湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第9節(2021年4月11日、日曜日)
- まず浮嶋敏ベルマーレについて簡単にコメントさせてください・・そして・・私にとって、戦術的な見所(学習機会)満載だったリカルド浦和レッズvs徳島についての総評も・・(レッズvs徳島、1-0)
- レビュー
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- スミマセン・・
このゲームに入る前、昨日の「サンフレッチェvsベルマーレ戦」を、簡単に振り返えらせてくださいね。
その浮嶋敏ベルマーレだけれど・・
「あの勝負強い」城福浩サンフレッチェに対し、彼らのホームゲームで、立派なサッカーで勝ちきった(0-1)んだよ。
立派なサッカー・・
まず何と言っても、受け身ではなく、全員が「連動」する、積極的なボール奪取プロセス(守備)を、最後までブチかましつづけたという視点で、とても立派。
特に、リードを奪ってからの、サンフレッチェの反攻を抑え込んだ、ダイナミックな積極ボール奪取プロセス(守備)は、見所満載だった。
また攻撃でも・・
しっかりと人数をかけることで、ワンツーを積み重ねるダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションも機能させていた。
たしかに、全体的なイニシアチブはサンフレッチェに握られてはいたけれど、肝心の「勝負所」では、彼らに勝るとも劣らない素晴らしい「闘い」を魅せたんだ。
あくまでも主体的に、攻守ハードワークとリスクチャレンジを「探しまくる」浮嶋敏ベルマーレ選手たち。
わたしは、彼らの、強烈な意志と前向きなプレー姿勢を高く評価していた。
彼らは、期待通り、(解放された!)勇気まんまんの攻守ハードワーク&リスクチャレンジ満載の「立派なサッカー」で、徐々にランキングをアップさせているじゃないか。
それこそが、プロコーチ、浮嶋敏の確かなウデの証明ということだね。
ホント、よかった。
あっ・・スミマセン・・
ということで、リカルド浦和レッズvs徳島。
このコラムで最初にピックするのは、なんといっても、ゲーゲンプレス。
これはドイツ語で、「Gegen Pressen」と書きます。
要は・・
攻め上がっていく状況で、相手にボールを奪われた次の瞬間から「爆発」する、強烈な「前からプレス守備」のことでっせ。
そんな「流れ」で、再びボールを奪い返せば、これ以上ないほど高質なゴール機会に恵まれるっちゅうわけさ。
そう、前半に、徳島が何度も創りだしたチャンスね。
徳島は、とにかく「そのやり方」を、徹底していた。
このやり方が、徳島チームで、本格的に「ツボにはまり」はじめたのは、たぶん、7節のエスパルス戦からだったように思う。
私は、そのゲームも観たけれど、とにかく徳島がブチかましつづけた「ゲーゲンプレス」は、素晴らしい連動ボール奪取プロセスだった。
そんな、チーム一丸となった「前からプレス守備」に、エスパルスは、まさに為す術なし。
ボールを「再び奪い返される」ことで、決定的ピンチに陥りつづけた。
そして、おわってみれば、ホームであるにもかかわらず、「0-3」という惨敗を喫した。
あっと・・
そのゲーゲンプレスだけれど・・
実は、レッズも、そのイメージをもっているんだ。
そう、何せ、両チームを率いている(いた)のは、「あの」リカルド・ロドリゲスだからね。
でも、より徹底していたのは徳島の方だったね。
もちろん・・
もし、ゲーゲンプレスが「はまらなかった」場合は、ブロック守備を、素早く組織する。
そんなサッカーだから・・
両チームにとっちゃ、相手のブロック守備に対して、タテパス(リスキーパス)で仕掛けていく瞬間こそが、「ゲーゲンプレス」のスイッチっちゅうわけだ。
つまり・・
勝負のタテパスだから、その多くは、ボールを失うという結果におわる。
そして、そのボールロストの瞬間こそが、逆に、次のチャンスを掴み取るアクションのスイッチというわけだ。
周りは、「その瞬間」を、虎視眈々とねらいつづけているっちゅうわけさ。
とにかく、徳島選手たちの、自分たちが「ボールを失う瞬間」を狙っている眼は、まさに猛禽類のソレだった。
とはいっても・・
皆さんもご覧になった通り、前半は、サッカー内容(また結果につながるプロセス!?)という意味で、徳島に一日の長があった。
とにかく、「あの時間帯」で、徳島にゴールをブチ込まれなくて、ホントに、よかった。
サンキュー、西川周作先生!!
そして、後半にかけて、徐々にゲーム展開が「落ち着いて」いくっちゅうわけだ。
要は、ゲーゲンプレスも含めて、前からプレス守備をブチかます「イメージングの状況」が、徐々に、不明確になっていったんだよ。
ゲーゲンプレスにしても、一般的な「前からプレス守備」にしても・・
そう、相手を「はめ込む」ような明白な展開には、ならなくなったんだ。
もしかしたら、両チームの運動量と集中力が、少しずつダウンしはじめた!?
そうなったら、総合力にまさるレッズが、ゲームの勝負フロー(大枠の!?)イニシアチブを握りはじめるのも道理。
そして彼らは、コーナーキックから決勝ゴールを挙げ、そのまま(一つだけ危ないヘディングピンチはあったけれど)、徳島にチャンスを与えずに勝ち切ったという次第。
まあ、表現としては、「逃げ切った・・」なんていうのもアリなんだろうけれど・・
でも私は・・
相手の「やり方」をしっかりとイメージし、その逆手を取るように、「徐々に」ベースを奪い返した・・というゲーム展開からすれば、やっぱり「勝ち切った」というのが相応しいと思う。
あっと・・
レッズが、少し苦しんだ背景・・
それには、武田英寿がケガで交替せざるを得なくなったこともあった。
そして、ゼロトップから、交替出場した杉本健勇のワントップへと、「やり方」を大きく変更せざるを得なくなったわけだ。
選手たちは、それによって、「やり方イメージの修正」を迫られた。
でも彼らは、とてもうまく、柔軟に対応したと思う。
とにかく・・
スーパー攻守ハードワーカー明本考浩・・
素晴らしいゲーム&チャンスメイカー小泉佳穂・・
最前線の、ポリヴァレント攻守ハードワーカー武藤雄樹・・
・・といった、柔軟なチーム(組織)ワーカー連中が、サッカーの「やり方の変容」を、しっかりとマネージしていたんだ。
もちろん、関根貴大、とても良いアンカーぶりを披露した伊藤敦樹、両サイドの「クリエイティブで冷徹な仕事人」、山中亮輔と西大伍なども、賞賛に値する。
まあ、西川周作と両センターバックについては、言うまでもないよね。
あっと・・
前節コラムで、かなりネガティブな評価を下した杉本健勇も、この試合では、しっかりと、周りとのボール奪取プロセス(守備)のイメージを共有できていた。
そのコトも、フェアに評価しなきゃいけない。
ということで・・
かなり苦労はした。
それでも、終わってみれば、とても質実剛健に「勝ち点3を奪い取った・・」っちゅう勝負マッチだったと思う。
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最後に、ダゾンのカメラワーク(ズーミングワーク)。
良かったですよ。
もちろん、まだまだ、観たいトコロが「画面から外れてしまう」ってなコトもあったけれど、全体としては、満足できるカメラワーク(ズーミングワーク)でした。
お疲れ様でした。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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