湯浅健二の「J」ワンポイント


2021年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第31節(2021年10月1日、金曜日)

 

チームの総合ポテンシャルでは、明らかにマリノスの方が「上」・・でもこの試合、ゴール機会という視点では、ベルマーレに軍配が挙がる・・サッカーは難しいネ・・(ベルマーレvsマリノス、0-1)

 

レビュー
 

すごかったね〜、ベルマーレがブチかました、立ち上がりの前からプレス。

そう・・

相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)への、忠実&大迫力のチェイス&チェック(寄せ)を積極的&攻撃的に連動させるボール奪取プロセス(守備)。

だからこそ、マーキングやカバーリング、協力プレスへの集散といった、周りの連動アクションが、素晴らしく効果的に機能したんだ。

そして、だからこそ、(ショート!?)カウンター気味の仕掛けからスペースを攻略し、シュートチャンスも、うまく創りだせた。

でも、15分を過ぎたあたりから・・

徐々に、その「連動する迫力ダイナミズム」が、「落ち着いていった・・」って感じられるようになった。

そんな、ゲーム展開の「微妙な変容」を観ながら、こんなコトを考えていた。

どうして、ベルマーレがブチかましつづけた、連動する迫力チェイス&チェックの「勢い」が、落ち着いてしまったのだろうか?

前節フロンターレ戦でも、そうだったけれど・・

前半に展開した素晴らしいチェイス&チェックの(イニシアチブ掌握の!!)勢いが、後半になって、「ストンッ・・」ってな感じで落ち込んでしまったんだよ。

それってサ・・

不確実なサッカーだからこそ、最後は「自由」にプレーせざるを得ない・・っていう根源コンセプトに関わるテーマ(ファクター)なんだろうね。

そう、だからこそ・・

一人でも、そう、たった一人でも、その、連動するチェイス&チェックの「流れ」に乗らなかった(乗れなかった)ら、その「全体ダイナミズム」が断ち切られてしまう!?

まあ、とはいっても・・

そう、フロンターレ戦の後半にしても、このゲームでの、前半15分過ぎからのゲーム展開にしても・・

強いチーム同士の、普通の(!?)、攻守にわたって「動的に均衡する」っちゅう、エキサイティングな仕掛け合いになったということでしょ。

そうなんだよ・・

ベルマーレは、相変わらず、優れたチームなんだ。

残念なことに辞任してしまった、ベルマーレ前監督、浮嶋敏。

彼によってベルマーレは、とても良いチームへと進化、深化した。

だから私には、どうして浮嶋敏が辞任したのか、うまく理解できなかった。

たしかに、後任の山口智も、その優れたサッカーイメージ(意識と意志)が凝縮したチームのレベルを落とすことなく、良い仕事をしている。

だから、このゲームのように、立派なサッカーも展開できる。

でも、わたしには、どうしても、浮嶋敏が辞任した背景が、理解できない。

まあ、たしかに、ブンデスリーガの友人たちが繰り広げる、就任と辞任(解任)の背景にも、複雑怪奇なドラマが山積みではあるよね。

プロというビジネス背景も含めてネ。

フ〜〜ッ・・

あっと、最後に・・

ベルマーレが創り出した、優れた「ゴール機会・・」という視点。

彼らは、ゲーム展開が、前述のように、動的に均衡し、ダイナミックな攻守の仕掛け合いになってからも・・

相変わらず、忠実で創造的なボール奪取プロセス(守備)をベースに、互角に近いサッカーを魅せていたんだよ。

そして実際に・・

彼らは、ゴール機会という視点じゃ、マリノスを凌駕していたんだ。

前半30分。

爆発フリーランニングで決定的スペースへ抜け出し、ウェリントンからのベストタイミングのスルーパスを受けた町野修斗。

彼が、完璧フリーで、マリノスGK高丘陽平と1対1になったんだ。

誰もが、「アッ、ゴールだっ」ってフリーズした。

でも次の瞬間、町野修斗のシュートを、高丘陽平が身体でブロックし、弾き出していた。

フ〜〜ッ・・

また、後半5分と、後半34分には、ウェリントンが、カタチとしては、もう完璧なヘディングシュートをブチかました。

この三つとも、ゴールになっても、まったくおかしくないシーンではあった。

まあ、とにかく・・

たしかに、サッカーの美しさや、攻守の目的を達成するプロセスの「量と質」という視点では、ケヴィン横浜マリノスが、一枚も二枚も「上」だよね。

それは、観ている誰もが体感していたでしょ。

でも・・

そう、「勝負ファクターの内実」では、決して、ベルマーレが劣っていたわけじゃない。

でも彼らは、何か「変な雰囲気」に囚われてしまったように、勝つことができない・・

そう、浮嶋敏のときも・・ね。

でも私が、「あれだけの高質サッカー」をやっているベルマーレだから、決して、降格することはないって確信しているコトだけは、宣言しておこうと思った。

ということで、ワケが分からないけれど・・

とにかく、ベルマーレも、ケヴィン横浜マリノスも、ガンバレ〜ッ!!!

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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