湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第6節(2021年3月20日、土曜日)
- ゲッ・・この大逆転劇は、わたしの体感(経験)のなかでも、1、2位をあらそう神様ドラマだった・・(コンサドーレvsヴィッセル、3-4)
- レビュー
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- このゲームでは・・
やっぱり、「3-0」にされてからのヴィッセルの「勢いの活性化」という、興味深いグラウンド上の現象にこそ焦点を当てなきゃいけない。
要は、じゃ、「あの前半の、受け身で消極的な出来は、いったい何だったの??」ってな疑問が浮かんでくるわけさ。
もちろん・・
基本的には、ボール奪取プロセスの内実によって、サッカーの内容が、ガラリと変容する・・ってな、サッカー基本コンセプトのことなんだけれど・・
まあ、そんな、心理・精神的なバックボーン(意識と意志とイメージング)の高揚こそが・・ってな視点が中心というわけだ。
それには、アンデルソン・ロペスが、後半1分にブチ込んだ「3点目」が大きかった!?
そうだよね〜、それで、ヴィッセル選手たちのマインドが、完璧に、フッ切れたっちゅうことなんだろうね。
・・このまま、やられっぱなしじゃ、神戸に帰れない・・
・・とにかく、もっと攻撃的、積極的なサッカー(ボール奪取プロセス)を展開しなきゃ、まさにジリ貧だ〜・・
面白いことに・・
そう、ヴィッセルのサッカー内容が、活性化するにしたがって、ミハイロ札幌コンサドーレの攻守ハードワークとリスクチャレンジの勢いが殺がれていったんだ(3点リードからの油断もある!?)。
まあ・・ね、ヴィッセルには、酒井高徳や山口螢っちゅう絶対リーダーがいるからね。
その、絶対リーダーがいるという心理メカニズムについては、「The Core Column」シリーズで発表した、このコラムもご参照あれ。
とにかく、後半の立ち上がりに「3-0」ってな(一見は!?)安全圏リードを奪ったミハイロ札幌コンサドーレが、どんどん勢いを失っていった現象「も」興味深いよね。
もちろん「それ」には、ヴィッセルが、「失うモノなんて何もない・・」ってな勢いで、積極的&攻撃的サッカー(ボール奪取プロセス)をブチかましたコトもあった。
そしてヴィッセルは、後半22分までに、「3-3」まで追い付いちゃうんだよ。
まさに、不確実だからこそ、最終的には、(強烈な意識と意志ベースで!!)勇気をもって「自由に」プレーせざるを得ないサッカーの面目躍如だった。
もちろん、同点にされてからは、再びミハイロ札幌コンサドーレが、勢いを取り戻していくんだよ。
まあ、エキサイティングな拮抗マッチ。
もちろん、ボール奪取プロセスに対する意識が「薄い」、オープンな展開・・ってな低次元のゲームではなく、あくまでも、ボール奪取プロセスを、上手く、そして忠実に機能させながりの「せめぎ合い」なんだ。
とにかく、見応え十分だった。
そして・・
ヴィッセルが、まさに(神様スクリプトの!?)大逆転ドラマを完遂されちゃうんだよ。
チト、信じられなかった。
あっ・・いや・・
もちろん私は、「そんなサッカードラマ」もたくさん体感しているから、信じられない・・という表現ではなく・・
やっぱり、不確実な要素が満載のサッカーは、究極の「心理ボールゲーム」だっちゅう事実を噛みしめていた・・っちゅうコトですかね。
究極の心理ボールゲーム・・
だからこそ、監督さんのチーム戦術をベースに、局面では、選手たちの、自立した「意識と意志」が迸(ほとばし)らなければ、良いサッカーなど、叶わない。
そう、美しい質実剛健サッカーは、積極的に(チーム戦術的な!!)ルール「も」破って(超越して)いかなきゃ実現できないし、決して「高み」へ上り詰められない。
このゲームでは、そんな絶対的サッカーコンセプトを、再認識させられた。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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