湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第19節(2021年6月23日、水曜日)
- やっぱりサッカーは、究極の「組織スポーツ」・・(交替による)心理ファクターが、チーム全体に大きな影響を与え、サッカーが別物になった・・(レイソルvsレッズ、0-2)
- レビュー
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- ・・昨シーズンとは違い、今シーズンのレッズは、後方からしっかりと組み立てます・・
ダゾン実況の八塚浩さんが、そんなニュアンスの内容をコメントするんですよ。
サスガに八塚浩さん、しっかりとサッカーを観察しているって、敬意を表していた。
まさに、その通り。
そんなレッズの、後方からの組み立て。
ボールを奪い返したところから、しっかりと人とボールを動かしながら「自分たちのイメージング」をグラウンドに投影しようとするわけさ。
もちろん、チャンスがあれば、一発ロングをブチかましたりもするよ。
とはいっても、チーム戦術的な「攻守イメージング」は、あくまでも・・
連動するボール奪取プロセス(守備)であり、人とボールをしっかりと動かしながらスペースを攻略してシュートまでいく仕掛けプロセスなんだよ。
そう、積極的&攻撃的な、組織サッカーね。
あっと、ゲーム・・
まず何といっても・・
この日のリカルド浦和レッズが、前節スタメンの9人を入れ替えたことが目立っていた。
だから、そんな興味深いグラウンド上の現象の「成りゆき」を追ったんだよ。
前線の、ポリヴァレントな仕事人、武藤雄樹。
そして、スーパーストライカー、興梠慎三。
この二人のコンビネーションで、何度か、決定的な「ゴール機会」は創り出した。
それも・・
自分が決めるのではなく、相手を「引きつけ」てスペースを創り、そこに、後方から全力で走り込んだチームメイトに「打たせる」なんて、お洒落なチャンスメイク。
もちろん、興梠慎三にも、何度か、決定的シュートチャンスはあった。
でも結局はゴールを割ることができず、後半16分には、この前線の二人が、小泉佳穂、キャスパー・ユンカーに、取って代わられることになるんだ。
そして、そこから・・
そう、明らかに、人とボールの動きが活性化したんだ。
難しい評価だけれど・・
決して武藤雄樹と興梠慎三のプレー内容に大きな問題があったというわけじゃない。
そうではなく・・
この二人の交替によって、明らかに、周りのチームメイトたちの(チーム全体の!)攻守ダイナミズムが(意識と意志とイメージングの内実が!)アップしたって感じられたのさ。
そんな、仕掛けの勢いだけれど・・
いつも書いているように、それは、ボール奪取プロセス(守備)での「勢い」に、決定的に左右されるものなんだ。
そう、ボール奪取プロセスの内容によって、次の攻撃における「勢い」に、明確な「差異」が生まれてくるということ。
まあ、このコンセプトも、欧州レジェンドのオッサンたちに教え込まれたっけね。
ということは、交替した二人のボール奪取プロセス(守備)における貢献度が低かった!?
いやいや・・
そうではなく、交替した二人によって、チーム全体の、ボール奪取プロセス(守備)でのダイナミズムが、大きくアップしたっちゅうことなんだ。
だからこそ、次の攻撃での勢い(ボールがないところでのサポートの動き!)にも火が点き、人とボールの動きも加速していったっちゅうわけだ。
チト、歯切れが悪いけれど・・
皆さんもご存じのように、わたしは、興梠慎三と武藤雄樹を、高く評価しているからね。
だから、単純に、「あの」選手交替が(個人的なファクターが!)状況を変えた・・というのではなく・・
あくまでも、交替出場した選手たちが(そのキャラクターやパーソナリティー)が、大きな「心理的影響」を与え、チーム全体の「活力」をアップさせた・・って思うんだよ。
とにかく・・
いまのレッズでは、新任監督のリカルド・ロドリゲスが考える(積極的&攻撃的&動的な!)攻守コンセプトが、しっかりと浸透しはじめている(リカルドのリーダーシップで、チーム全体に浸透させられている!)よね。
そう、その一端が、冒頭の、八塚浩さんの言葉だったというわけさ。
そして、「そのこと」をベースに、こんな発想も出てくる。
それは・・
クラブマネージメントが、リカルド・ロドリゲスのサッカーコンセプトの正しさと「実効」を(また、リカルドのプロコーチとしてのウデの確かさを!)体感しているからこそ、「人」を集めはじめている・・という事実。
要は、来シーズンのACLをターゲットに、二つの「同じチカラ」のチームを創っちゃおう・・ってな発想をもちはじめているっちゅうコトさ。
たしかに・・
ストロングハンドのリカルド・ロドリゲスは、正しく、先進的なサッカーコンセプトを、しっかりとチームに浸透させられるだけの「ウデ」をもっている。
何か、楽しみだね〜
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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