湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第8節(2021年4月6日、火曜日)
- フ〜ム・・まだまだ本調子からはほど遠いマリノスだけれど・・強い意識と意志をベースに、着実にフォームアップしてくるはず・・(マリノスvsセレッソ、1-0)
- レビュー
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- 本当に、「ほんのチョット」なんだけれどな〜〜。
こちらは、例えば、マリノス前田大然の「飛び出しイメージングと実際の動き出し」といったボールがないところでの勝負アクションを体感したいんですよ。
それが・・
そう、「チョットした寄り過ぎズーミング」で、観られない。
どうして、あと「10メートル分」ズームを引いてくれないんだろうか・・
とにかく、ものすごいフラストレーションが溜まりつづけていたんですよ。
そう、勝負は、ボールがないところで決まるわけだから・・ね。
とはいっても、アンジェ横浜マリノスと、レヴィー・クルピ率いるセレッソの対戦だから、まあ、我慢して観るしかない。
フ〜〜ッ・・
・・ということで、試合・・
このコラムでピックしたいのは・・
前節の浮嶋敏ベルマーレ戦もそうだったけれど、どうもアンジェ横浜マリノスの人とボールの動きに「良いリズム」が感じられない・・というポイント。
その背景ファクターとしては、攻撃プロセスへ、人数を「うまく掛けられていない」という一点に絞り込まれるかな。
そんなだから、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションでスペースを攻略していく・・ってなシーンを演出できないのも道理。
まあ、浮嶋敏ベルマーレも、レヴィー・クルピに率いられたセレッソも、とてもボール奪取プロセス(守備)の内実がソリッドだったよね。
そう、チェイス&チェックやカバーリング、デュエルやマーキングが、忠実で粘り強いんだ。
決して、安易にアタックを仕掛けず、とても冷静に、最終勝負デュエルの状況をイメージしつづけながら、マリノスを、「そこへ追い込んで」いくんだ。
そんな粘りの組織ディフェンスと対峙したマリノス。
自分たちの「リズム」をうまく見いだせず、徐々に、心理的に後ろ向きになっていったって感じた。
そんなだから、攻撃に「人数」を掛けられなくなっていくのも道理(追い越しフリーランニングなどの勇気をもったサポートが足りない!?)。
そして、出てくるのは、まさに「ゴリ押し」の個人勝負ばかり。
それでは、「あの」忠実で粘り腰のセレッソ守備のワナにはまってしまうよね。
もちろんそんなネガティブ現象には、マルコス・ジュニオールという攻撃の「コア」が不在というコトもあるでしょ。
でも、アンジェ横浜マリノスの真骨頂は、「誰が出てきても、しっかりと自分たちのサッカーを表現できる・・というコトじゃなかったんだろうか。
その意味で、ちょっと落胆していた筆者だったのだよ。
どうなんだろうね・・
「強い」アンジェ横浜マリノスと対戦する相手は、まずマリノスの「良さを消す」という基本ゲーム戦術で臨んでくるでしょ。
だから、マリノスが仕掛ける「後方からのサポートアクション」も、ことごとくタイトにマークされちゃう。
そんなだから・・
マリノス真骨頂の、ワンツーを積み重ねる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションも、「行き過ぎず・・追い過ぎず」ってな、相手の柔軟マインドに抑え込まれちゃう。
とはいっても、それでも・・
そう・・
アンジェ横浜マリノスは、決して「疑心暗鬼」に苛(さいな)まれるのではなく、勇気をもって、「自分たちのサッカー」を貫かなきゃいけない。
とても微妙なディスカッションだけれど・・
ドイツサッカーのレジェンドプロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、こんなニュアンスの至言を残したことがある。
・・失敗やミスをすることで、選手たちのマインドは、どんどん縮こまっていく・・
・・そんなとき、オマエたちは(わたしも含めた、教え子の若手プロコーチたちは!)、どのように選手たちのネガティブな「心」を解放させられるのか?・・
・・そう、選手たちの意識と意志(勇気)、自信と確信レベルをアップさせるんだ・・
・・ふふふ・・
・・実は、そこには唯一の正解なんてないんだよ・・
・・静かに話して聞かせるのが効果的なヤツもいるだろうし、ベンチをぶん投げなきゃ、目を醒まさないヤツだっている・・
・・そう、人の心は、千差万別なんだ・・
・・大事なことは、そこで、オマエたちが、しっかりと考え、知恵を絞って(心理マネージメントを!)工夫することなんだよ・・
・・そのためにも、一つの考えに凝り固まるんじゃなく、まず自分自身の心を解放することで、柔軟にならなきゃいけないんだ・・
何か、深いでしょ。
あっ・・もちろん・・
アンジェ・ポステコグルーの心理マネージメントに物申しているわけじゃありませんよ。
とにかく・・
ここからマリノスが、アンジェ・ポステコグルーという(解放されて柔軟な!?)ストロングハンドにドライブされ、本来の「美しい質実剛健サッカー」を取り戻していくって確信している筆者だということが言いたかった。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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