湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第1節(2021年2月26日、金曜日)
- 2021_J1_第1節・・前半と後半は、まさに別物ゲームになった・・でも、やっぱり、攻撃の内実では、個の能力に勝るフロンターレに一日の長がある・・(フロンターレvsマリノス、2-0)・・(2021年2月26日、金曜日)
- レビュー
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- フ〜〜〜ッ!!・・
前半を見終わったところで、そんな、深〜いため息がもれた。
理想的な、美しい質実剛健サッカー・・
その視点で、リーグを代表する両雄として並び立つべきフロンターレとマリノスの、「サッカーの質のバランスイメージ」が崩れちゃったって感じたんだよ。
そう、「あの強い」マリノスが、フロンターレに、まったく歯が立たない・・
そんなゲームは、ホント、観たくもなかった。
試合後のズーム監督会見でも、アンジェが、「あんなサッカーは、観たくもなかった・・」なんて吐露していた。
でも・・
そう、後半は、別物のゲーム展開(イニシアチブで真逆の展開!)になったんだよ。
もちろん・・
アンジェ・ポステコグルーの檄と、(前半の無様なサッカーから刺激を受けた!?)前田大然と水沼宏太の登場がゲーム展開を逆流させた!?
またアンジェによる、スリーバックから通常のフォーバックに戻し、攻撃陣を一人増やすという采配も功を奏した!?
ところで、その、一人増えた攻撃陣だけれど・・
この、前田大然と水沼宏太は、まず意の一番に、前からプレス守備(前線からのチェイス&チェックやカバーリング!)からゲーム入っていったんだ。
そのコトが、とても大きな意味をもっていた。
そう、ボール奪取プロセスをブチかますゾーンを、一つ、二つ、上げたっちゅうわけさ。
そして、そんな交替選手たちの(意志の!)ダイナミズムによって・・
前半では、フロンターレの前からプレス守備&イニシアチブ掌握で、心理的な悪魔のサイクルに押し込まれた選手たちの「意識と意志」が、何倍にも膨れ上がったというわけだ。
そう・・
この、前後半ゲーム展開の「急激な変容」こそが、ボール奪取プロセスが「すべてのスタートライン」であることの明確な証左でもあったわけだ。
その、ボール奪取プロセス・・
皆さんもご存じのように、一般的には「守備」と呼ばれるグラウンド上の現象を、わたしは、「ボール奪取プロセス」っていう表現に統一することにしたんだよ。
守備の目的は、相手からボールを奪い返すこと・・
ゴールを守るというグラウンド上の現象は、そんなボール奪取プロセスの、単なる結果にしか過ぎないのさ。
蛇足・・
攻撃の目的はシュートを打つこと、ゴールは、単なる結果にしか過ぎない。
もう一つ・・
トライアングル・・
それって、スペースで、良いカタチでパスを受けようとするパスレシーブアクションの結果、自然と出来上がってくるっちゅうわけさ。
よく・・
「トライアングルを作れ〜〜っ!」
そんなふうに叫んでいるコーチを見掛けるけれど、ホントに彼らは、選手たちに、トライアングルを作るようにプレーさせようとしているのだろうか?
それって、まさに、狂気の沙汰じゃありませんか。
あっ・・蛇足が過ぎた・・
スミマセン・・
とにかく・・
フロンターレとマリノスには、優れたサッカーで、リーグを盛り上げて欲しいんだよ。
だから、ゲームを見終わった時点で、すこし、胸をなで下ろしていたっちゅうわけだ。
ということで、このコラムの主題は、ボール奪取プロセス・・
それこそが、理想的な「美しい質実剛健サッカー」を体現するための絶対ベースだということが言いたかったのであ〜る。
それでも・・
そう、両チームの攻撃(仕掛け)の内実では、やはり、フロンターレに一日の長がある。
攻守ハードワークとリスクチャレンジ(高い意識と意志レベル!)を絶対ベースに、人とボールを、しっかりと動かしつづける、優れたリズムのサッカー。
その視点で・・
たしかにフロンターレには、「まだ」分がある。
まあ、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだけじゃなく、家長昭博、脇坂泰斗に代表される優れた(スキルフルな!?)才能だけじゃなく、三笘薫に代表される、スピード(ドリブル)スターもいる。
この、三笘薫と、左サイドバックの旗手怜央が繰り広げたタテのポジションチェンジは、見応え満点だったよね。
要は、仕掛けプロセスの内実という意味で、フロンターレが魅せつづける「組織と個のバランス」には、とてもレベルの高い「イメージ・シンクロ・コンテンツ」が満載っちゅうこと。
その意味で、何人かの、昨シーズンまでの(攻撃の)主力を失ったアンジェ横浜マリノスは、少し苦労するかもしれない。
一つだけ・・
その、最終勝負プロセスにとって決定的なアクションについて書き添えます。
前半では、マリノス先制ゴールにつながった、山根視来の、後方から長い距離を「走り切った」フリーランニング。
そこからのヒールパスを、天才、家長昭博がブチ込んだ。
また、後半37分・・
今度はマリノス。
右サイドでボールをキープした水沼宏太から、これまた後方から、最前線の決定的スペースへ走り抜けた天野純へのパスが通りかけたシーン。
結局、天野純には合わなかったけれど、その一連のコンビネーションによって、仲川輝人が、決定的なシュートを放つところまでいけた(惜しくもバーを越えた!)。
この二つのチャンスメイクには、最終勝負プロセスで成功を収めるエッセンスが詰め込まれていたと思うわけさ。
そう、後方から、相手の視線を盗んで爆発スプリントをブチかます、守備側にとって「見慣れない」フリーランナー。
そんな仕掛けプロセスが、攻撃の目標である「スペース攻略」にとって、ものすごく重要な価値を秘めている・・っちゅうコトが言いたかった。
最後に・・
このゲームの、ダゾン・カメラマン氏(ディレクター氏も!)。
どうして、「あと10メートル、ズームを引いてくれない」のでしょうか??
もしかしたら、感覚的に、選手の「画面のなかの大きさ」にこだわっている!?
でも、あと5メートルから10メートル「先」が観えるのと、観られないコトには、まさに雲泥の差があるんですよ。
XEROXスーパーカップでのレポートでも書いたけれど、「あの」ゲームでのカメラワーク(ズーミングワーク)は、完璧だった。
とにかく今シーズンこそは、(戦術観戦の!?)フラストレーションから解放されたいと願って止まない筆者なのであります。
へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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