湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第36節(2021年11月20日、土曜日)
- 素晴らしく、動的に均衡したエキサイティングマッチだった・・リカルド浦和レッズ、そしてケヴィン横浜マリノスが魅せつづけた高質な「主体性プレー」に拍手をおくります・・(レッズvsマリノス、2-1)
- レビュー
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いや、ホント、高質の極みってな内容の、エキサイティングマッチだった。
まあ、前半と後半では、ゲームの(勝負の!)状況によって、両チームのサッカーも、大きく変容してしまったけれど・・さ。
そう・・
後半は、2点を追うケヴィン横浜マリノスの「攻守の勢い」が風雲急を告げ、完璧にイニシアチブを握って攻め込みつづけたんだ。
それでも、攻守にわたる「グラウンド上の現象」自体には、とても興味深い「内容」があふれていたんだよ。
とにかく・・
そんなふうにゲームの「内実」を、心から楽しめたのも、ダゾン中継のカメラワーク(ズーミングワーク)が素晴らしかったからに他ならない。
何せ・・
そう、両チームともに(まあ、特に前半ね)、鋭く、広く、素晴らしい「リズム」で人とボールを動かしつづけたわけだからね。
そんなハイレベルな勝負マッチで、「寄り過ぎ」のカメラワーク(ズーミングワーク)をカマされたら、そりゃ、誰だってアタマにきますよ。
とにかく、素晴らしいカメラワーク(ズーミングワーク)でした。
このダゾン中継をご担当された方々に、感謝のエールを!
あっと、ゲーム・・
その、「高質の極み」ってな形容が相応しい、(特に前半の!!)エキサイティングな仕掛け合い。
たしかに立ち上がりは、とてもアグレッシブなサッカーを展開するケヴィン横浜マリノスが、完璧にイニシアチブを握った。
でも・・
そう、さまざまな意味の「主体的な学習」を深めてきたリカルド浦和レッズは、「我慢の時間帯」ってな理解を、とてもクリアに「共有」できていたんだ。
だからこそ・・
そう、10〜15分もしたら、レッズの「押し返し」が、「波」に乗りはじめていくんだよ。
その「波」の意味合い・・
それは、もちろん、ボールを奪い返してからの「次の仕掛けフロー」に参加していく人数(押し上げの勢い!)がハンパなかったということ。
そこには、とても深い相互信頼ベースの、前線と後方プレイヤー達のポジションチェンジ「も」あった。
そう・・
トータルフットボールを志向するリカルドのイメージそのままに、チームが、全員守備、全員攻撃・・ってな素晴らしいダイナミックサッカーを展開したんだよ。
あっと・・
まあ・・前半は・・ね。
だから・・
チャンスを感じた「誰もが」、前方のスペースへ押し上げ(サポートね)、最終勝負シーンまで絡んでいこうとするんだ。
そして、だからこそ・・
ボールを奪い返した次の瞬間からはじまる「カウンターの流れ」に、チャンスを「感じた」誰もが、フルパワーで押し上げていくわけさ。
後半3分にブチかました、レッズ追加ゴールシーン・・
それは、まさに、そんな「主体性プレー」の集大成ではあった。
この、前線と後方プレイヤーたちの「信頼関係」・・
「それ」こそが、リカルド・ロドリゲスが、選手個々を「レスペクト」することで培われつつある、ホンモノの自信と確信(主体性!)っちゅうわけだ。
あっと・・
もちろん、ケヴィン横浜マリノスも、いつものように、「自分たちの高質サッカー」を誇示しつづけたよ。
彼らもまた、リカルド浦和レッズと同様に、選手たちのイメージングが、素晴らしく「連鎖」しつづける、積極的&攻撃的なボール奪取プロセス(守備)を魅せつづけたんだ。
その「主体性イメージング」は、言うまでもなく、その後のオフェンスでの、素晴らしい「人とボールの動き」の絶対ベースでもあるわけさ。
ワンツーを積み重ねる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション・・ね。
その視点では、この日のケヴィン横浜マリノスは、レベルを超えていた。
そして、後半・・
2点を追うケヴィン横浜マリノスは、もう、失うモノなど何もない・・ってな雰囲気と勢いで攻め上がった。
人数がいるから、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションも、危険なニオイを放散しながら、スムーズに機能しつづける。
でも・・
そうなんだよ。
後半のリカルド浦和レッズが敷いた「ブロック守備」は、堅牢そのものだったんだ。
彼らが魅せつづけた粘りのディフェンスには、まさに、効果的な「主体性プレー」のオンパレードっちゅう雰囲気が充満していた。
そうそう・・
ダゾン解説の柱谷幸一が、こんなコトを言っていたっけ。
・・えっ、そんなにシュート数に差があったんですか〜っ!?・・
・・でも、実際にゴールが決まりそうなシュート場面は、数えるほどしかなかったですよね・・
そうなんだよ。
たしかに、シュート数自体は、レッズの「5本」に対して、マリノスは「19本」もブチかましたんだ。
でも、枠内シュートの数は、両方とも3本で、イーブンだったんだよ。
それは、レッズ選手たちが、まさに「主体的」に、最後の「決定的な瞬間」を、強烈にイメージしつづけていたからこその、正当な成果だった。
彼らは・・
最後の決定的な瞬間(ピンチ場面!)に、しっかりと「身体を張った」だけじゃなく、相手のシュートも、「伸ばし切った足でブロック」しつづけたんだ(最後の半歩・・ね)。
また・・
動きまわるマリノス選手たちを、まさに臨機応変に、最後まで「マークし切った」り、相互信頼ベースで、マークを受けわたしたり。
この、ボール奪取プロセスの「連動性」もまた、選手たちが、グラウンド上で、主体的にプレーできていることの証っちゅうわけさ。
さて、リカルド浦和レッズ・・
レギュラーシーズンでの「3位」獲得は、とても難しくなった。
でも、まだ、天皇杯がある。
とにかく、最後の最後まで、来シーズンのACLを目指そうゼ。
ガンバレ〜、リカルド浦和レッズ〜〜ッ!!
あっ・・
ケヴィン横浜マリノス・・もね。
へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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