゃう。

フムフム・・

その、ボールがないところでのサポートの「動きのリズム」を明確に「共有」できていることが、いまのフロンターレの明確な「強み」っちゅうことだね。

何せ・・

そう、守る方は、その動きのリズム(フロンターレのイメージング内容)を把握するのに四苦八苦しちゃうんだ。

だから、マークしながら、一瞬でもボールに視線を投げようモノなら、次の瞬間には、自分がマークしていた相手が「消えて」しまう。

さて・・

次のエッセンスだけれど、それは、ボールコントロールかな・・

要は、ボールを「止める技術」が、抜群に優れているということ(風間八宏からの置き土産!?)。

だからこそ、周りもしっかりと見られる(イメージできる)し、次の仕掛けの流れも、パスレシーバーたちと、明確にシェアできるっちゅうわけだ。

それと・・

ボールの流れを止めるのではなく、ダイレクトでボールを素早く動かすことに対するイメージング共有も素晴らしい(それを、有機的にシェアできているコト!)。

このことは、まさに、トレーニングの賜物っちゅうわけだ。

あっと・・

忘れちゃいけないエッセンスが・・

これまた、アクションがシンクロしつづける守備。

まあ、守備ハードワークの内実・・って表現できますかネ。

もちろん彼らは、基本的には、前からプレス守備を志向する。

でも、このゲームの後半に(部分的に)魅せたブロック守備でも、高いレベルにあることを魅せつけていたよね。

とにかく・・

攻撃から守備への「切り替え」の素早さと、実効レベルが抜群に高い確実性は、まさに群を抜いていると思う。

そして、もっとも有利なポジションにいる選手が、忠実に、「最初」のチェイス&チェックをブチかます。

「それ」があるからこそ、周りのチームメイトたちも、次のカバーリングアクション(次のパスカットや協力プレス)を明確にイメージできる。

もちろん、「それ」もまた、相互信頼の賜物であり、トレーニングの内容の良さを物語っているっちゅうわけさ。

そんなふうに、フロンターレ選手たちは、監督のベーシック戦術コンセプトを頭に入れながら、ためらうことなく、主体的なリスクチャレンジアクションをブチかましつづけるんだ。

そう、選手たちのマインドが解放された、美しい質実剛健サッカー。

ストロングハンドのプロコーチ、鬼木達に対して、心からのレスペクト。

もちろん「まだ」シーズン序盤だから何とも言えないけれど・・

サッカーの内容だけを見ていると、もしかしたら今シーズン「も」、東横線ダービーの展開になっちゃうのかも・・ね。

それにしても、脇坂泰斗。

よくなっている。

以前、鬼木達さんに、「脇坂泰斗は、中村憲剛の後継者としては役不足なのでは・・??」なんて、とても失礼な質問をしたことがあった。

それに対して、鬼木達さん・・

余裕の微笑みを浮かべながら・・

「いや、わたしは、違う意見をもっているんですよ・・彼は、十分にやれる実力(潜在力!?)を備えていると思います・・」なんて、軽くいなされてしまった。

そして、このパフォーマンスアップだからね。

前言撤回〜〜っ!!

・・なんて、もう遅いか・・

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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