湯浅健二の「J」ワンポイント


2021年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第23節(2021年8月9日、月曜日)

 

ミハイロ・ペトロヴィッチ率いる札幌コンサドーレ・・彼らが魅せつづけた素晴らしいサッカーに乾杯!・・またレッズが陥った「沈滞ムード」からの脱却は難しいというテーマも・・(コンサドーレvsレッズ、2-1)

 

レビュー
 
何でなんだろう・・

とにかく、ダゾンのカメラワーク(ズーミングワーク)が寄り過ぎなんだ。

ホント、あと10メートル分(ズーミングを)引くことは不可能なのだろうか!?

どうして、国際的な「画面構図」のスタンダードを参考にしないのだろう?

今回のオリンピックでも、大事なポイントをしっかりと捉える「カメラ構図」だった。

また、フットボールネーションでのカメラワーク(ズーミングワーク)も、「まさにスタジアム観戦!」ってなハイレベルだよね。

それが、ダゾンでは・・

とにかく、先進国のカメラワーク(ズーミングワーク)を参考にしない(!?)彼らの仕事ぶりに、疑問符ばかりが浮かんできてしまう。

ボールホルダーを「端っこ」に置き、最前線の(勝負の前の・・これが大事なんだ!!)攻守のせめぎ合い「まで」しっかりと画面に収めることは、そんなに難しいのだろうか??

もう何度も書いているけれど、サッカーでは、ボールがないところで勝負が決まるんだよ。

たしかに・・

後方でボールを動かしている「状況」で、最前線が、決定的スペースへ「爆発的」に抜け出す(そこにロングパスが通る!)なんていうシーンは、そう頻繁には起きない。

それでも、その状況での、最前線で「せめぎ合う」攻守プレイヤーの「意識と意志とイメージングの内実」は、しっかりと体感したいでしょ。

後方のボールホルダーと、その前の「2列目選手たち」までをカメラで追っても、最前線での、攻撃と守備のイメージングのせめぎ合いは把握できない。

そして、ぶん回されるカメラが、結果だけを後追いするわけだ。

フ〜〜ッ・・

このテーマについて、ご検討いただけませんかね、ダゾンさん・・

あっと、試合・・

とにかく、まず、ミハイロ札幌コンサドーレの、攻守にわたる素晴らしいサッカーに対して、心からの拍手をおくらなきゃいけない。

彼らは、攻守にわたるハードワーク(≒運動量)とリスクチャレンジ(強烈な意識と意志!)あふれる、ダイナミックな「主体性プレー」を魅せつづけたんだ。

そう、美しい質実剛健サッカー・・

内容的にも、ゴール機会の量と質からしても、完璧に、ミハイロ札幌コンサドーレがフェアに勝ち取った勝利ではあった。

ホント、ミハイロは、よい仕事をしている。

対する(今日の!!)リカルド浦和レッズ・・

ピックリするほど、攻守ダイナミズムが減退していた。

特に、ボール奪取プロセス(守備)。

チェイス&チェック(チャレンジ)&カバーリングが、まったくといっていいほど「噛み合って」いない。

その、ボール奪取プロセス(守備)だけれど・・

いつも書いている通り、それは、最前線からはじまるんだ。

そう、興梠慎三とレッズデビューの江坂任。

皆さんもご覧になった通り、彼らのボール奪取プロセスでのアクションの量と質は、まったくお座なりだった。

特に、レッズデビューを飾った江坂任。

チト辛口になるけれど、彼を見ていて、すぐに、ベルギーへ渡った森岡亮太を思い浮かべてしまった筆者なのだよ。

・・ボールを持ったら、もちろん並外れた天賦の才を発揮する・・

・・でも、攻守ハードワークとリスクチャレンジといったチームプレーでは、まさに役立たずの部類に入る・・

・・そういえば、レイソル時代からも、あまりにもチームワークをサボりすぎるっていう印象が強かった・・

・・素晴らしい才能に恵まれているのに・・

・・もちろんチェイスには向かう(相手ボールホルダーや次のパスレシーバーへの寄せ)・・

・・でも、それ自体の「意志レベル」が低いし、お座なり・・

・・だから、そのアプローチが外されたら、そこでアクションを止めてしまう(典型的な、やってる感だけの怠慢プレー)・・

・・また、仲間のチェイスには、ほとんど反応しない(協力プレスや、インターセプトを狙ったり、等などといった闘う意志のことだよ!)・・

・・攻撃でも、素晴らしいトラップ&コントロールから良いパスを回したと思ったら、そのままパス&ムーブをせず立ち止まって様子見・・

・・またチームメイトの仕掛けドリブルにも、ほとんど反応せず、様子見・・

とにかく、そんな、「オレはパサーだっ!」ってな思い上がりの彼に、リカルドがイメージするようなダイナミズムを期待するのは、難しいと思う。

そして・・

そんな「沈滞サッカー」のリズムは、選手交代をしても、すぐには解消されなかった。

スーパーハードワーカーの明本考浩や、優れたボランチの二人にしても、そんな「沈滞リズム」のなかで、自分たちだけが「良いプレー」を出来るはずがない。

要は・・

最前線からのボール奪取プロセス(守備)への「意識と意志」という視点で課題をかかえる選手を「二人も」先発させたら、うまくいくはがない・・というのが結論かな。

あっと・・もう一つ・・

そんな、チーム全体が陥ってしまった沈滞ムード(まあ、心理的な悪魔のサイクルほどではないけれど!?)から脱却するのは、ものすごく難しいという事実。

このゲームについては、こんなところです。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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