湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第21節(2021年7月3日、土曜日)
- サスガに手倉森誠ベガルタ・・素晴らしい闘いを披露した・・もちろん、リカルド浦和レッズも、しっかりと実力を発揮した・・とにかく、素晴らしい「動的な均衡マッチ」だった・・(ベガルタvsレッズ、0-0)
- レビュー
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- さすがに、スーパーストロングハンド、手倉森誠。
ベガルタのサッカー内容を、着実に充実させているじゃないか。
もちろん、そのパフォーマンスアップは、ボール奪取プロセス(守備)に如実に現れている。
このゲームでも、チーム内でのボール奪取イメージが、しっかりとシンクロ(同期)しつづけていると感じられた。
だからこその、素晴らしい機能性を魅せる「組織ディフェンス」だったわけだよ。
言わずもがなだけれど・・
その絶対バックボーンは、手倉森誠に鍛え抜かれた、選手個々の「意識と意志とイメージング」の高質な内実。
彼らは、とてもハイレベルな、守備での「主体性プレー」を、組織的に(有機的に!)リンクさせ(連動させ!)つづけたんだ。
そんな、「守備ハードワーク」を、積極的に探しつづけるという姿勢こそが、絶対ピンチでの「最後の半歩を伸ばし切る・・」というグラウンド上の現象となって結実するわけさ。
このゲームでも、リカルド浦和レッズが創りだした何度かの決定的チャンスを、ギリギリのタイミングに伸ばし切った「最後の半歩」で凌ぎきった。
とはいっても・・
そう、攻撃(仕掛けのコンテンツ)では、まだまだ課題が山積みだね。
要は・・
人とボールの動きのなかで、選手たちが、どうしてもまだ、フッ切れた「ボールがないところでの勝負の動き」をブチかまし「切れて」いないんだよ。
だから最後は、「個のチカラ」に頼ってしまう・・ってな印象の方が強かった。
ということで、リカルド浦和レッズ・・
このゲームでも、攻守にわたる「進化&深化プロセス」が、しっかりと「昇り龍」の勢いを保っているって感じさせてくれた。
ボール奪取プロセス(守備)の内実については、もちろん、ベガルタに勝るとも劣らない。
でも、次の攻撃では・・
イニシアチブの掌握とか、そこからの(ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションも含めた)組織的な仕掛けプロセスという視点では、ベガルタに比べて、一日の長がある。
やっばり、人とボールの動きの内実に、まだ「微妙な差」があるってコトなんだろうね。
そう、リカルド浦和レッズの方が、一つの仕掛けの流れに「乗ってくる」プレイヤーの「量と質」が、ベガルタを上回っているんだ。
量は、もちろん人数。
質は、言うまでもなく、スペース攻略プロセスの「具体的イメージング」を共有する、人とボールの動きの「実効レベル」っちゅうことだね。
そしてリカルド浦和レッズには、スペースを攻略したことの「効果」を、より具体的にシュートチャンスへ結びつけられる「個のチカラ」も備わっている。
要は・・
決定的な「ゴール機会」の量と質という視点で、この試合で「も」、相手を凌駕したということだね。
まあ、残念ながら結果にはつなげられなかったけれど・・
ところで、後半22分からグラウンドに登場した興梠慎三。
リカルド・ロドリゲスのサッカー哲学に「フィットしはじめた・・」という視点で、希望がふくらむプレー内容を魅せてくれた。
そう、キャスパーと慎三のツートップ・・
もちろん、まだ未知数ではあるけれど、「あれほど」の実力の持ち主だから、もっと攻守ハードワークとリスクチャレンジの内実をアップすれば、必ず、結果はついてくる。
とはいっても・・
そう、これから入団してくる実力者もいる。
そんな、古株、新顔、ニューフェイス等などを、いかにうまくマネージすることで、「シナジー」を生み出していくのか。
リカルド・ロドリゲスの手腕に期待しましょう。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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