湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第13節(2021年5月9日、日曜日)
- いまのリカルド浦和レッズでは、様々な視点の、「戦術的なやり方のバリエーション」をイメージできるじゃないか・・でも、まあ、根源的なベクトルには変わりはないわけだけれどサ・・(レッズvsベガルタ、2-0)
- レビュー
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- サスガに、手倉森誠、ベガルタのサッカー内容が、どんどん高揚しているじゃないか。
とにかく、ボール奪取プロセス(守備)が忠実でダイナミック。
選手たちの「意識と意志とイメージング」が素晴らしい。
そう、まさに「主体的」な攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢じゃないか。
もちろん、局面デュエルでも簡単に負けない。
ということで・・
立ち上がりの時間帯は、(レッズが、ある程度の余裕をもって受け止められたとはいえ!?)明確にベガルタペースだったよね。
それだけじゃなく・・
どんどん盛り返し、ゲームのイニシアチブを握りはじめたリカルド浦和レッズに対しても、決して臆さず、攻守にわたる「極限のチャレンジ」をブチかましつづけた。
ゲーム後のダゾンインタビューで手倉森誠が胸を張っていたように、それは、とても立派なサッカーだったと思う。
あっと・・そうそう・・ゲームに入っていく前に・・
まず、このゲームでの、ダゾン・カメラワーク(ズーミングワーク)が素晴らしかったというポイントを強調しなきゃ。
実は・・
このゲームの前に、マリノスvsヴィッセル、そしてJ2の、ヴァンフォーレvsヴェルディのゲームも「ダゾン」していたんだよ。
そして、フラストレーションを溜めながら閉口していた。
そう、カメラワーク(ズーミングワーク)が、寄り過ぎなんだ。
もちろん・・
どちらかのハーフに入ったら、全体的な展開は画面に収まるけれど(それでも多くのシーンで、逆サイドは画面に捉えられていない!)・・
でも、後方からの組み立て段階では、寄り過ぎだから、最前線での「意識と意志とイメージングのせめぎ合い」が、まったく体感できない。
また、その段階でのカメラマン氏は、ボールホルダーを、寄り過ぎの画面のセンターに置いたりする。
そりゃ、モティベーションがダウンするのも道理でしょ。
前述した二試合の(中継画面の創りが!)そんな体たらくだったから、逆に・・
レッズvsベガルタ戦の、素晴らしい「画面創り」が光り輝くのも道理。
ということで、この試合では・・
カメラワーク(ズーミングワーク)が高質で、両チームが展開したサッカーが、積極的&攻撃的だったこともあって、観戦の集中力も、天井知らずだったというわけさ。
まあ、細かなトコロには入っていかないけれど・・
徐々に、「自分たちのサッカー」を取り戻しながらゲームを支配しはじめたリカルド浦和レッズが、美しい質実剛健サッカーで勝ち切った・・ってなゲームではあった。
そう、「美しい質実剛健サッカー」へ向かうベクトル上をひた走るレッズ。
ところで、そのリカルド浦和レッズの「サッカーのやり方」だけれど・・
様々な意味合いで、実効レベルの高い「バリエーション」をイメージできるかもしれない・・ってなテーマは、いかが!?
たとえば、キャスパー・ユンカー・・
確かにまだ、リカルド浦和レッズがブチかます、攻守ハードワークとリスクチャレンジの流れを(攻守両面での人とボールの動きのイメージを!)キャッチアップできていない。
それでも、局面での、ストライカーとしてのクオリティーは、十分感じさせてくれた。
また、ユンカーと交替出場した興梠慎三・・
彼もまた、興梠慎三「的」な仕掛けのリズムでの主役を、しっかりと張っていた。
また・・
素晴らしい、ポリヴァレントな仕事人としての、武藤雄樹、明本考浩、小泉佳穂もいる。
たしかに、攻守ハードワークとリスクチャレンジにあふれた、積極的&攻撃的サッカーという(この表現も、少し、舌っ足らず!)基本的な「やり方」は変わらない。
でも、その「組織プレー」のなかにミックスしていく「個のテイスト」によって、微妙に、「味わい」を加減できるかもしれない・・ってな視点のことだよ。
そう、この試合での、キャスパー・ユンカーと興梠慎三のトップ交替によって(図らずも!?)演出された、仕掛けプロセスの変化の演出・・とかね。
また、守備でも・・
例えば、相手によって、オールコートマンマークと、ポジショニングバランス・オリエンテッドな「やり方」を組み合わせたり・・
・・ゲーゲンプレスも含む前からプレス守備、そしてブロック守備を、効果的に使い分ける・・とかね。
もちろん、西大伍が演出する、後方からの効果的ゲームメイク・・
小泉佳穂が中心になった、「チャンスメイクプロセスの変化」とか・・
とにかく・・
いまのリカルド浦和レッズを観ていると、ホントに様々な「戦術アイデア」が湧きだしてくるんだよ。
まったく、楽しい限りだね。
あっ・・自分自身の学習機会としてだよ・・
言うまでもないコトだろうけれど・・
へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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