湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2022年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第13節(2022年5月14日、土曜日)
- ドラマチックなゲーム展開の変容と決定機がテンコ盛りの勝負マッチだった・・高質なテレビ中継カメラワーク(エネーチケーも、ダゾンも!)のお陰で、堪能させてもらった・・(レイソルvsガンバ、0-1)
- レビュー
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- サスガにネルシーニョ・・
ボール奪取プロセス(守備)を活性化することで、チーム力を、格段にアップさせている。
そう、「守備の活性化」がキーワード。
ネルシーニョは、基本的には「受け身」のディフェンスを、ものすごく積極的&攻撃的なボール奪取プロセス(守備)へと昇華させたんだ。
そのレイソルについては、前節ホームでのレッズ戦コラムも、ご参照アレ。
ということで、レイソルの、活性化したボール奪取プロセス(守備)。
決して彼らは、受け身のボール奪取プロセス(守備)ベースで、勝負強いサッカーを目指しているわけじゃない。
そうではなく、あくまでも積極的&攻撃的にボールを奪い返し、そこから、人数をかけて攻め上がっていくんだよ。
そう、美しい質実剛健サッカーを目指してね。
わたしは、そんなネルシーニョの基本的な戦術アイデアにシンパシーを感じる。
そして前半は、その基本チーム戦術が炸裂し、攻守にわたってガンバを圧倒するんだよ。
もちろんレイソルは、しっかりとゴール機会まで創りだした。
いや、ホント、立派なサッカーだった。
でも、そんなゲーム展開は、前半に限ったコトだったんだよ。
そして、後半の立ち上がりからは・・
ガンバの勝負師、片野坂知宏が、とても柔軟で効果的な「対処戦術」をブチかますんだ。
後半のガンバは、サイドハーフの石毛秀樹に代え、センターバックの三浦弦太を投入したんだよ。
んっ!?
どうするの??
あっ、そうか、スリーバックにするのね!?
そして実際に、片野坂知宏は、最終ラインをスリーバックへと変更した。
スリーバックは、相手オフェンスのときは、もちろん、ファイブバックとして機能する。
でも、ボールを奪い返し、攻撃にうつったときには・・
そう、中盤の人数が、「一人増える」んだ。
もちろん「それ」は、選手の基本イメージングとして、「もっと走らなきゃ・・」っていう意識と意志を強化するっちゅうわけだ。
とにかく、片野坂知宏が、前半のゲーム内容を冷静に見極め、後半のゲーム戦術を決めたコトが、特筆の「変容リソース」だったっちゅうコトさ。
前半は、攻守の切り替えが素早く効果的なレイソルに、中盤を、支配されつづけた。
そうなったら、世界のレジェンドプロコーチ連中が、異口同音に語っているように・・
相手のチカラと、自分たちの調子を、変に、勘違いしちゃう傾向があるんだよ。
だから、勘違いしている方が、「もっと」足を止めちゃう。
そう、不確実なサッカーは、究極の「心理ボールゲーム」なんだ。
あっと、後半の展開・・
片野坂知宏の思惑どおり、ゲーム展開が(実質的なイニシアチブが!!)とてもイーブンなモノへと変化していったコトは言うまでもないよね。
そう、ゲームが、ダイナミックな動的均衡マッチへと成長していったんだ。
もちろん、そんな、ゲーム展開の変容傾向は、ガンバ選手たちに、勇気と元気を与えるでしょ。
そして、そこで放散される「気のチカラ」が(!?)、ガンバの決勝ゴールを「呼び込む」んだよ。
「あの」ダワンの「ゴッツァン・ゴール」は、まさに、「何か」が呼び込んだゴールだったんだ。
あっ・・スミマセン・・急に、スピリチュアルになってしまって・・
へへっ・・
そして、その後の展開・・
ガンバのボール奪取プロセス(守備)が、主体的でダイナミックな局面デュエルのオンパレードってな具合に、成長していくんだ。
そう、ものすごい集中力で攻守ハードワークを探しつづける、究極の「主体性プレー」・・ね。
ドラマは止まらない・・
そう・・
タイムアップまで、あと数十秒ってなタイミングで、決定的スペースへ飛び出した、レイソルのサイドバック、三丸拡が、ヘディングで決定的シュートを放つんだ。
その瞬間・・
誰もが、「アッ、同点ゴールだっ!!」ってフリーズしたに違いない。
でも、そのシュートは、無情にも、左ポストを直撃し、はね返されてしまうんだよ。
そう、「何か」が書いたスクリプトを正確にトレースするように・・ネ。
へへっ・・
とにかく・・
・・前半、レイソルに圧倒されながら、粘り強いディフェンスで先制を免(まぬが)れたガンバ・・
・・後半、勝負師、片野坂知宏がブチかました、ものすごく効果的なチーム戦術の変更・・
・・そして、ダイナミックな動的均衡マッチへと、ゲームが成長していく・・
・・そんな、エキサイティングなコンテンツが詰め込まれた、スーパー・エキサイティング勝負マッチではありました。
あ〜〜、面白かった。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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